181 / 319
各隊報告
しおりを挟む
「場に出現するときは、毎回誰かが立ち会っていた。ほとんど僕と桂坂さんだけど。少なくとも僕が対応した人に関しては、ここでダンボールを捨てた人はいないはずだ。他の人からもそんな話は聞いてないけど」
「だとすると……今回、来た人が移動の邪魔になるので捨てていった可能性が高いってことですか?」
おそらくは宙の推理であっているだろう。僕もまったく同じ考えだ。箱のままでは運びにくいので、中身だけを持つことにしたのではないか。
「この先を歩いていったのかもしれないな」
「でも今日は少し風があるでしょ。ダンボールが飛ばされてここに来たってことも考えられるんじゃないかしら」
笑美さんの言葉に、僕はなるほどと思った。ならば、こっちの方向に進んだと決めつけるのは早計かもしれない。
「そうだな。まあ、ともかく、ダンボールがあるっていうことは誰かがこの世界に来たって線は濃厚になったな」
それなら探す意味もあろうというもの。存在自体が望み薄だと、徒労に終わるのが見えてる段階で既にやる気が起きてこない。
「このまま探しながら進む。適当な時間になったら、引き返して場で待機して他のグループが戻るのを待とう」
僕は基本的な行動予定を指示した。その後も声を出しながら探し続けたが、該当する人物は見当たらなかった。もっとも性別も年齢も姿形もまったくわからないのではあるが。
しかし、森の中には動物もいないわけで、動くものがあればそれは探している新たな来訪者に違いない。
しばらく探したあと、一旦場に戻ることにした。出発地点に戻ると、大工さんのグループが先に戻っていた。
「見つかりませんでしたか?」
僕は三人の表情を見て、空振りだったと予想はついたが、一応訊いてみた。
「ええ。全然。そっちは?」と生果さんが聞き返す。
「こっちも同じです。あっ、ダンボールを一つ見つけはしたんですけど」
「ダンボール?」
僕は三人で話した推測を大工さんたちにも伝えた。
「じゃあ、新しく来た人は、ダンボールの中身だけを持って移動してるってことになるんですか?」
海原君が問う。
「そうなるね。宛先の紙は剥がれていたので、中に何が入っていたかは不明だけど」
「他のグループが見つけられるといいんだけどね」
生果さんが残念そうに言う。しばらくして他の二チームも帰ってきた。
「ダメだ。いない」
「こっちも」
宝泉さんとエンジさんが肩を落としながら報告した。
「そんなに遠くに行ったとは思えないんですが……」
弱音を吐きそうになった僕だが、すぐに気持ちを切り替えて、みんなに次の指示を出した。
「だとすると……今回、来た人が移動の邪魔になるので捨てていった可能性が高いってことですか?」
おそらくは宙の推理であっているだろう。僕もまったく同じ考えだ。箱のままでは運びにくいので、中身だけを持つことにしたのではないか。
「この先を歩いていったのかもしれないな」
「でも今日は少し風があるでしょ。ダンボールが飛ばされてここに来たってことも考えられるんじゃないかしら」
笑美さんの言葉に、僕はなるほどと思った。ならば、こっちの方向に進んだと決めつけるのは早計かもしれない。
「そうだな。まあ、ともかく、ダンボールがあるっていうことは誰かがこの世界に来たって線は濃厚になったな」
それなら探す意味もあろうというもの。存在自体が望み薄だと、徒労に終わるのが見えてる段階で既にやる気が起きてこない。
「このまま探しながら進む。適当な時間になったら、引き返して場で待機して他のグループが戻るのを待とう」
僕は基本的な行動予定を指示した。その後も声を出しながら探し続けたが、該当する人物は見当たらなかった。もっとも性別も年齢も姿形もまったくわからないのではあるが。
しかし、森の中には動物もいないわけで、動くものがあればそれは探している新たな来訪者に違いない。
しばらく探したあと、一旦場に戻ることにした。出発地点に戻ると、大工さんのグループが先に戻っていた。
「見つかりませんでしたか?」
僕は三人の表情を見て、空振りだったと予想はついたが、一応訊いてみた。
「ええ。全然。そっちは?」と生果さんが聞き返す。
