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四ノ巻 剣術指南はお任せを 虎之介
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「おれ、お願いしたけど、お金はほとんどなくて……」
「だろうね。こっちも商売だけど、高利貸しに借りてまでお金を払えとは言わないから、安心しておくれ。いくらなら、払えるんだい?」
「いまあるのは、これだけ。全部で三十文くらい。少なくて、ごめんなさい……」
佐吉がすすけた巾着を、お蘭に差し出す。中を改めると、たしかに三十文が入っていた。
お蘭はぽんぽんっと優しく佐吉の頭を撫でる。
「謝る必要はないよ。私からしたら、もっと少ないかと思っていたくらいだ」
「ずっとためてたんだ。この『化け猫亭』を知ってから」
「そうかい。ならこれで手を打とう」
「いいの? 本当はもっと、お金を取るんでしょう?」
「困ってる人に手を貸すのも、うちの店の売りにゃ。店主のお蘭がいいと言ったら、それでいいんだにゃ」
虎之介の言葉に、佐吉の顔が安心したように緩んだ。
「仕事は明日からで、平気かい?」
「うん。朝、むかえに来るよ」
「わかったにゃ」
「本当にありがとう! また明日!」
佐吉は笑顔で、帰っていった。
「だろうね。こっちも商売だけど、高利貸しに借りてまでお金を払えとは言わないから、安心しておくれ。いくらなら、払えるんだい?」
「いまあるのは、これだけ。全部で三十文くらい。少なくて、ごめんなさい……」
佐吉がすすけた巾着を、お蘭に差し出す。中を改めると、たしかに三十文が入っていた。
お蘭はぽんぽんっと優しく佐吉の頭を撫でる。
「謝る必要はないよ。私からしたら、もっと少ないかと思っていたくらいだ」
「ずっとためてたんだ。この『化け猫亭』を知ってから」
「そうかい。ならこれで手を打とう」
「いいの? 本当はもっと、お金を取るんでしょう?」
「困ってる人に手を貸すのも、うちの店の売りにゃ。店主のお蘭がいいと言ったら、それでいいんだにゃ」
虎之介の言葉に、佐吉の顔が安心したように緩んだ。
「仕事は明日からで、平気かい?」
「うん。朝、むかえに来るよ」
「わかったにゃ」
「本当にありがとう! また明日!」
佐吉は笑顔で、帰っていった。
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