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山菜さんのリュック
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「リュックの方は何が入ってるんですか?」
僕は山菜さんがリュックを背負ったままなのを見ると、中身を見せてくれるよう頼んだ。
「ほら」
山菜さんはリュックをひっくり返して、豪快にリュックの中身をぶちまけた。
「まあ、食材が多いかな」
言葉通り、米、肉、下ごしらえ済みの野菜、調味料など、ほぼバーベキュー材料が揃っていた。
「これで二人分」
「お友達、大丈夫でしょうかね?」
桂坂さんが心配そうに言う。山菜さんは笑って答えた。
「ああ、あいつなら大丈夫。向こうもそれなりに食糧持って来てるから。日帰りでも帰れるところだし、私がいないと知ったら、探し回りはするだろうが、適当なところで諦めてさっさと撤収するぐらいの分別はついてるよ」
たいした信頼感だ。それだけ頼れる友達を持っているなんて羨ましい。
他にはタオルや除菌ティッシュ、ラップやアルミホイル、洗剤、たわし、トング、ソーラーランタンなどもあった。山菜さんの着替えと下着の替え、寝袋も入っていた。
「よくこんなに詰め込めましたね」
「まあ、慣れてるからな。相方のほうにも色々詰め込んでたんだけどな。そっちは仕方ないか……」
「今日はこれからどうします?」
生果さんが山菜さんに尋ねる。
「そうだな。しばらく寝させてくれるかな。ここで寝ても大丈夫だよな」
真昼間から寝れるのか? これからキャンプするんじゃなかったの? 僕は突っ込みたいことが山ほどあったが、僕が口を挟む前に山菜さんはさっさと横になってしまった。
料子さんも生果さんも苦笑いしている。
「まあ、いいんじゃないの。環境が急に変わって、寝てる間に気持ちも切り替えたいんでしょ」
料子さんはそう言って、仕事に戻っていった。
僕らも解散し、僕は農家さんに声をかけて畑仕事を再開した。畑の近くを電気さんや宙がたまに行き来していたが、特に話すこともなく僕は仕事に専念した。
夕方、スカウトさんが帰ってくると、早速入り口に置いてあったテントをめざとく見つけた。
「こりゃ、テントじゃねえか。健太、こいつ、今日来た人が持ってきたのか?」
「ええ。女の人なんですが、二人用のテントだそうです」
「こりゃいい。自転車君、君はテントで一泊する元気はあるかい?」
急に話を振られた自転車君はびっくりしたようですぐに答えられない。
「いやな、今朝も健太と話してたんだが、一回野宿してみようと思ってな。健太には反対されてんだが、二人用のテントがあるなら話は別だ。これなら健太も文句はないだろ」
僕は山菜さんがリュックを背負ったままなのを見ると、中身を見せてくれるよう頼んだ。
「ほら」
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「これで二人分」
「お友達、大丈夫でしょうかね?」
桂坂さんが心配そうに言う。山菜さんは笑って答えた。
「ああ、あいつなら大丈夫。向こうもそれなりに食糧持って来てるから。日帰りでも帰れるところだし、私がいないと知ったら、探し回りはするだろうが、適当なところで諦めてさっさと撤収するぐらいの分別はついてるよ」
たいした信頼感だ。それだけ頼れる友達を持っているなんて羨ましい。
他にはタオルや除菌ティッシュ、ラップやアルミホイル、洗剤、たわし、トング、ソーラーランタンなどもあった。山菜さんの着替えと下着の替え、寝袋も入っていた。
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「今日はこれからどうします?」
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「そうだな。しばらく寝させてくれるかな。ここで寝ても大丈夫だよな」
真昼間から寝れるのか? これからキャンプするんじゃなかったの? 僕は突っ込みたいことが山ほどあったが、僕が口を挟む前に山菜さんはさっさと横になってしまった。
料子さんも生果さんも苦笑いしている。
「まあ、いいんじゃないの。環境が急に変わって、寝てる間に気持ちも切り替えたいんでしょ」
料子さんはそう言って、仕事に戻っていった。
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夕方、スカウトさんが帰ってくると、早速入り口に置いてあったテントをめざとく見つけた。
「こりゃ、テントじゃねえか。健太、こいつ、今日来た人が持ってきたのか?」
「ええ。女の人なんですが、二人用のテントだそうです」
「こりゃいい。自転車君、君はテントで一泊する元気はあるかい?」
急に話を振られた自転車君はびっくりしたようですぐに答えられない。
「いやな、今朝も健太と話してたんだが、一回野宿してみようと思ってな。健太には反対されてんだが、二人用のテントがあるなら話は別だ。これなら健太も文句はないだろ」
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