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電話ボックス
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ある土曜日。部活が早上がりで夕方ごろに終わったため、その日はデートをする予定だった美代と勝也。
「ごめん美代ちゃん!」
「仕方ないですよ」
勝也は急遽、今度行う他校との練習時代についての打ち合わせが入り、デートに行けなくなってしまったのだった。勝也は美代に何度も謝るが、美代は「平気だ」と笑う。
「勝也先輩、デートはまたできますから。大事な打ち合わせに、行ってください。私は先輩がバスケをしている姿が、一番好きなんですから」
「うぅ。ごめんね。必ず、埋め合わせするから!」
走り去る勝也を見送り、美代は一人、家路についた。
家の近くまできた美代は、夕方の空を見上げた。
(一人で帰るの、久々だなぁ。勝也先輩と付き合ってから、いつも家まで送ってもらってたし)
「あはっ。みーつけた」
甘ったるく、それでいてうれしそうな声に、美代の顔を一気に青くなり、冷や汗が吹き出した。
ドクンッ、ドクンッと心臓の脈打つ音が聞こえる。
美代がおそるおそると振り返ると、そこには満面の笑みを浮かべた愛華が立っていた。
「美代ちゃんの家って、このあたりなんだね。いっつも勝也に邪魔されてたから、なかなか場所がわからなくて大変だったよ」
「そ、れって……」
(いつも、私の後をつけてたってこと?)
ぞわりと、寒気が美代を襲う。美代は知らず知らずに、勝也に守ってもらっていたらしい。
愛華はゆっくりと足音を立てて近づいて来る。その際、カチカチカチと音がする。愛華の手には、カッターが握られていた。
「ねぇ、どうして美代ちゃんなの? 美代ちゃんなんかより、あたしのほうがずっと、ずーっと勝也を支えてきたのに。なんで、美代ちゃんが選ばれたの?」
「あ、あいか、せんぱい」
「ねぇ、どうして?」
愛華が一歩、足を踏み出した。それど同時に、美代は走り出した。
「ごめん美代ちゃん!」
「仕方ないですよ」
勝也は急遽、今度行う他校との練習時代についての打ち合わせが入り、デートに行けなくなってしまったのだった。勝也は美代に何度も謝るが、美代は「平気だ」と笑う。
「勝也先輩、デートはまたできますから。大事な打ち合わせに、行ってください。私は先輩がバスケをしている姿が、一番好きなんですから」
「うぅ。ごめんね。必ず、埋め合わせするから!」
走り去る勝也を見送り、美代は一人、家路についた。
家の近くまできた美代は、夕方の空を見上げた。
(一人で帰るの、久々だなぁ。勝也先輩と付き合ってから、いつも家まで送ってもらってたし)
「あはっ。みーつけた」
甘ったるく、それでいてうれしそうな声に、美代の顔を一気に青くなり、冷や汗が吹き出した。
ドクンッ、ドクンッと心臓の脈打つ音が聞こえる。
美代がおそるおそると振り返ると、そこには満面の笑みを浮かべた愛華が立っていた。
「美代ちゃんの家って、このあたりなんだね。いっつも勝也に邪魔されてたから、なかなか場所がわからなくて大変だったよ」
「そ、れって……」
(いつも、私の後をつけてたってこと?)
ぞわりと、寒気が美代を襲う。美代は知らず知らずに、勝也に守ってもらっていたらしい。
愛華はゆっくりと足音を立てて近づいて来る。その際、カチカチカチと音がする。愛華の手には、カッターが握られていた。
「ねぇ、どうして美代ちゃんなの? 美代ちゃんなんかより、あたしのほうがずっと、ずーっと勝也を支えてきたのに。なんで、美代ちゃんが選ばれたの?」
「あ、あいか、せんぱい」
「ねぇ、どうして?」
愛華が一歩、足を踏み出した。それど同時に、美代は走り出した。
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