137 / 194
学園編 18歳
131 今後について話しましょう
しおりを挟む
ジークは高座から降り、クリスの正面に立った。エリーナはクリスに手招きされたため、しずしずと側に寄る。急展開に頭が追い付かないため、少しでも側にいたかった。
「では、改めて王女エリーナとクリス殿の今後について考えがあれば教えてほしい」
ジークがそう切り出せば、隣にルドルフが近づいてくる。補佐を務めるようで、視線を合わせて頷き合っていた。クリスは涼しい顔で前もって用意してあったように、迷うことなく答えを返す。
「僕はエリーナを連れて西の国へ帰るよ。さっき、エリーナもこの国に未練はないって言ったし、僕も手放すつもりはないから」
さすがにクリスの身分が明らかになった以上、ローゼンディアナ家を継ぐことはできない。ジークは予想のつく答えだったのか、顔色を変えずに吟味するそぶりをみせる。そこにルドルフが補足をいれた。
「先ほどの確認だが、現段階でエリーナ嬢が王女の身分になられても王位を継ぐことはできず、その身分を考えると王家か公爵家に嫁ぐことになるだろう。その上で、西の国の王家に嫁げば初めての王族同士の婚姻となり、外交上も大きな意義がある」
ルドルフは冷静にエリーナの現状とクリスを選んだ時の国の利点を述べた。ジークは何度か頷き、エリーナに視線を向ける。その瞳は真剣でありながらも、どこか優しい。心の底からエリーナのことを心配し、力になりたいと思っていることが伝わってきた。
「エリーナ、クリス殿と共に西の国へ行きたいか?」
そう問われ、エリーナは隣に立つクリスを見上げた。クリスがこの国に残るという選択肢はない。それならば……。
「はい。クリスについて行きます」
心残りが無いと言えば嘘になる。視界に映る友人たちと離れるのは寂しく、心細い。だが、それよりもクリスと離れるのは身を切られるような苦痛だった。
ジークはエリーナの想いを受け止め、一度頷くと微笑んだ。
「わかった。上は俺たちが押さえる。エリーナは笑って西の国へ行ってこい」
頼もしいジークに、エリーナは満面の笑みを向けた。クリスも目礼をし、嬉しそうに口元を緩めている。だが、まとまりかけたところに小難しい顔をしたルドルフが懸念を示す。
「しかし、前王派はエリーナ嬢が異国に嫁ぐのをよく思わないかもしれません。前王の忘れ形見という象徴が現れたと思ったら、西の国へ嫁ぐのですから」
「……それはありうるな。クリス殿はいつ西の国へ立つつもりだ?」
「そうだね。できるだけ早くと思っていたけれど、そっちの事情もあるだろうし遅くても一か月後かな」
二人はその返答に視線を合わせて頷き合い、ジークが何かを言おうと口を開いたところに、離れたところから鋭い声が飛んできた。
「一つよろしいかしら」
気高く凛とした声は、聴くだけで安心感がある。声を発したベロニカが前に出てきて、四人に近づいた。
「どうしたベロニカ」
「エリーナ様とのつながりが希薄になることを懸念されるなら、一つ提案がございますわ」
ベロニカは立場を重んじてエリーナを様付けした。エリーナは少し寂しくなって、しゅんとした表情をベロニカに向けたら「今だけよ」と口が小さく動いた。
「どんな提案だ?」
ジークがそう促せばベロニカは未来の王妃に相応しい微笑を浮かべ、つつましく進言する。
「こちらと連絡役になる侍女をつけるというのはどうでしょうか。ローゼンディアナ家に仕えていた者から何人かは行くでしょうが、国側からも派遣してはどうでしょう」
「なるほど。それはいい案だな。そちらはどう思う」
ジークに異存はなく、クリスにそう尋ねた。クリスが視線をエリーナに向けたので、小さく頷けば「異存はない」と返す。
「そして、ここで一人推薦しますわ。わたくし付きの侍女であれば信頼も厚く、所作も申し分ないでしょう」
「あぁ、それがいい」
ジークの同意を得たベロニカは、すっと視線を人垣の方へ向け呼びかけた。
「リズ・スヴェル。前へ!」
「ふぇっ、は、はい!」
間抜けな声が返ってきて、転がるようにリズが前に出た。その顔にはなぜ呼ばれたのかと混乱がありありと浮かんでいる。挙動不審でベロニカとエリーナの顔を交互に見ているリズは、少し頼りない。そこにベロニカの叱責が飛ぶ。
「胸を張りなさい! 栄えあるエリーナ王女付きに推薦するわ。両国の友好とエリーナ様に尽くしなさい!」
「もちろんでございます!」
少し上ずった声で返したリズは涙目で、徐々に感極まったのかすすり泣きが漏れた。事の顛末をずっと側で見ていたのだ。エリーナの力になりたいのに何もできず、ただ祈るように見守ることしかできなかった。それが悔しく辛かったこともあり、役に立てると思ったとたん感情の抑えが効かなくなったのだ。
「なら、あとの人選はこちらでするとして他に決めることはあるか。皆も、意見があれば言ってほしい」
ジークが皆をぐるりと見回し、意見が出ないのを確認すると高らかに宣言した。
「では、これで卒業パーティーを閉会とする。皆、後日王宮からの伝達が出るまで口外は慎むように!」