「こっちも同じです。あっ、ダンボールを一つ見つけはしたんですけど」
「ダンボール?」
僕は三人で話した推測を大工さんたちにも伝えた。
「じゃあ、新しく来た人は、ダンボールの中身だけを持って移動してるってことになるんですか?」
海原君が問う。
「そうなるね。宛先の紙は剥がれていたので、中に何が入っていたかは不明だけど」
「他のグループが見つけられるといいんだけどね」
生果さんが残念そうに言う。しばらくして他の二チームも帰ってきた。
「ダメだ。いない」
「こっちも」
宝泉さんとエンジさんが肩を落としながら報告した。
「そんなに遠くに行ったとは思えないんですが……」
弱音を吐きそうになった僕だが、すぐに気持ちを切り替えて、みんなに次の指示を出した。
0
お気に入りに追加
122
あなたにおすすめの小説
英雄英雄伝~チート系主人公増えすぎ問題~
偽モスコ先生
ファンタジー
平凡な高校生、森本英雄(もりもとひでお)は突然くじ引きによってチート系主人公の増えすぎた異世界『魔王ランド』に転生させられてしまう。モンスター達の絶滅を防ぐ為、女神ソフィアから全てのチート系主人公討伐をお願いされた英雄は魔王として戦うハメに!?
英雄と魔物と美少女によるドタバタ日常コメディー!
※小説家になろう!様でも掲載中です。進行度は同じですが、投稿時間が違います。
異世界もふもふ食堂〜僕と爺ちゃんと魔法使い仔カピバラの味噌スローライフ〜
山いい奈
ファンタジー
味噌蔵の跡継ぎで修行中の相葉壱。
息抜きに動物園に行った時、仔カピバラに噛まれ、気付けば見知らぬ場所にいた。
壱を連れて来た仔カピバラに付いて行くと、着いた先は食堂で、そこには10年前に行方不明になった祖父、茂造がいた。
茂造は言う。「ここはいわゆる異世界なのじゃ」と。
そして、「この食堂を継いで欲しいんじゃ」と。
明かされる村の成り立ち。そして村人たちの公然の秘め事。
しかし壱は徐々にそれに慣れ親しんで行く。
仔カピバラのサユリのチート魔法に助けられながら、味噌などの和食などを作る壱。
そして一癖も二癖もある食堂の従業員やコンシャリド村の人たちが繰り広げる、騒がしくもスローな日々のお話です。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
『ラノベ作家のおっさん…異世界に転生する』
来夢
ファンタジー
『あらすじ』
心臓病を患っている、主人公である鈴也(レイヤ)は、幼少の時から見た夢を脚色しながら物語にして、ライトノベルの作品として投稿しようと書き始めた。
そんなある日…鈴也は小説を書き始めたのが切っ掛けなのか、10年振りに夢の続きを見る。
すると、今まで見た夢の中の男の子と女の子は、青年の姿に成長していて、自分の書いている物語の主人公でもあるヴェルは、理由は分からないが呪いの攻撃を受けて横たわっていた。
ジュリエッタというヒロインの聖女は「ホーリーライト!デスペル!!」と、仲間の静止を聞かず、涙を流しながら呪いを解く魔法を掛け続けるが、ついには力尽きて死んでしまった。
「へっ?そんな馬鹿な!主人公が死んだら物語の続きはどうするんだ!」
そんな後味の悪い夢から覚め、風呂に入ると心臓発作で鈴也は死んでしまう。
その後、直ぐに世界が暗転。神様に会うようなセレモニーも無く、チートスキルを授かる事もなく、ただ日本にいた記憶を残したまま赤ん坊になって、自分の書いた小説の中の世界へと転生をする。
”自分の書いた小説に抗える事が出来るのか?いや、抗わないと周りの人達が不幸になる。書いた以上責任もあるし、物語が進めば転生をしてしまった自分も青年になると死んでしまう
そう思い、自分の書いた物語に抗う事を決意する。
転生から始まるもう一つの物語~師匠と、弟子と、おかしな仲間
ヒポポタマス
ファンタジー
る日、一人のサラリーマンが足を滑らせて死に、「異世界」へと転生した。
師匠がほしい。女運を良くしてほしい。と神に願って転生した先は「雪人」が統治する辺境の一都市だった。
転生モノ。ファンタジー要素ありの成長譚。
主人公、凍太は成長しながら師匠たちに出会って成長し、どんな異世界ライフを送るのか----?
