異世界転移物語

月夜

文字の大きさ
上 下
172 / 319

新たな役割について

しおりを挟む
   結局、その日の夜は、鶏肉と卵を組み合わせて親子丼になった。なんか、ひさびさにメニューらしいメニューを食べた気がする。

    夜のミーティングでは、センセの紹介が主たる話題であったが、やはり遠征メンバーのことはみんな気になるらしく、何も新たな情報があったわけではないのにも関わらず、自然とそっちの話題になった。

「こんなに人がたくさんいるのに驚いたんですが、さらに十人もいるんですね。もう本当びっくりだわ」

   センセの眼に映るものはなにもかも新鮮なのだろうが、特に今朝十人の仲間が遠征に出かけたのは予想外だったようだ。

    ところで、僕は適当な言葉が見つからなくて、遠征と表現しているが、別に戦いに行くわけじゃないのに、これでいいのだろうか、とふと思った。まあ、誰からも指摘がないってことは、結局、ニュアンスさえ伝わればOKってことなのかもしれない。

「今頃はどこかでテント張って泊まってるんでしょうね」と料子さん。

「もう一日早く来てたら、センセも遠征メンバーに加えてたかもしれないですね」

    どこででも順応出来そうなタフなセンセ。こちらとしては助かるが、遠征メンバーにもし入っていたら、大きな戦力になるだろう。

    今日のミーティングの大事な案件として、残ったメンバーで新たに役割を確認せねばならなかった。十人も抜けると、仕事の優先度とかも考慮しないといけない。

    釣りキチさんと保育士さんは今まで通り湖で魚の確保。農家さん、僕、ドクター、センセ、桂坂さんは畑仕事中心。料子さん、生果さん、介護さん、笑美さんで生活面を見ていくことに。宝泉さん、大工さんで営繕ほかその他諸々をみてもらう。宙はしばらく大工さんたちについて回り、助手兼弟子として少しずつ技術を身につけてもらう。

    そんな風に割り振った。もちろん、僕は桂坂さんと一緒に迎えにも行くし、名簿も作るし、代表としての仕事もある。それぞれにみんなその仕事専念というわけでもなく、時と場合に応じて色んな仕事をやってゆくイメージだ。

「そうすると外を調査する人はいないってことですよね?」 

   僕の説明を聞き終えた宙が質問した。

「うん。そうだね。それから水汲みとか道路作りも一旦ストップだ。時々、誰かが湧き水を汲みに行かなくちゃならないな」

「もう理科さんも山菜さんもスカウトさんもいないから、とりあえず外の調査はもういいだろ」

    大工さんが同意を求めるように言った。

「ええ、この周囲の地図はかなり完成していますし、調査関係は向こうの組の生活が安定したら、向こうに任せましょう」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

家庭菜園物語

コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。 その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。 異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

処理中です...