ジークの言葉が終わるなり大広間は拍手に包まれ、口々に「エリーナ王女」と人々が叫ぶ。エリーナはその熱気に圧倒され、目を白黒させて周りを見回した。困惑しているところに肩を抱かれ、見上げるとクリスは微笑んでいた。
「エリー、愛している。僕を選んでくれてありがとう」
そしてそっと、エリーナの頬に口づけたのだった。一際歓声が沸き、エリーナは恥ずかしさのあまりクリスの胸を押しのける。
「あ、あんまり馴れ馴れしくしたら怒るわよ!」
「怒ったエリーもかわいいよ。でもあんまり逃げると追い詰めたくなるから、気を付けてね」
「何かあったら、ベロニカ様のところに駆け込むわ! 国を超えて!」
そうやりとりする二人はいつも通りで、周りは微笑ましく見守る。
こうして、歴史を変えた卒業パーティーは幕を閉じたのだった。
「では、改めて王女エリーナとクリス殿の今後について考えがあれば教えてほしい」
ジークがそう切り出せば、隣にルドルフが近づいてくる。補佐を務めるようで、視線を合わせて頷き合っていた。クリスは涼しい顔で前もって用意してあったように、迷うことなく答えを返す。
「僕はエリーナを連れて西の国へ帰るよ。さっき、エリーナもこの国に未練はないって言ったし、僕も手放すつもりはないから」
さすがにクリスの身分が明らかになった以上、ローゼンディアナ家を継ぐことはできない。ジークは予想のつく答えだったのか、顔色を変えずに吟味するそぶりをみせる。そこにルドルフが補足をいれた。
「先ほどの確認だが、現段階でエリーナ嬢が王女の身分になられても王位を継ぐことはできず、その身分を考えると王家か公爵家に嫁ぐことになるだろう。その上で、西の国の王家に嫁げば初めての王族同士の婚姻となり、外交上も大きな意義がある」
ルドルフは冷静にエリーナの現状とクリスを選んだ時の国の利点を述べた。ジークは何度か頷き、エリーナに視線を向ける。その瞳は真剣でありながらも、どこか優しい。心の底からエリーナのことを心配し、力になりたいと思っていることが伝わってきた。
「エリーナ、クリス殿と共に西の国へ行きたいか?」
そう問われ、エリーナは隣に立つクリスを見上げた。クリスがこの国に残るという選択肢はない。それならば……。
「はい。クリスについて行きます」
心残りが無いと言えば嘘になる。視界に映る友人たちと離れるのは寂しく、心細い。だが、それよりもクリスと離れるのは身を切られるような苦痛だった。
ジークはエリーナの想いを受け止め、一度頷くと微笑んだ。
「わかった。上は俺たちが押さえる。エリーナは笑って西の国へ行ってこい」
頼もしいジークに、エリーナは満面の笑みを向けた。クリスも目礼をし、嬉しそうに口元を緩めている。だが、まとまりかけたところに小難しい顔をしたルドルフが懸念を示す。
「しかし、前王派はエリーナ嬢が異国に嫁ぐのをよく思わないかもしれません。前王の忘れ形見という象徴が現れたと思ったら、西の国へ嫁ぐのですから」
「……それはありうるな。クリス殿はいつ西の国へ立つつもりだ?」
「そうだね。できるだけ早くと思っていたけれど、そっちの事情もあるだろうし遅くても一か月後かな」
二人はその返答に視線を合わせて頷き合い、ジークが何かを言おうと口を開いたところに、離れたところから鋭い声が飛んできた。
「一つよろしいかしら」
気高く凛とした声は、聴くだけで安心感がある。声を発したベロニカが前に出てきて、四人に近づいた。
「どうしたベロニカ」
「エリーナ様とのつながりが希薄になることを懸念されるなら、一つ提案がございますわ」
ベロニカは立場を重んじてエリーナを様付けした。エリーナは少し寂しくなって、しゅんとした表情をベロニカに向けたら「今だけよ」と口が小さく動いた。
「どんな提案だ?」
ジークがそう促せばベロニカは未来の王妃に相応しい微笑を浮かべ、つつましく進言する。
「こちらと連絡役になる侍女をつけるというのはどうでしょうか。ローゼンディアナ家に仕えていた者から何人かは行くでしょうが、国側からも派遣してはどうでしょう」
「なるほど。それはいい案だな。そちらはどう思う」
ジークに異存はなく、クリスにそう尋ねた。クリスが視線をエリーナに向けたので、小さく頷けば「異存はない」と返す。
「そして、ここで一人推薦しますわ。わたくし付きの侍女であれば信頼も厚く、所作も申し分ないでしょう」
「あぁ、それがいい」
ジークの同意を得たベロニカは、すっと視線を人垣の方へ向け呼びかけた。
「リズ・スヴェル。前へ!」
「ふぇっ、は、はい!」
間抜けな声が返ってきて、転がるようにリズが前に出た。その顔にはなぜ呼ばれたのかと混乱がありありと浮かんでいる。挙動不審でベロニカとエリーナの顔を交互に見ているリズは、少し頼りない。そこにベロニカの叱責が飛ぶ。
「胸を張りなさい! 栄えあるエリーナ王女付きに推薦するわ。両国の友好とエリーナ様に尽くしなさい!」
「もちろんでございます!」
少し上ずった声で返したリズは涙目で、徐々に感極まったのかすすり泣きが漏れた。事の顛末をずっと側で見ていたのだ。エリーナの力になりたいのに何もできず、ただ祈るように見守ることしかできなかった。それが悔しく辛かったこともあり、役に立てると思ったとたん感情の抑えが効かなくなったのだ。