読んでいただけたら幸いです。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
【完結】婚活に疲れた救急医まだ見ぬ未来の嫁ちゃんを求めて異世界へ行く
川原源明
ファンタジー
伊東誠明(いとうまさあき)35歳
都内の大学病院で救命救急センターで医師として働いていた。仕事は順風満帆だが、プライベートを満たすために始めた婚活も運命の女性を見つけることが出来ないまま5年の月日が流れた。
そんな時、久しぶりに命の恩人であり、医師としての師匠でもある秋津先生を見かけ「良い人を紹介してください」と伝えたが、良い答えは貰えなかった。
自分が居る救命救急センターの看護主任をしている萩原さんに相談してみてはと言われ、職場に戻った誠明はすぐに萩原さんに相談すると、仕事後によく当たるという占いに行くことになった。
終業後、萩原さんと共に占いの館を目指していると、萩原さんから不思議な事を聞いた。「何か深い悩みを抱えてない限りたどり着けないとい」という、不安な気持ちになりつつも、占いの館にたどり着いた。
占い師の老婆から、運命の相手は日本に居ないと告げられ、国際結婚!?とワクワクするような答えが返ってきた。色々旅支度をしたうえで、3日後再度占いの館に来るように指示された。
誠明は、どんな辺境の地に行っても困らないように、キャンプ道具などの道具から、食材、手術道具、薬等買える物をすべてそろえてた。
3日後占いの館を訪れると。占い師の老婆から思わぬことを言われた。国際結婚ではなく、異世界結婚だと判明し、行かなければ生涯独身が約束されると聞いて、迷わず行くという選択肢を取った。
異世界転移から始まる運命の嫁ちゃん探し、誠明は無事理想の嫁ちゃんを迎えることが出来るのか!?
異世界で、医師として活動しながら婚活する物語!
全90話+幕間予定 90話まで作成済み。
異世界坊主の成り上がり
峯松めだか(旧かぐつち)
ファンタジー
山歩き中の似非坊主が気が付いたら異世界に居た、放っておいても生き残る程度の生存能力の山男、どうやら坊主扱いで布教せよということらしい、そんなこと言うと坊主は皆死んだら異世界か?名前だけで和尚(おしょう)にされた山男の明日はどっちだ?
矢鱈と生物学的に細かいゴブリンの生態がウリです?
本編の方は無事完結したので、後はひたすら番外で肉付けしています。
タイトル変えてみました、
旧題異世界坊主のハーレム話
旧旧題ようこそ異世界 迷い混んだのは坊主でした
「坊主が死んだら異世界でした 仏の威光は異世界でも通用しますか? それはそうとして、ゴブリンの生態が色々エグいのですが…」
迷子な坊主のサバイバル生活 異世界で念仏は使えますか?「旧題・異世界坊主」
ヒロイン其の2のエリスのイメージが有る程度固まったので画像にしてみました、灯に関しては未だしっくり来ていないので・・未公開
因みに、新作も一応準備済みです、良かったら見てやって下さい。
少女は石と旅に出る
https://kakuyomu.jp/works/1177354054893967766
SF風味なファンタジー、一応この異世界坊主とパラレル的にリンクします
少女は其れでも生き足掻く
https://kakuyomu.jp/works/1177354054893670055
中世ヨーロッパファンタジー、独立してます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる