呂布奉先、ローマを治める <序>

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第十八話 呂布奉先、ローマを治める <序>

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 「漢が…割れる…」

 呂布はその言葉を反芻した。

 恐ろしい言葉だった。

 途中に多少のいざこざはあったとしても漢帝国は四百年という永い間続いてきた国だ。

 中華の民、少なくともこの村に住む者達にとっては漢帝国の存続は太陽が東から昇ることに等しい。

 四百年という時間は容易にそんな幻想を人々に抱かせる。

 「それは漢ではなくなるということですか」

 父は根拠もなく物事を言う人ではない。

 父がそう言うのであれば真実漢は割れようとしているのであろう。

 信じられぬ事ではあるが呂布の思考は冷静である。

 漢は割れるという。

 ということは割れた後に建つ国があるということだ。

 それは百五十年年前の光武帝の時、つまり現在でいう前漢と後漢の時のようにやはり漢という国に再びつながるものなのか、それとも全く違う国が建つということか。

 呂布が聞きたいのはそこであった。

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