「なら、あとの人選はこちらでするとして他に決めることはあるか。皆も、意見があれば言ってほしい」
ジークが皆をぐるりと見回し、意見が出ないのを確認すると高らかに宣言した。
「では、これで卒業パーティーを閉会とする。皆、後日王宮からの伝達が出るまで口外は慎むように!」
ジークの言葉が終わるなり大広間は拍手に包まれ、口々に「エリーナ王女」と人々が叫ぶ。エリーナはその熱気に圧倒され、目を白黒させて周りを見回した。困惑しているところに肩を抱かれ、見上げるとクリスは微笑んでいた。
「エリー、愛している。僕を選んでくれてありがとう」
そしてそっと、エリーナの頬に口づけたのだった。一際歓声が沸き、エリーナは恥ずかしさのあまりクリスの胸を押しのける。
「あ、あんまり馴れ馴れしくしたら怒るわよ!」
「怒ったエリーもかわいいよ。でもあんまり逃げると追い詰めたくなるから、気を付けてね」
「何かあったら、ベロニカ様のところに駆け込むわ! 国を超えて!」
そうやりとりする二人はいつも通りで、周りは微笑ましく見守る。
こうして、歴史を変えた卒業パーティーは幕を閉じたのだった。
10
お気に入りに追加
754
あなたにおすすめの小説
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
【完結】悪役令嬢は婚約者を差し上げたい
三谷朱花
恋愛
アリス・デッセ侯爵令嬢と婚約者であるハース・マーヴィン侯爵令息の出会いは最悪だった。
そして、学園の食堂で、アリスは、「ハース様を解放して欲しい」というメルル・アーディン侯爵令嬢の言葉に、頷こうとした。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!
たぬきち25番
恋愛
気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡
※マルチエンディングです!!
コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m
2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。
楽しんで頂けると幸いです。

【完結】悪役令嬢の反撃の日々
くも
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた
21時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

気だるげの公爵令息が変わった理由。
三月べに
恋愛
乙女ゲーの悪役令嬢に転生したリーンティア。王子の婚約者にはまだなっていない。避けたいけれど、貴族の義務だから縁談は避けきれないと、一応見合いのお茶会に参加し続けた。乙女ゲーのシナリオでは、その見合いお茶会の中で、王子に恋をしたから父に強くお願いして、王家も承諾して成立した婚約だったはず。
王子以外に婚約者を選ぶかどうかはさておき、他の見合い相手を見極めておこう。相性次第でしょ。
そう思っていた私の本日の見合い相手は、気だるげの公爵令息。面倒くさがり屋の無気力なキャラクターは、子どもの頃からもう気だるげだったのか。
「生きる楽しみを教えてくれ」
ドンと言い放つ少年に、何があったかと尋ねたくなった。別に暗い過去なかったよね、このキャラ。
「あなたのことは知らないので、私が楽しいと思った日々のことを挙げてみますね」
つらつらと楽しみを挙げたら、ぐったりした様子の公爵令息は、目を輝かせた。
そんな彼と、婚約が確定。彼も、変わった。私の隣に立てば、生き生きした笑みを浮かべる。
学園に入って、乙女ゲーのヒロインが立ちはだかった。
「アンタも転生者でしょ! ゲームシナリオを崩壊させてサイテー!! アンタが王子の婚約者じゃないから、フラグも立たないじゃない!!」
知っちゃこっちゃない。スルーしたが、腕を掴まれた。
「無視してんじゃないわよ!」
「頭をおかしくしたように喚く知らない人を見て見ぬふりしたいのは当然では」
「なんですって!? 推しだか何だか知らないけど! なんで無気力公爵令息があんなに変わっちゃったのよ!! どうでもいいから婚約破棄して、王子の婚約者になりなさい!! 軌道修正して!!」
そんなことで今更軌道修正するわけがなかろう……頭おかしい人だな、怖い。
「婚約破棄? ふざけるな。王子の婚約者になれって言うのも不敬罪だ」
ふわっと抱き上げてくれたのは、婚約者の公爵令息イサークだった。
(なろうにも、掲載)

【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます
宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。
さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。
中世ヨーロッパ風異世界転生。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる