22 / 319
釣りキチさん
しおりを挟む
「ええと、これからどうします?」
とりあえずの説明が終わったあと、僕はスカウトさんに尋ねた。
「そうだな。せっかく釣りキチ君が来たんだから、湖で釣りしてもらおうか。見たところ道具も揃っているみたいだから、出来るよな?」
スカウトさんに急に振られた釣りキチさんは、一瞬、キョトンとしていた。
「あ、釣りですか……どこかに湖があるんですか? 実際にその湖を見てみないことには何とも言えませんが、魚がいれば、多分出来ると思いますけど」
「ああ、こここら1時間ぐらいのところに湖がある。魚もいる。なんとかあれを釣って欲しい」
「そうですか。分かりました。釣れるかどうかは分かりませんけど、やってみましょう」
釣りキチさんは、最初は戸惑っていたものの、スカウトさんの説明に納得したのか、最終的にその提案を了承した。
「それじゃ、健太君に……あ、優子ちゃんがいいかな? 優子ちゃん」
スカウトさんが桂坂さんの名を呼ぶ。
「はい」
「すまんが、釣りキチ君を湖まで案内してくれないかな。午後はとりあえず、ずっと一緒に釣りをして、夜までに戻ってきてくれたらいい」
「分かりました」
「俺と健太君は、引き続いて、ルートの捜索をしよう」
「はい」
スカウトさんの差配で方針が決まった。僕ならこうテキパキとは決められなかっただろう。やはり、スカウトさんは頼もしい。
僕たちは、さっそく二手に別れた。スカウトさんと僕は脱出路の調査に、釣りキチさんと桂坂さんは湖へと向かった。
これで何度目の調査になるのだろう? 一向にめぼしい成果はあげられないままだが、それでもスカウトさんにとっては色々と興味深いものがあるらしく、ルート探索しながらも、途中で木の実を採ったり、キノコを探したりもしていた。
今のところ、幸いにも天気がいいので助かっている。レインコートはこの世界に持ってきてはいるが、雨の中での行動は視界も悪く、足元も動きにくくなることからなにかと不便であろう。
「天気が良くていいですね」
僕は素直な感想をそのまま伝えた。
「そうだな。まあ、不幸中の幸いといったところか。気温もちょうどいいしな」
「季節としては、初夏なんでしょうか?」
「うーん、どうだろうなあ。元の街と同じ季節なら初夏だが、実際は秋ってこともあり得るからなあ」
「雨が降ってないせいか、少しカラッとしてますね」
「そうだな。梅雨ならもう少し、湿っていてもおかしくないが、木の葉とか見るとどちらかというと乾燥しているようだな」
とりあえずの説明が終わったあと、僕はスカウトさんに尋ねた。
「そうだな。せっかく釣りキチ君が来たんだから、湖で釣りしてもらおうか。見たところ道具も揃っているみたいだから、出来るよな?」
スカウトさんに急に振られた釣りキチさんは、一瞬、キョトンとしていた。
「あ、釣りですか……どこかに湖があるんですか? 実際にその湖を見てみないことには何とも言えませんが、魚がいれば、多分出来ると思いますけど」
「ああ、こここら1時間ぐらいのところに湖がある。魚もいる。なんとかあれを釣って欲しい」
「そうですか。分かりました。釣れるかどうかは分かりませんけど、やってみましょう」
釣りキチさんは、最初は戸惑っていたものの、スカウトさんの説明に納得したのか、最終的にその提案を了承した。
「それじゃ、健太君に……あ、優子ちゃんがいいかな? 優子ちゃん」
スカウトさんが桂坂さんの名を呼ぶ。
「はい」
「すまんが、釣りキチ君を湖まで案内してくれないかな。午後はとりあえず、ずっと一緒に釣りをして、夜までに戻ってきてくれたらいい」
「分かりました」
「俺と健太君は、引き続いて、ルートの捜索をしよう」
「はい」
スカウトさんの差配で方針が決まった。僕ならこうテキパキとは決められなかっただろう。やはり、スカウトさんは頼もしい。
僕たちは、さっそく二手に別れた。スカウトさんと僕は脱出路の調査に、釣りキチさんと桂坂さんは湖へと向かった。
これで何度目の調査になるのだろう? 一向にめぼしい成果はあげられないままだが、それでもスカウトさんにとっては色々と興味深いものがあるらしく、ルート探索しながらも、途中で木の実を採ったり、キノコを探したりもしていた。
今のところ、幸いにも天気がいいので助かっている。レインコートはこの世界に持ってきてはいるが、雨の中での行動は視界も悪く、足元も動きにくくなることからなにかと不便であろう。
「天気が良くていいですね」
僕は素直な感想をそのまま伝えた。
「そうだな。まあ、不幸中の幸いといったところか。気温もちょうどいいしな」
「季節としては、初夏なんでしょうか?」
「うーん、どうだろうなあ。元の街と同じ季節なら初夏だが、実際は秋ってこともあり得るからなあ」
「雨が降ってないせいか、少しカラッとしてますね」
「そうだな。梅雨ならもう少し、湿っていてもおかしくないが、木の葉とか見るとどちらかというと乾燥しているようだな」
0
お気に入りに追加
124
あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。

俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる