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■第1章 幼年期

✦番外編「でっぷり太った餅 ガーラ団」

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✦番外編「でっぷり太った餅」

 怪しげな部屋に二人。部屋の一番奥には虹色に輝く枝が飾ってあった。
 一人は餅のようにでっぷり太ったまるい体で酒をラッパ飲みしながら、下品な笑みを浮かべ餅をほおばっている男。
 もう一人は、筋肉質で腰に刀を携えた、屈強そうな巨男。
 二人とも忍者のような風貌をしている。

「おいナギ」
「はい。某はここにキーガ様」


 ナギと呼ばれる屈強な男は膝を地面につきながら答えた。
 はたから見ても、キーガと呼ばれる男にナギが使えているのが分かるだろう。

「ヤンスとジョージョが返ってこないな」
「ハッ! あの二人は商店街で『予言の』王子の情報収集をしておりました」
「……俺様はあいつらの安否を確認してくる。死んでなきゃいいんだが」
「あの商店街付近は王国の息がかかっているところ。
 いくら我々に有利な夜であっても、あなた様に危険が及びます。
 ここは某が見てきましょう」
「それは許さん。
 これは俺様の仕事だ。
 ほかの団員にもそう言っとけ
 お前らを危険な目に合わせたくはねぇんだ」
「それでは、某だけは護衛として同行いたしましょう」
「……まぁ、それならいいが……」

 二人は行方が分からなくなったガーラ団員を探しに部屋を出た。
 そして……

「ひでぇ有様だな」
「この傷跡…… 護衛のメイドでしょうか?」
「そうだろうな」

 キーガは火炎の実を団員にぶつけた。
 二人の団員は瞬く間にメラメラと燃え、骨だけになった。

「魔術は使わないので?」
「あとから残った魔力で俺が生き延びたとバレたらしまいじゃねぇか
 この火炎の実はぶつけるだけで勝手に燃えるからな、証拠が残りずれーんだよ。
 ホラさっさと運べデカブツ」

 無言のナギの手際は良い。
 きっといつものことなのだろう。
 二人とも仲がいい。



「仇はとる」

 燃えカスとなった団員を握り、キーガはぽつりそうつぶやいた。
 しかしその目は熱を帯びて燃えていた。


 その間にナギはせっせこお墓を作る。



「地獄でまた酒に付き合いやがれよ
 もちろん、つまみは餅だ」

 仲間が死んだ心の渇きを癒すはアルコール。
 そして、今さっき作った墓にキーガ団長は酒をかけるのだった。

 立ち上がり、歩き出す。

「おいナギ。
 予定変更だ。
 あの・・手紙を今からでも暗黒大陸に出――」
「ぐわッ」

 キーガは何もないところでコケた。
 ドジなところがあるようだ。

 キーガは恥ずかしそうに、すぐに立ち上がる。
 幸い、ナギにはバレていなかった。

「御意」
「数か月後に……ショータイムだ♪」

 キーガ団長はかっこつけながら、しかし恥ずかしそうに静かに言った。


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