1 / 19
■第1章 幼年期
✦第1話「奴隷の転生」
しおりを挟む
✦第一話「奴隷の転生」
気が付くと、不思議な空間にいた。
何も見えないし、何も聞こえない。
ただひたすらに落ち続けている感覚だけがある。
ここは一体どこなのだろう。
もしかして、夢なのか?
いや、ここは、ひょっとすると精神世界? なのかもしれない。
「――×××××――」
誰だ? 今、誰かの声が聞こえた気がするぞ?
それに、なぜだか、少し重くなった気もする。
(誰かいるのか?)
そう心の中で思ってみるが、反応はない。
……きっと、気のせいだな。
直観だがこの空間には、僕以外の人はいない。
それにしても、あっけない最後だったなぁ。
あんなくだらないことで、処刑するのか。
王様は。
――死にたくない。
だって、まだ、なんにもできていない。
何も成し遂げていないし、何も楽しんでいない。
そんな状態で死にたくない……。
そんな思いとは裏腹に、だんだんと意識が遠のいてきた。
ああ、嫌だ、まだ死にたくない。
まだ何もできていないじゃないか。
こんなところで死にたくない。
僕はその時、生まれて初めて強く思った。
――生きたい。
と。
そんな後悔にのまれながら、僕は意識を失った。
★ ★ ★
意識が浮上し、まず感じたのは周囲の冷たさだ。
まるで、薄っぺらな布切れ一枚の上に寝転がっているような感覚が広がり、冷たい空気が身体を包んでいた。
ガランとした静寂も広がっている。
しかし、そんな感覚も、人の気配を感じたのと同時に、少しずつ温かみへ変わっていく。
ジワジワと広がり、しばらくたつと聖母のような温かさが全身を包んだ。
そして、遠くから聞こえる安堵の声。
(僕は生きているのか?)
あんな糞みたいやつに、糞みたいに……されたのに。
まだ……。
(でも、何か違和感があるんだよな)
そう、先ほどから体中に迸る違和感。
自分の身体が自分の身体でないように感じる。
例えば、手足を動かそうと思っても、うまく動かすことができない。
周囲の匂いが異様に鼻孔へ入り込んでくる。
先ほどは腹を切られた激痛があったのだが、今は何ともない。
そんな違和感に首をかしげつつ、状況を把握しようとゆっくり瞼を開けた。
すると……。
(ん? うわっ、眩し!)
瞼を開いた瞬間、視界一面が白色に染まり、まばゆい光で目が眩んだ。
今までにない感覚だ。
目を細めたり、パチクリさせながら光に慣れるように努めると、見覚えのない不思議な所にいることに気が付いた。
霞む視界に映りこんだのは、二つ。
一つは、ゴテゴテと装飾のついた、煌びやかで豪華な部屋。もう一つは、人のシルエットだ。
部屋に関して言えば、国の王族が使っていても遜色なさそうなデザイン。
シルエットは――。
(えーと、一、二、三、四、五人?)
五人の人物だった。
五人中、三人は遠くで立っており、まるでメイドのような佇まいだ。一人赤髪の人もいる。
五人中、二人は近くで座っており、どこか優雅で威厳のありそうな雰囲気を纏っている。
(おいおい……
ちょっとまて
これは、どういう状況だ!?)
う~む、一旦整理しよう。
まず、王様に処刑された。
次に、変な真っ白い空間にいた。
目が覚めると、見知らぬ部屋に見知らぬ人。
うん。意味が解らない。
そんなことを考えながらあためふためいていると、近くの一人の男が立ち上がった。
白髪だが、顔は全く老けているようには見えない。
若い青年だ。
いや、中年にみえなくもない。
白髪の男がこっちへ向かってくる。
僕は、一旦距離を置こうとするが、近くの金髪の女性に捕まった。
体が動かないため、抵抗虚しく金髪の女性に抱かれた。
そして、金髪の女性を経由して、白髪の男性に抱かれた。
(すげぇ力だな? ん?)
