290 / 319
調査隊派遣について
しおりを挟む
夜のミーティングで、林さんに樹に上って双眼鏡で見た森の様子を報告してもらった。そのあと、理科さんが解説を加えた。前の村で体験した出来事も交えながら。
僕はその報告を元に、東側に調査隊を出したいと提案してみた。理由については、善蔵さんたちがいたところには今は誰もいないので、現在分かっている拠点となる住処はここだけである。なので、さらに点を増やして、活動範囲を広げていくのは生活してゆく上で必要なことだと。
「どのぐらい歩いたら、森以外にたどり着けると予想されるんだ?」
栗原さんが問いかける。
「ええと……理科さん、どう思います?」
「そうね……はっきりしたことは言えないけど、日帰り出来るような距離ではないことは確かね。往復するには最低でも三日、長ければ一週間以上かかるかもしれないわね」
「なるほど……。方角の誤差も考慮すれば、かなり成功率の低そうな調査になるな……」
栗原さんは理系らしく、さっと頭の中で全体像を描き出しているようだ。
「なにも成果がない可能性も大きいですが、それでも少しずつ進めていかないと。積み重なればいつか成果につながるはずです」
僕はなんとしても調査隊を出したいと強く主張した。
「調査隊た何人ぐらいのメンバーを想定しているの?」と料子さん。
「そうですね……最低二人、ベストは三人だと考えています。それ以上だと、長期間になるとこちらが手薄になりますから」
「テントはあるから、そのくらいがいいかもね」と和也が賛成する。根拠もなく、理系っぽい論理てもないが、とりあえず応援してくれるのはありがたい。
「まあ、いいんじゃない? 金田さんがもし帰ってきたら、看病したりで手が足りなくなるかもしれないけど」
料子さんも同意を示してくれた。
「現に今は金田さんもいないんだから、仮定の話はしなくていいんじゃないかな」
陽子さんがそう見解を述べたあと、さらに僕に尋ねた。
「それで。行くとしたら誰が行ったらいいと思ってる?」
「あくまで僕の個人的意見ですが、僕自身は行ってみたいですね。言い出しっぺですし。それに調査という点からは、理科さんが居てくれると心強いです。あとは……僕からは、どうしてもという人は……いないです」
「なるほどなあ。なかなか合理的判断かも知れない。あと一人は海原君とかどう? 力もあるし、遠征するんだったら若手のほうがいいだろ」
栗原さんがそう意見を述べる。栗原さんだって充分若いのだが、それほど力のないことは本人も自覚しているのだろう。
僕はその報告を元に、東側に調査隊を出したいと提案してみた。理由については、善蔵さんたちがいたところには今は誰もいないので、現在分かっている拠点となる住処はここだけである。なので、さらに点を増やして、活動範囲を広げていくのは生活してゆく上で必要なことだと。
「どのぐらい歩いたら、森以外にたどり着けると予想されるんだ?」
栗原さんが問いかける。
「ええと……理科さん、どう思います?」
「そうね……はっきりしたことは言えないけど、日帰り出来るような距離ではないことは確かね。往復するには最低でも三日、長ければ一週間以上かかるかもしれないわね」
「なるほど……。方角の誤差も考慮すれば、かなり成功率の低そうな調査になるな……」
栗原さんは理系らしく、さっと頭の中で全体像を描き出しているようだ。
「なにも成果がない可能性も大きいですが、それでも少しずつ進めていかないと。積み重なればいつか成果につながるはずです」
僕はなんとしても調査隊を出したいと強く主張した。
「調査隊た何人ぐらいのメンバーを想定しているの?」と料子さん。
「そうですね……最低二人、ベストは三人だと考えています。それ以上だと、長期間になるとこちらが手薄になりますから」
「テントはあるから、そのくらいがいいかもね」と和也が賛成する。根拠もなく、理系っぽい論理てもないが、とりあえず応援してくれるのはありがたい。
「まあ、いいんじゃない? 金田さんがもし帰ってきたら、看病したりで手が足りなくなるかもしれないけど」
料子さんも同意を示してくれた。
「現に今は金田さんもいないんだから、仮定の話はしなくていいんじゃないかな」
陽子さんがそう見解を述べたあと、さらに僕に尋ねた。
「それで。行くとしたら誰が行ったらいいと思ってる?」
「あくまで僕の個人的意見ですが、僕自身は行ってみたいですね。言い出しっぺですし。それに調査という点からは、理科さんが居てくれると心強いです。あとは……僕からは、どうしてもという人は……いないです」
「なるほどなあ。なかなか合理的判断かも知れない。あと一人は海原君とかどう? 力もあるし、遠征するんだったら若手のほうがいいだろ」
栗原さんがそう意見を述べる。栗原さんだって充分若いのだが、それほど力のないことは本人も自覚しているのだろう。
0
お気に入りに追加
124
あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。

俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる