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「ご心配なく。すでにお代はいただいております」
「え?」

 優花は不思議そうな顔をします。

「優花さんは、お賽銭をいれてくれたでしょう?」
「あ」

 夕月の言うとおり、優花はこの神社に訪れたとき、お賽銭を投げ入れています。

「お賽銭とは、神様に願いを叶えてもらったお礼と、次の願いも叶えてくださいという意味が、こめられているんです。
 なので安心して、このお守りを受け取ってください」

 夕月は再度、優花にお守りを差し出します。
 今度は、優花も受け取りました。

「ありがとうございます」
「いえいえ。もう暗いですから、気をつけてお帰りくださいね」
「はい。さようなら!」

 お守りを握りしめた優花は、笑顔で神社をあとにしました。

 夕月は優花の姿が見えなくなるまで、見送りました。

「……今日も、お仕事完了ですね」

 ふわりと風が吹くと、夕月の姿がかわりました。
 夕月の頭には狐の耳。おしりにはふわふわの尻尾。まさしく狐の神様。

 夕月は胸に手を当て、語りかけてきます。

「悩みを抱える人間のみなさま。その悩み、この狐神、夕月に話してみませんか? 悩めるみなさまのご参拝、心よりお待ちしております」

 夕月はゆっくりと、頭を下げた。

 チリン

 鈴の音が軽やかに響く。気が付くと、そこには、誰の姿もなかった。

 黄昏神社。悩めるものを、狐の神さまが導きます。
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感想 2

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みんなの感想(2件)

きんお(僧侶)

童話のような素敵なお話ですね!
大人向けにもっとワクワクするような問題解決のお話もお願いしたいなぁと思います(^^)

解除
さくらもち
2020.10.20 さくらもち

面白かったです(´;ω;`)
こういう系大好きで、優花ちゃんどうなった!??と、めちゃくちゃ気になります……

新しいお父さんと仲良くできてるといいなぁ…少しほっこりするお話でした。

大変面白かったです。他の小説(?)も見ようかと思います。

解除

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