僕はその時、視界に映るある問題に気が付いた。
――そこには、鏡に自分が映っていた。
問題はその姿だ。
鏡に映った人は、白髪の赤ん坊だった……。
そこで、気づいた。
(うん。
どうやら僕は、赤ん坊に、転生したようだ)
★ ★ ★
一年が経過した。
僕は一歳になった。
この一年で分かったことがある。
それは、自分、両親、メイドの名前だ。
僕の名前はウィルソン・ライト、
父はラセフ・ライト、
母はミリア・ライト、
メイドはショウ、というらしい。
今までずっと番号で呼ばれてきた僕にとって、名前で呼ばれるのは少し感慨深いものもある。
ちなみに、ショウは、僕が生まれた時に少し遠くで待機していた、赤髪の女性だ。
両親はほとんどの時間、どこかへ行っているので、僕の親代わりをしてくれている。
ショウは僕の教育係兼、世話係、という役職らしい。
『転生』。
前世では妄想するしかなかった『転生』。
それが今実際に起きている。
驚くべきことだ。
なぜ、僕は『転生』したのか……。
そこに意味はあるのか……。
まぁ、考えてもわからない。
それにどうやら、髪の色を見るに、ここは前世にいた場所とは全く違う所の様だ。
言語も違う。
文化もどこか中世的だ。
……きっと、国が違うのだろう。
――でも奴隷の時よりかは遥かにマシだろう。
まず、この部屋は広い。
とても、広い。
奴隷だったのでこの世界の平均的な広さは知らないが、子供部屋にしてはとても広く感じる。
見た感じ、縦約十メートル、横約二十メートルはある。
奴隷が雑魚寝で使っていた硬い布の二十倍はあろう程の面積だ。
こんな豪華な屋敷(?)でただ飯を食わせてもらっているんだ。
神に感謝せずにはいられない。神なんていないと思うけど。
僕なんかがこんな生活をしていいのかと罪悪感が湧いてくる……。
本棚の本なんて、三百冊くらいありそうな雰囲気だ。
前世にいた貴族でさえ、本はあまり読むことができない、と聞いたことがある。
前世よりも文明が遅れているこの時代、本はとても希少なはずなのに……。
そんなだだっ広い部屋に僕一人である。
ショウや部屋に食事を運ぶメイドなどしか、この部屋に出入りしない。
それ以外の時は、ボッチだ。
ちなみに両親は僕の誕生から今までの間、三回しか顔を見せなかった。
多忙なのか興味がないのかは知らないが、せめてもう少し、会いに来てほしいと思ってしまう。
部屋には窓があるが、身長が足りないため外が見れない。
詰みだ。暇だ。退屈だ。
てなわけで、僕は部屋の本でも読んで時間をつぶしたとさ。(ぴえん)
★ ★ ★
二年が経過した。
僕は三歳になった。
最近はショウが来る頻度が多くなった。
教育係として、僕に教育を施しに来るのだ。
――コンコンコン。
誰かが扉をたたく。
きっとショウだ。
「ウィルソン様、失礼します」
――ガチャリ。
ショウだ。
ショウはまじめだ。
毎日、殆ど同じ時間に部屋へと入ってくる。
立派な社ちk……いや、仕事に忠実なのだろう。
「それでは、絵本の読み聞かせをしますね」
僕は内またでもじもじしながらも、コクコクと頷く。
「じゃあ今日は『三原神の伝説』でも読みましょうか」
ショウは本棚の左下から絵本を取り出した。
僕の好きな本だ。
「昔々――」
絵本の内容は、光神、闇神、無神の三原神のうち光神《コウシン》を主人公とした争いの物語だ。
物語は無神《ムジン》が光神、闇神を裏切るところから始まる。
光神《コウシン》の出会いと別れ、戦いを軸に物語は進んでいく。
神話、とでもいうのだろうか?
とても胡散臭い。
だけど、これが面白い。
物語のテンポが良くて読みやすい。
冊数も結構ある。
楽しみだな。
今回はどんな話なんだろうか?
