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謎の空間
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「なるほどな。集落ではなくても、開けている場所ならここにはない何か、例えば池とかかもしれないし、大きな穴とかかもしれないってわけか」
ドクターが意見を出す。
「ええと……似たような場所がほかにもあるんですかね?」
僕は静止画像が撮影の比較的前半だったことを思い出して、訊いてみた。
「うん。もう一箇所見つけた」
理科さんはまた映像の続きを再生し始め、あるところでストップした。
「ここもそう」
理科さんが指し示した場所は、最初に指摘した場面より少しだけはっきりしているように思える。確かに緑が途切れているように見える。
「映像を詳細に分析して、方向は割り出せたわ。これだけだと距離はいまいちよく分からないのだけれど」
理科さんの言葉を受けて、ドクターが推論を述べた。
「おそらくスカウトさんたちもまだ探索してない場所なのだろうな」
ドクターの推測はおそらく正しい。探索した場所は地図にどんどん加えられることになっているが、そんな場所があるなどという情報は聞いていない。
「ええと……その森が途切れる場所があるとして、これからどうするの? そこに探索に行くってことなのかな?」
桂坂さんが遠慮がちに出す。
「それはこれから話し合うんじゃないか」
電気さんがすかさず答える。となると僕がまとめるのが良策か。
「どうしましょうかね。やっぱり一度は行って確認する必要はあると思いますけど」
僕はまずは軽く自分の意見を添えて、皆に問いかけた。
「スカウトさんたちが帰ってきたら、この方角に集中して探索してもらったらどうかしら?」
生果さんが答える。
「それがいいかもしれませんね。どれぐらい距離があるかも分からないし」
保育士さんの賛成意見に、僕は付け加えた。
「そうですね。二泊あるいは三泊も覚悟して行ってもらわなければならないですからね」
それに対しては特に反対意見はなさそうだった。
「それにしても、そこに集落があったら、もしかしたら同じように向こうの世界から飛ばされてきた人がいるかもしれないですね」
内装さんが期待に胸はずむ様子で言うと、路木さんがそれに答える。
「転移した人ではなくて、先住民が住んでいる可能性もありますよね?」
色々な可能性はあるが、そこに住んでいる人がどういった人であろうと仲良くやれればいいが、もし争いが生じるようなことがあれば……。僕はちょっとだけそんな不安が胸をよぎった。
「人がいたらいたで、新しい情報が手に入るメリットはあるが、逆にちょっとめんどくさいことになるかもな」
ドクターは具体的には言わなかったが、そこには衝突するトラブルなども含まれているのだろう。そんなデメリットはあるが、それでも僕はやはり調査に行ったほうがいいように思う。
ドクターが意見を出す。
「ええと……似たような場所がほかにもあるんですかね?」
僕は静止画像が撮影の比較的前半だったことを思い出して、訊いてみた。
「うん。もう一箇所見つけた」
理科さんはまた映像の続きを再生し始め、あるところでストップした。
「ここもそう」
理科さんが指し示した場所は、最初に指摘した場面より少しだけはっきりしているように思える。確かに緑が途切れているように見える。
「映像を詳細に分析して、方向は割り出せたわ。これだけだと距離はいまいちよく分からないのだけれど」
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「おそらくスカウトさんたちもまだ探索してない場所なのだろうな」
ドクターの推測はおそらく正しい。探索した場所は地図にどんどん加えられることになっているが、そんな場所があるなどという情報は聞いていない。
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桂坂さんが遠慮がちに出す。
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電気さんがすかさず答える。となると僕がまとめるのが良策か。
「どうしましょうかね。やっぱり一度は行って確認する必要はあると思いますけど」
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「スカウトさんたちが帰ってきたら、この方角に集中して探索してもらったらどうかしら?」
生果さんが答える。
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「そうですね。二泊あるいは三泊も覚悟して行ってもらわなければならないですからね」
それに対しては特に反対意見はなさそうだった。
「それにしても、そこに集落があったら、もしかしたら同じように向こうの世界から飛ばされてきた人がいるかもしれないですね」
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「転移した人ではなくて、先住民が住んでいる可能性もありますよね?」
色々な可能性はあるが、そこに住んでいる人がどういった人であろうと仲良くやれればいいが、もし争いが生じるようなことがあれば……。僕はちょっとだけそんな不安が胸をよぎった。
「人がいたらいたで、新しい情報が手に入るメリットはあるが、逆にちょっとめんどくさいことになるかもな」
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