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間一髪
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「でも正直びっくりしましたよ。今まであんな大きな物が来たことはなかったんで」
僕は歩きながらあのシーンを思い出して身震いした。
「もっと近くにいたら危なかったかもね」
桂坂さんも同様に怖がるそぶりを見せた。
「びっくりしたのはこっちのほうだぜ」
「どんな状況だったんですか?」
車さんの切り返しに、興味津々といった様子で陸が尋ねる。
「荷物全部積んでよう。発進してすぐに信号に引っ掛かって、信号待ちしてたんだよ。そしたらいきなりくらっと目眩がしてハンドルに顔ぶつけそうになったんだ。やばって思ったら、次に気がついたらこれだ……。ほんの一瞬のことなんだがな」
「運転してる時じゃなくて良かったですね」
「あ、ああ、そう言えばそうだな。運転中なら事故ってたな。間違いなく」
「トラックも一緒に来たってことは、周りの車にも最小限の影響で済みそうね。運転手だけが消えてたら大騒ぎだったろうけど」
桂坂さんが冷静に分析する。もっとも、どでかい車一台が丸々消えるのも、それはそれで大パニックになるだろうが。
「皆で一度検討したときにもその危険性は指摘されてたよな? それがうまく回避されてるのは偶然なのか必然なのか……それが問題だな」
「どころでさっきの話。難しいことは分かんねえけど、俺みたいなやつがここにはたくさんいるってことか?」
「たくさんというか、今の所、全部で三十人ちょっとです。ですが、現在はそのうち六名は行方不明、十名は別の場所を探索中です。残ってるのは半分ほどですね」
「ふうん。なんとかここでみんなで暮らしてるってわけか」
家に着くと、生果さんと介護士さんが出迎えてくれた。
「まあ、箱なんか抱えて。みんな大変だったんでしょ」
「驚きましたよ。トラックが来るんですから」
「トラック!?」
二人は仰天した。僕は二人に詳しく説明した。その途中、桂坂さんが僕に提案した。
「健太君、みんなに声かけて集めたほうがいいかな? 何人かで荷物取りに行ったほうがいいでしょ」
「そうだな。じゃ、陸と二人で手分けして、農家さんたちや宝泉さんたちに声をかけてきてくれないか?」
うなずくと二人は家を出て行った。
「箱の中身は早く調べたほうがいいわね。腐ってしまうような生ものは、早めに食べてしまうべきだろうし」
生果さんが言う。
「食べ物がどれだけあるか分かりませんよ。僕は服とかが多いと睨んでるんですが」
「開けてみれば分かるわ」
たとえば田舎の母から都会の息子への送るものであれば、伝票に書かれている物以外にもたくさん詰め込まれているような例が多々ある。そういう意味でも実際に開けてみるのが把握するには一番だ。
僕は歩きながらあのシーンを思い出して身震いした。
「もっと近くにいたら危なかったかもね」
桂坂さんも同様に怖がるそぶりを見せた。
「びっくりしたのはこっちのほうだぜ」
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「荷物全部積んでよう。発進してすぐに信号に引っ掛かって、信号待ちしてたんだよ。そしたらいきなりくらっと目眩がしてハンドルに顔ぶつけそうになったんだ。やばって思ったら、次に気がついたらこれだ……。ほんの一瞬のことなんだがな」
「運転してる時じゃなくて良かったですね」
「あ、ああ、そう言えばそうだな。運転中なら事故ってたな。間違いなく」
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「どころでさっきの話。難しいことは分かんねえけど、俺みたいなやつがここにはたくさんいるってことか?」
「たくさんというか、今の所、全部で三十人ちょっとです。ですが、現在はそのうち六名は行方不明、十名は別の場所を探索中です。残ってるのは半分ほどですね」
「ふうん。なんとかここでみんなで暮らしてるってわけか」
家に着くと、生果さんと介護士さんが出迎えてくれた。
「まあ、箱なんか抱えて。みんな大変だったんでしょ」
「驚きましたよ。トラックが来るんですから」
「トラック!?」
二人は仰天した。僕は二人に詳しく説明した。その途中、桂坂さんが僕に提案した。
「健太君、みんなに声かけて集めたほうがいいかな? 何人かで荷物取りに行ったほうがいいでしょ」
「そうだな。じゃ、陸と二人で手分けして、農家さんたちや宝泉さんたちに声をかけてきてくれないか?」
うなずくと二人は家を出て行った。
「箱の中身は早く調べたほうがいいわね。腐ってしまうような生ものは、早めに食べてしまうべきだろうし」
生果さんが言う。
「食べ物がどれだけあるか分かりませんよ。僕は服とかが多いと睨んでるんですが」
「開けてみれば分かるわ」
たとえば田舎の母から都会の息子への送るものであれば、伝票に書かれている物以外にもたくさん詰め込まれているような例が多々ある。そういう意味でも実際に開けてみるのが把握するには一番だ。
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