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電話ボックス
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翌朝、美代はスッキリとしないまま、朝の電車に乗り込んだ。
「おはよ、山路ちゃん」
「おはようございます。勝也先輩」
勝也との登校も慣れたもので、勝也は毎朝、美代が乗って来るドア付近に立ち、学校の最寄り駅に着くまで美代を守るようにして立ってくれる。
「なんか今日、元気ない?」
「あ、今日、数学の小テストがあって。私、理数系が大の苦手で」
美代は深くため息をつく。それに勝也が笑った。
「俺と逆だ。俺は文系がダメなんだよね。作者の気持ちを答えろなんて、知るかって言いたくなる」
「なんだか、先輩らしいです」
美代がクスクスと笑うと、勝也は不満そうに口を尖らせる。
電車を降りてからも、他愛のない話が続き、二人は一緒に校門をくぐった。それを遠くから、愛華が見ていた。
「やっぱり、美代ちゃんも勝也狙いなんだね。勝也は誰にも渡さないんだから」
愛華は憎しみの籠った目で、美代を睨んだ。
* * *
朝練はつつがなく終わり、ついに美代が憂鬱に思っている数学の小テストの時間がやって来た。小テストは授業時間のはじめに行われる。ティームティーチング(先生二人体制の授業)のため、一人が授業を進行し、その間もう一人の先生が小テストの採点を行うので、授業中に返却される。
(あの電話ボックスに、つい願っちゃったけど。叶うわけないよね)
「時間は十分間。始め!」
先生の合図で、テスト用紙を裏返す。問題を見た途端、美代は頭の中で解答が浮かび上がったことに、目を見開いた。
(わかる。これも、この問題も! 全部、答えがわかる!)
美代は目を輝かせて、シャーペンを走らせた。
「おはよ、山路ちゃん」
「おはようございます。勝也先輩」
勝也との登校も慣れたもので、勝也は毎朝、美代が乗って来るドア付近に立ち、学校の最寄り駅に着くまで美代を守るようにして立ってくれる。
「なんか今日、元気ない?」
「あ、今日、数学の小テストがあって。私、理数系が大の苦手で」
美代は深くため息をつく。それに勝也が笑った。
「俺と逆だ。俺は文系がダメなんだよね。作者の気持ちを答えろなんて、知るかって言いたくなる」
「なんだか、先輩らしいです」
美代がクスクスと笑うと、勝也は不満そうに口を尖らせる。
電車を降りてからも、他愛のない話が続き、二人は一緒に校門をくぐった。それを遠くから、愛華が見ていた。
「やっぱり、美代ちゃんも勝也狙いなんだね。勝也は誰にも渡さないんだから」
愛華は憎しみの籠った目で、美代を睨んだ。
* * *
朝練はつつがなく終わり、ついに美代が憂鬱に思っている数学の小テストの時間がやって来た。小テストは授業時間のはじめに行われる。ティームティーチング(先生二人体制の授業)のため、一人が授業を進行し、その間もう一人の先生が小テストの採点を行うので、授業中に返却される。
(あの電話ボックスに、つい願っちゃったけど。叶うわけないよね)
「時間は十分間。始め!」
先生の合図で、テスト用紙を裏返す。問題を見た途端、美代は頭の中で解答が浮かび上がったことに、目を見開いた。
(わかる。これも、この問題も! 全部、答えがわかる!)
美代は目を輝かせて、シャーペンを走らせた。
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