異世界転移物語

月夜

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説明と健康チェック

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   家には料子さんとナースさんがいた。新しく来た人に対して、料子さんにここの生活のことを話してもらうことにしたのだ。僕や桂坂さんでも説明出来なくはないが、やはり生活全般の面倒を見ている料子さんか生果さんから説明してもらったほうがいいんじゃないか、ということになったのだ。

    また、ナースさんには毎回健康チェックをしてもらうことにした。まあ、伝染病を抱えたままこちらに来る人はいないだろうが、風邪気味な人でも早めに対処しておいたほうがいい。皆に感染してしまうとそれだけ労働力が不足していまうし、仮に重症化すれば打つ手がなくなるおそれもある。

    杉浦さんは一通りの説明を聞き終え、健康チェックでも特に問題はなかった。

「しっかり役割分担出来てるんですね」

   杉浦さんは、僕たちがきちんと対応したのに感心したようだ。

「やっぱりここには電気がないんですね」

    家の中を見渡しながら言う。

「そうね。あるのはモバイルバッテリーぐらいかしら。スマホなんかを除くと、電化製品自体が全然ないんだけどね」

「せっかく電気のプロが来たのに……」

    料子さんが答えたあと、ナースさんが残念そうにつぶやく。

「いえ、そうでもないですよ。発電機もあるし、ちょっとした電化製品ぐらいなら作れるかもしれません」

「本当ですか!」

   僕はちょっとびっくりした。

「まあ、材料が揃わないとできないけど。今あるものだけでは無理そうだな……」

   僕は電気についてもさっぱりなので、専門的な話は、大工さんとかスカウトさんあたりに任せようと思った。

「まあ、スマホぐらいは発電機があれば余裕で使えるよ」

「そういえば、発電機って、ガソリンとか入れるんじゃないんですか?」

   僕はうろ覚えの知識を頭からひねりだした。

「ああ、一般的にはガソリンタイプが多いけど、今はガスのも普通に使われている。これはガスボンベを使うやつさ。ホームセンターにある普通のガスボンベを二本使うタイプ」

「へええ、最近はそんなのあるんですね」

「普通に使うとせいぜい二時間が限度だから、持ってきたガスボンベの数から考えると、発電機が使える時間は述べ十四時間程度ってとこだな。スマホの充電に使う場合は、モバイルバッテリーに充電する感じの使い方になるだろうな」

「電化製品とかは全然持って来てないですよね?」とナースさん。

「残念ながら。こんなことなら小型の冷蔵庫ぐらいを持ってくるべきだったかな」

   杉浦さんは僕らともやりとりにもすっかり慣れたみたいだ。
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