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一ノ巻 大工仕事はお任せを 紅丸
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カーンと遠くで鐘が鳴り、申刻(十五時~十六時)になったことを知らせる。
「今日の仕事はしめぇだ! 喜助ぇ! 紅丸を連れて、こっちこい!」
「はーい! 紅丸さん」
「にゃ」
紅丸は喜助に抱っこされて、仁平のもとに向かった。
「親方ー」
「あぁ。紅丸、ありがとよ。今日の支払いだ」
仁平がお金を包んだ唐草模様の風呂敷を、紅丸の首にくくりつける。
仁平はちらりと喜助に視線をやってから、紅丸を見た。
「喜助はどうだった?」
「反抗しないから、教えやすいにゃ。飲み込みも早いにゃ。だけど、いかんせん手が遅いにゃ」
「うーん。反論できない」
紅丸の評価に、喜助は文句を言うことなく受け入れた。
「まぁ、そこはやっていくうちに慣れるだろう。明日から数日間、頼んだぜ紅丸」
「わかったにゃ」
紅丸は喜助の腕を軽く蹴って、民家の一階部分の屋根に上がった。
「明日は直接ここに来るから、迎えはいらないにゃ」
「わっかりました。また明日も、よろしくお願いしまっす!」
喜助が勢いよく頭をさげると、紅丸は二股にわかれたしっぽを振って、去っていった。
「今日の仕事はしめぇだ! 喜助ぇ! 紅丸を連れて、こっちこい!」
「はーい! 紅丸さん」
「にゃ」
紅丸は喜助に抱っこされて、仁平のもとに向かった。
「親方ー」
「あぁ。紅丸、ありがとよ。今日の支払いだ」
仁平がお金を包んだ唐草模様の風呂敷を、紅丸の首にくくりつける。
仁平はちらりと喜助に視線をやってから、紅丸を見た。
「喜助はどうだった?」
「反抗しないから、教えやすいにゃ。飲み込みも早いにゃ。だけど、いかんせん手が遅いにゃ」
「うーん。反論できない」
紅丸の評価に、喜助は文句を言うことなく受け入れた。
「まぁ、そこはやっていくうちに慣れるだろう。明日から数日間、頼んだぜ紅丸」
「わかったにゃ」
紅丸は喜助の腕を軽く蹴って、民家の一階部分の屋根に上がった。
「明日は直接ここに来るから、迎えはいらないにゃ」
「わっかりました。また明日も、よろしくお願いしまっす!」
喜助が勢いよく頭をさげると、紅丸は二股にわかれたしっぽを振って、去っていった。
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