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第四話 呂布奉先、ローマを治める <序>
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辺りはすでに夕暮れの色に包まれつつある。
ふいに。
「伯よ」と、父は静かに声をかけた。
呼ばれて伯は向き直る。
父の目は伯の顔をじっと見ていた。沈む夕日の斜光が眉間の皺をさらに深いものにしている。
「剣では常に勝るか」短く父は問うた。
「…」
伯は答えない。
確かに剣において、というよりも剣においてのみ自分はラクレスより技量が上達したのであろう。
しかしそれとて木剣での話だ。真剣になれば、また別である。
そのうえ、槍、弓、馬上においての全ての動作で自分はラクレスの足下にも及ばない。
何よりも自分に剣の振り方を教えてくれたのはラクレスである。
「呂大夫様」木剣を地に置き拝礼しながら答えたのはラクレスだった。
「伯様の剣は常にそれより勝ります」
呂大夫はしばらくの間をおいて伯に言った。
「精進したようだな」
伯はその言葉に微かな悲しみの響きがあるのを感じた。
怒るにしても褒めるにしても豪快な人である。いつもとは違う父の物言いが気になった。
呂大夫はそれだけ言うと中庭から立ち去ろうときびすを返した。
「父上」
なぜか伯は無性に不安になり呼び止めた。
振り向いた呂大夫は「一週間後、儂の部屋に来い」とだけ言った。
ふいに。
「伯よ」と、父は静かに声をかけた。
呼ばれて伯は向き直る。
父の目は伯の顔をじっと見ていた。沈む夕日の斜光が眉間の皺をさらに深いものにしている。
「剣では常に勝るか」短く父は問うた。
「…」
伯は答えない。
確かに剣において、というよりも剣においてのみ自分はラクレスより技量が上達したのであろう。
しかしそれとて木剣での話だ。真剣になれば、また別である。
そのうえ、槍、弓、馬上においての全ての動作で自分はラクレスの足下にも及ばない。
何よりも自分に剣の振り方を教えてくれたのはラクレスである。
「呂大夫様」木剣を地に置き拝礼しながら答えたのはラクレスだった。
「伯様の剣は常にそれより勝ります」
呂大夫はしばらくの間をおいて伯に言った。
「精進したようだな」
伯はその言葉に微かな悲しみの響きがあるのを感じた。
怒るにしても褒めるにしても豪快な人である。いつもとは違う父の物言いが気になった。
呂大夫はそれだけ言うと中庭から立ち去ろうときびすを返した。
「父上」
なぜか伯は無性に不安になり呼び止めた。
振り向いた呂大夫は「一週間後、儂の部屋に来い」とだけ言った。
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