今回の大まかな流れはこうだ。
まず、光神が自身の魔術で木の精霊を呼び出し仲間とする。
次に、世界一の鍛冶職人に出会い剣を作ってもらう。
最後に、旅に出る。
といった内容だ。
「――おしまい」
しばらくの間、本を読んだ。
見ると、もう外が暗くなってる。
「もう寝る時間ですね。
今日はこのくらいで終わりにしましょうか」
「そうですね。そうしましょう」
ショウは絵本を棚へと戻した。
「ではウィルソン様、お休みなさいませ」
「おやすみなさい」
ショウが優しく微笑みながら部屋を出て行った。
僕はベッドに寝そべり、絵本の内容を頭の中で反芻しながら眠りにつく。
こうして、僕の一日は終わりを迎えた。
★ ★ ★
また二年が経過した。
僕は五歳になった。
身長も伸び、成長を感じる。
ふと、窓の外を見た。
すると、僕の瞳には不可思議な生き物が映った。
(ん? あれは……)
それは、巨大で翼の生えたトカゲ、のような生き物だった。
そしてそれが、兵士と戦っていたのだ。
「え!? 何! あの生き物は!!」
僕は驚き、そう叫んだ。
すると、近くにいたショウが反応してくれた。
「ああ、ウィルソン様はみるのが初めてでしたか。
あれはですね、神獣ジュエリー。
竜です」
ジュエリーはこちらを見ると、吠えた。
まるで、こちらを認識しているように。
ジュエリーは空を生き生きと泳いでいた。
それは、この世界を自由に生きている象徴のようにも見えた。
その瞬間、ずっと停滞していた時が動き出した。
今まで、国の違いであると思っていたものは、そもそも『世界』に違いがあったことに気が付いた。
この世界は前世の世界とは違う『異世界』だったのだ。
★ ★ ★
前世では何もできずに死んでしまった。
あまつさえ、奴隷として。
当たり前ではあるのだが、過去を振り返らないということはできるが、過去から逃げることはできない。
僕が前世で、奴隷だったという事実は変わらない。
でも、今回は違う。
そうはならないと、誓おう。
今度こそは、『人生を冒険する』と、
自由に空を飛ぶ、竜を見て、ただただそう思った。
これは僕が自由にいき、
そして、奴隷ではない、何者かになる。
ただそれだけの、物語。
気が付くと、不思議な空間にいた。
何も見えないし、何も聞こえない。
ただひたすらに落ち続けている感覚だけがある。
ここは一体どこなのだろう。
もしかして、夢なのか?
いや、ここは、ひょっとすると精神世界? なのかもしれない。
「――×××××――」
誰だ? 今、誰かの声が聞こえた気がするぞ?
それに、なぜだか、少し重くなった気もする。
(誰かいるのか?)
そう心の中で思ってみるが、反応はない。
……きっと、気のせいだな。
直観だがこの空間には、僕以外の人はいない。
それにしても、あっけない最後だったなぁ。
あんなくだらないことで、処刑するのか。
王様は。
――死にたくない。
だって、まだ、なんにもできていない。
何も成し遂げていないし、何も楽しんでいない。
そんな状態で死にたくない……。
そんな思いとは裏腹に、だんだんと意識が遠のいてきた。
ああ、嫌だ、まだ死にたくない。
まだ何もできていないじゃないか。
こんなところで死にたくない。
僕はその時、生まれて初めて強く思った。
――生きたい。
と。
そんな後悔にのまれながら、僕は意識を失った。
★ ★ ★
意識が浮上し、まず感じたのは周囲の冷たさだ。
まるで、薄っぺらな布切れ一枚の上に寝転がっているような感覚が広がり、冷たい空気が身体を包んでいた。
ガランとした静寂も広がっている。
しかし、そんな感覚も、人の気配を感じたのと同時に、少しずつ温かみへ変わっていく。
ジワジワと広がり、しばらくたつと聖母のような温かさが全身を包んだ。
そして、遠くから聞こえる安堵の声。
(僕は生きているのか?)
あんな糞みたいやつに、糞みたいに……されたのに。
まだ……。
(でも、何か違和感があるんだよな)
そう、先ほどから体中に迸る違和感。
自分の身体が自分の身体でないように感じる。
例えば、手足を動かそうと思っても、うまく動かすことができない。
周囲の匂いが異様に鼻孔へ入り込んでくる。
先ほどは腹を切られた激痛があったのだが、今は何ともない。
そんな違和感に首をかしげつつ、状況を把握しようとゆっくり瞼を開けた。
すると……。
(ん? うわっ、眩し!)
瞼を開いた瞬間、視界一面が白色に染まり、まばゆい光で目が眩んだ。
今までにない感覚だ。
目を細めたり、パチクリさせながら光に慣れるように努めると、見覚えのない不思議な所にいることに気が付いた。
霞む視界に映りこんだのは、二つ。
一つは、ゴテゴテと装飾のついた、煌びやかで豪華な部屋。もう一つは、人のシルエットだ。
部屋に関して言えば、国の王族が使っていても遜色なさそうなデザイン。
シルエットは――。
(えーと、一、二、三、四、五人?)
五人の人物だった。
五人中、三人は遠くで立っており、まるでメイドのような佇まいだ。一人赤髪の人もいる。
五人中、二人は近くで座っており、どこか優雅で威厳のありそうな雰囲気を纏っている。
(おいおい……
ちょっとまて
これは、どういう状況だ!?)
