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四ノ巻 剣術指南はお任せを 虎之介
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丁寧に薬を塗り込んだお蘭は、薬の蓋をしめた。
「とりあえず、これでいいだろう。さて、お客さんの話を聞こうかい」
「……おれは、佐吉っていうんだ。それで、どんなことでもいいから、とにかく強くなりたいんだ」
佐吉は小柄のせいか、通っている寺子屋でいつも馬鹿にされ、いじめられていることをこぼす。
最初のころはからかい程度だったが、最近では勉強道具を隠されたり、取られたりすることがあるそうで、今日は荷物を取りかえそうとしたら殴られたのだという。
「それで、このままじゃだめだって思ったときに、この店のうわさを聞いて……」
「なるほどねぇ」
「おれ、はっきり言って、お金はない。けど強くなりたい。どうにかなんない?」
「ちょうど、剣術指南をしてくれる子は帰ってきたところだけど。虎之介」
お蘭に呼ばれて、ぽてぽてと近づく虎之介。
「え? なんで猫が二足歩行してんの?」
「猫じゃねぇ。猫又だにゃ」
もはや猫又たちの間で、定番となった訂正文句。
虎之介は佐吉を見上げた。
「おまえは、なんで強くなりたいんだにゃ?」
「だから言っただろ! おれは強くなって、いじめてくるやつらに、仕返しをしてやるんだ。もう、おれをいじめてこないように、ぼこぼこにしてやるんだ!」
「それなら、お断りにゃ」
「……え?」
「とりあえず、これでいいだろう。さて、お客さんの話を聞こうかい」
「……おれは、佐吉っていうんだ。それで、どんなことでもいいから、とにかく強くなりたいんだ」
佐吉は小柄のせいか、通っている寺子屋でいつも馬鹿にされ、いじめられていることをこぼす。
最初のころはからかい程度だったが、最近では勉強道具を隠されたり、取られたりすることがあるそうで、今日は荷物を取りかえそうとしたら殴られたのだという。
「それで、このままじゃだめだって思ったときに、この店のうわさを聞いて……」
「なるほどねぇ」
「おれ、はっきり言って、お金はない。けど強くなりたい。どうにかなんない?」
「ちょうど、剣術指南をしてくれる子は帰ってきたところだけど。虎之介」
お蘭に呼ばれて、ぽてぽてと近づく虎之介。
「え? なんで猫が二足歩行してんの?」
「猫じゃねぇ。猫又だにゃ」
もはや猫又たちの間で、定番となった訂正文句。
虎之介は佐吉を見上げた。
「おまえは、なんで強くなりたいんだにゃ?」
「だから言っただろ! おれは強くなって、いじめてくるやつらに、仕返しをしてやるんだ。もう、おれをいじめてこないように、ぼこぼこにしてやるんだ!」
「それなら、お断りにゃ」
「……え?」
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