逢魔が時。それは人と人ならざるモノたちが出逢う時

岡本梨紅

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電話ボックス

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 部活が終わり、美代は一人で駅までの道のりを歩いていた。

「山路ちゃーん!」
「っ! 勝也、先輩?」

 後ろから声をかけられ、美代は驚いて振り返った。そこには、手を振りながら小走りでやってくる勝也の姿が。

「よかった。追いついた。一緒に帰ろうよ」
「え!?」

 勝也の言葉に、美代は固まる。

「あ、もしかして登下校は一人でしたい派?」
「い、いえ! 勝也先輩は、方角、一緒だったんだなって」
「あぁ、いつも、あいつらと帰ってるから、山路ちゃんは知らなかったんだ。俺、実は山路ちゃんの最寄りの隣駅を使ってるんだよ」

 美代はなぜ勝也が自分の使ってる駅の事を知ってるのか疑問に思い、首を傾げた。勝也も不思議そうに同じく首を傾げる。
    だが、なにかに納得したように、手を叩いた。

「俺、今朝、山路ちゃんのこと見かけたんだよ。距離あったから声をかけられなかったけど、バスケの教本読んでたでしょ?」
「あ、は、い。まだ全部ルールとかしっかりと覚えられてなくて」

    美代は恥ずかしそうに下を向く。そんな彼女の頭を勝也が優しく撫でた。

「山路ちゃんは偉いよ。教本を買ってまで、自分で勉強してくれて。テーピングだって上手だし。練習、したんでしょ?」
「はい。弟に練習台になってもらって」
「今まで、そんな子いなかったんだ」

    勝也はため息をついて、話してくれた。
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