う~む、一旦整理しよう。
まず、王様に処刑された。
次に、変な真っ白い空間にいた。
目が覚めると、見知らぬ部屋に見知らぬ人。
うん。意味が解らない。
そんなことを考えながらあためふためいていると、近くの一人の男が立ち上がった。
白髪だが、顔は全く老けているようには見えない。
若い青年だ。
いや、中年にみえなくもない。
白髪の男がこっちへ向かってくる。
僕は、一旦距離を置こうとするが、近くの金髪の女性に捕まった。
体が動かないため、抵抗虚しく金髪の女性に抱かれた。
そして、金髪の女性を経由して、白髪の男性に抱かれた。
(すげぇ力だな? ん?)
僕はその時、視界に映るある問題に気が付いた。
――そこには、鏡に自分が映っていた。
問題はその姿だ。
鏡に映った人は、白髪の赤ん坊だった……。
そこで、気づいた。
(うん。
どうやら僕は、赤ん坊に、転生したようだ)
★ ★ ★
一年が経過した。
僕は一歳になった。
この一年で分かったことがある。
それは、自分、両親、メイドの名前だ。
僕の名前はウィルソン・ライト、
父はラセフ・ライト、
母はミリア・ライト、
メイドはショウ、というらしい。
今までずっと番号で呼ばれてきた僕にとって、名前で呼ばれるのは少し感慨深いものもある。
ちなみに、ショウは、僕が生まれた時に少し遠くで待機していた、赤髪の女性だ。
両親はほとんどの時間、どこかへ行っているので、僕の親代わりをしてくれている。
ショウは僕の教育係兼、世話係、という役職らしい。
『転生』。
前世では妄想するしかなかった『転生』。
それが今実際に起きている。
驚くべきことだ。
なぜ、僕は『転生』したのか……。
そこに意味はあるのか……。
まぁ、考えてもわからない。
それにどうやら、髪の色を見るに、ここは前世にいた場所とは全く違う所の様だ。
言語も違う。
文化もどこか中世的だ。
……きっと、国が違うのだろう。
――でも奴隷の時よりかは遥かにマシだろう。
まず、この部屋は広い。
とても、広い。
奴隷だったのでこの世界の平均的な広さは知らないが、子供部屋にしてはとても広く感じる。
見た感じ、縦約十メートル、横約二十メートルはある。
奴隷が雑魚寝で使っていた硬い布の二十倍はあろう程の面積だ。
こんな豪華な屋敷(?)でただ飯を食わせてもらっているんだ。
神に感謝せずにはいられない。神なんていないと思うけど。
僕なんかがこんな生活をしていいのかと罪悪感が湧いてくる……。
本棚の本なんて、三百冊くらいありそうな雰囲気だ。
前世にいた貴族でさえ、本はあまり読むことができない、と聞いたことがある。
前世よりも文明が遅れているこの時代、本はとても希少なはずなのに……。
そんなだだっ広い部屋に僕一人である。
ショウや部屋に食事を運ぶメイドなどしか、この部屋に出入りしない。
それ以外の時は、ボッチだ。
ちなみに両親は僕の誕生から今までの間、三回しか顔を見せなかった。
多忙なのか興味がないのかは知らないが、せめてもう少し、会いに来てほしいと思ってしまう。
部屋には窓があるが、身長が足りないため外が見れない。
詰みだ。暇だ。退屈だ。
てなわけで、僕は部屋の本でも読んで時間をつぶしたとさ。(ぴえん)
★ ★ ★
二年が経過した。
僕は三歳になった。
最近はショウが来る頻度が多くなった。
教育係として、僕に教育を施しに来るのだ。
――コンコンコン。
誰かが扉をたたく。
きっとショウだ。
「ウィルソン様、失礼します」
――ガチャリ。
ショウだ。
ショウはまじめだ。
毎日、殆ど同じ時間に部屋へと入ってくる。
立派な社ちk……いや、仕事に忠実なのだろう。
「それでは、絵本の読み聞かせをしますね」
僕は内またでもじもじしながらも、コクコクと頷く。
「じゃあ今日は『三原神の伝説』でも読みましょうか」
ショウは本棚の左下から絵本を取り出した。
僕の好きな本だ。
「昔々――」
絵本の内容は、光神、闇神、無神の三原神のうち光神《コウシン》を主人公とした争いの物語だ。
物語は無神《ムジン》が光神、闇神を裏切るところから始まる。
光神《コウシン》の出会いと別れ、戦いを軸に物語は進んでいく。
神話、とでもいうのだろうか?
