化け猫亭~化け猫の手、お貸しします~

岡本梨紅

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四ノ巻 剣術指南はお任せを 虎之介

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 虎之介は一気に間合いをつめて、佐吉の木刀に打ち込む。佐吉は目をつぶって、佐吉は目をつぶって、木刀が吹っ飛んでいかないようにするので、精一杯だった。

「目をつぶったらだめにゃ。しっかり相手の動きを見て、臨機応変に防ぎかたを変えて、すきがあれば相手に攻撃を与えるにゃ」
「無理だよ!」
「弱音を吐くにゃ!」
「あっ!」

 佐吉の持っていた木刀は手から離れ、からんと音をたてて床に転がる。それを青年が拾った。

「虎之介さん。武道をなにもたしなんでいない子に、その教え方はひどいですよ」
「にゃ。太一」
「ありがとう、ございます」

 虎之介に太一と呼ばれた青年は、木刀を佐吉に差し出すので、佐吉は礼を言いながら木刀を受け取った。

「いえいえ。僕はここの門下生の一人、太一っていうんだ。きみは佐吉くんだよね。師範代から聞いた」
「はい、佐吉です」
「虎之介さん、けっこう無茶なことを言うから、はっきり言って今のきみには、きついかもね」
「それじゃあ、お金払ってまで頼んだ意味ないじゃん」

 佐吉が悪態をつくと、さすがの虎之介も罰が悪そうな顔をした。

「す、すまなかったにゃ。ゆっくり教えるにゃ」
「そうしてあげてください」

 太一は「頑張れよ」と佐吉に激励を送り、自分の稽古に戻った。

「それじゃあ佐吉、再開させるにゃ。まずはーー」

 虎之介は先程とはうってかわって、懇切丁寧に、指導を始めた。

「こういう指導できるなら、最初からやってよ」
「す、すまないにゃ」
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