とても胡散臭い。
だけど、これが面白い。
物語のテンポが良くて読みやすい。
冊数も結構ある。
楽しみだな。
今回はどんな話なんだろうか?
今回の大まかな流れはこうだ。
まず、光神が自身の魔術で木の精霊を呼び出し仲間とする。
次に、世界一の鍛冶職人に出会い剣を作ってもらう。
最後に、旅に出る。
といった内容だ。
「――おしまい」
しばらくの間、本を読んだ。
見ると、もう外が暗くなってる。
「もう寝る時間ですね。
今日はこのくらいで終わりにしましょうか」
「そうですね。そうしましょう」
ショウは絵本を棚へと戻した。
「ではウィルソン様、お休みなさいませ」
「おやすみなさい」
ショウが優しく微笑みながら部屋を出て行った。
僕はベッドに寝そべり、絵本の内容を頭の中で反芻しながら眠りにつく。
こうして、僕の一日は終わりを迎えた。
★ ★ ★
また二年が経過した。
僕は五歳になった。
身長も伸び、成長を感じる。
ふと、窓の外を見た。
すると、僕の瞳には不可思議な生き物が映った。
(ん? あれは……)
それは、巨大で翼の生えたトカゲ、のような生き物だった。
そしてそれが、兵士と戦っていたのだ。
「え!? 何! あの生き物は!!」
僕は驚き、そう叫んだ。
すると、近くにいたショウが反応してくれた。
「ああ、ウィルソン様はみるのが初めてでしたか。
あれはですね、神獣ジュエリー。
竜です」
ジュエリーはこちらを見ると、吠えた。
まるで、こちらを認識しているように。
ジュエリーは空を生き生きと泳いでいた。
それは、この世界を自由に生きている象徴のようにも見えた。
その瞬間、ずっと停滞していた時が動き出した。
今まで、国の違いであると思っていたものは、そもそも『世界』に違いがあったことに気が付いた。
この世界は前世の世界とは違う『異世界』だったのだ。
★ ★ ★
前世では何もできずに死んでしまった。
あまつさえ、奴隷として。
当たり前ではあるのだが、過去を振り返らないということはできるが、過去から逃げることはできない。
僕が前世で、奴隷だったという事実は変わらない。
でも、今回は違う。
そうはならないと、誓おう。
今度こそは、『人生を冒険する』と、
自由に空を飛ぶ、竜を見て、ただただそう思った。
これは僕が自由にいき、
そして、奴隷ではない、何者かになる。
ただそれだけの、物語。
11
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
転移ですか!? どうせなら、便利に楽させて! ~役立ち少女の異世界ライフ~
ままるり
ファンタジー
女子高生、美咲瑠璃(みさきるり)は、気がつくと泉の前にたたずんでいた。
あれ? 朝学校に行こうって玄関を出たはずなのに……。
現れた女神は言う。
「あなたは、異世界に飛んできました」
……え? 帰してください。私、勇者とか聖女とか興味ないですから……。
帰還の方法がないことを知り、女神に願う。
……分かりました。私はこの世界で生きていきます。
でも、戦いたくないからチカラとかいらない。
『どうせなら便利に楽させて!』
実はチートな自称普通の少女が、周りを幸せに、いや、巻き込みながら成長していく冒険ストーリー。
便利に生きるためなら自重しない。
令嬢の想いも、王女のわがままも、剣と魔法と、現代知識で無自覚に解決!!
「あなたのお役に立てましたか?」
「そうですわね。……でも、あなたやり過ぎですわ……」
※R15は保険です。
※小説家になろう様、カクヨム様でも連載しております。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双
たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。
ゲームの知識を活かして成り上がります。
圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
【R18】童貞のまま転生し悪魔になったけど、エロ女騎士を救ったら筆下ろしを手伝ってくれる契約をしてくれた。
飼猫タマ
ファンタジー
訳あって、冒険者をしている没落騎士の娘、アナ·アナシア。
ダンジョン探索中、フロアーボスの付き人悪魔Bに捕まり、恥辱を受けていた。
そんな折、そのダンジョンのフロアーボスである、残虐で鬼畜だと巷で噂の悪魔Aが復活してしまい、アナ·アナシアは死を覚悟する。
しかし、その悪魔は違う意味で悪魔らしくなかった。
自分の前世は人間だったと言い張り、自分は童貞で、SEXさせてくれたらアナ·アナシアを殺さないと言う。
アナ·アナシアは殺さない為に、童貞チェリーボーイの悪魔Aの筆下ろしをする契約をしたのだった!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる