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第三環「また平凡な約束を君と」
③-8 噴水の町①
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「ぴぎゃああああああああああああああああああああああああ」
翌朝、少年ティトーが目を覚ますと、グリットは朝ごはんにと鳥を仕留めて、捌こうとする瞬間だった。
大声で叫び声をあげたティトーはすっかり目が覚め、頭を抱えて落ち込んでいた。
「悪い、もう少し寝ていると思っていたんだ」
「目が合っちゃった」
「わー悪い、本当、ごめんよ」
「も、もう平気。ありがとう。ちゃんと食べる」
鶏肉をサッと炙ると、また胡椒と塩で味付けする。そしてそのまま、昨晩の残りスープにつけると、ティトーは肉を頬張った。感謝の言葉を長く伝え、昨日は忘れていたのだといいながら、野草や調味料へも感謝を伝えてから頬張ったのだ。元々猫舌なのであろう、ふうふうした後にゆっくりと食べ終えると、二人はすぐに荷物をまとめ出した。
「そんなテキパキやって。別にいいんだが、大丈夫か。焦らせているなら、気を付けるが」
「ううん。早くお兄様に会いたいから」
「そうか。焦りすぎるなよ」
「うん。気を付ける」
グリットはティトーの頭をぽんぽんぽんすると、おまじないを掛けた。
「これで大丈夫だ。会えるから、な」
「うん。寝てないから、グリットも気を付けてね」
「ああ。わかったよ。お守り、持っているか?」
「うん!」
ティトーは嬉しそうに、首に下げている紐を引っ張ると、ついているリングを見せた。緑色の石が煌めいている。
二人はまた魔物を浄化、エーテル平定しながら噴水の町を目指したのだった。
🔷
「とーちゃくっ!」
「到着だな」
一番乗りと言わんばかりに、夕方になってから噴水の町へ到着した二人は、すぐに宿屋を目指しながらグリットは町の説明を始めた。
「再会の町にもあったけど、ここの町の噴水はおっきいんだね」
「噴水だけじゃない。町でいえば、再会の町の3倍以上はあるぞ」
「そんなに!?」
ティトーの声が町にこだまし、周りの町民や冒険者が二人を見て笑っていたが、二人は特に気に留めていなかった。
「再会の町は廃墟が多かっただろう」
「うん。どうしたの? 変なごろつきが居たもんね」
腕を出していたそうな表情を浮かべつつ、ティトーは冗談交じりに話した。特にトラウマなどになってはいないようである。
「獣人たちがな、一斉にフェルド共和国に引き上げたんだ。それで荒れ放題なんだ。皆戻ってくるつもりだったんでな、そのままなんだ」
「そうだったんだ。復興支援の人しかいなかったね」
「ああ、そうなんだ。獣人たちは光の柱が降り注いだとはいえ、それ自体に毒が無いと分かると故郷を守ろうと移住したんだよ。復興させて戻るって算段の連中も多かったんだ」
「それは、戦争で?」
「いや」
グリットは声を細めると、道の端へティトーを促すと、小声で耳元で話した。
「どうしたの?」
「大きな声じゃ言えないが、ルゼリア人の獣人差別から逃れるために、祖国一揆をおこすんじゃないかと、ルゼリア人に噂をたてられたんだ」
「!」
ティトーは絶句して信じられないという表情を浮かべると、呟いた。
「そりゃ国境沿いだもんね。戻りたくもないよね」
「それでも支援で戻ってこれた奴もいる。だから戦争したい奴なんていないんだ。皆食べるために必死なんだよ」
寂しそうに二人は呟き、再び二人は宿屋へ向けて歩み出した。
🔷
一番大きい宿屋の斜め手前にある、こじんまりとした宿屋へ二人はやってくると、グリットがチェックインを済ませた。
「同じ部屋でいいか? ベッドは別だが」
「うん。グリットは大きいから、大変だね」
「いや、そうじゃないんだが。とにかく今回は一部屋な」
「名前とか書かないんだね」
「今回はいいんだ」
「ふーん」
再会の町の宿屋兼食堂のように、こちらも宿屋兼食堂であった。階段を上がると部屋はこじんまりとしており、二部屋しかなかった。大旦那の宿屋は部屋が四部屋あったため、かなり小さく感じたティトーは可愛いを連呼した。
「荷物を置いたら、買い出しに行くが」
「だ、ダメだよ」
「どうした? 疲れたなら、留守番していてもいいんだぞ」
「違うよ」
ティトーはグリットの服の裾を掴むと、ベッドをぽんぽんぽん|
《・》した。
「ご飯もここで食べれるし、露店ももう閉まるでしょう。明日にしよ!」
「しょうがないな。夕飯を食べたら、寝ようか。今日はパンとスープだから、部屋で食べれるようにもらってくるよ。待っててくれ、頼んでくる」
「うん。お手伝い要らない?」
「そうだな。時間がかかるかもしれないから、待っててくれ」
「うん、わかった。お外、見てるね!」
「落ちないようにな。窓は開けるなよ」
「はーい」
ティトーはリュックを下ろすと、銀時計を胸ポケットに入れていた袋から取り出した。
「こんにちは、銀時計さん」
「こんにちは、ティトーくん」
ティトーは声色を変えると、お喋りし出した。
「ここはね、噴水の町っていうんですよ」
「そうなんだね! 初めて来たよ」
「僕もだよ!」
その様子を感じ取ると、グリットは階段を降りていった。微笑まし過ぎて笑みを零しながら。
翌朝、少年ティトーが目を覚ますと、グリットは朝ごはんにと鳥を仕留めて、捌こうとする瞬間だった。
大声で叫び声をあげたティトーはすっかり目が覚め、頭を抱えて落ち込んでいた。
「悪い、もう少し寝ていると思っていたんだ」
「目が合っちゃった」
「わー悪い、本当、ごめんよ」
「も、もう平気。ありがとう。ちゃんと食べる」
鶏肉をサッと炙ると、また胡椒と塩で味付けする。そしてそのまま、昨晩の残りスープにつけると、ティトーは肉を頬張った。感謝の言葉を長く伝え、昨日は忘れていたのだといいながら、野草や調味料へも感謝を伝えてから頬張ったのだ。元々猫舌なのであろう、ふうふうした後にゆっくりと食べ終えると、二人はすぐに荷物をまとめ出した。
「そんなテキパキやって。別にいいんだが、大丈夫か。焦らせているなら、気を付けるが」
「ううん。早くお兄様に会いたいから」
「そうか。焦りすぎるなよ」
「うん。気を付ける」
グリットはティトーの頭をぽんぽんぽんすると、おまじないを掛けた。
「これで大丈夫だ。会えるから、な」
「うん。寝てないから、グリットも気を付けてね」
「ああ。わかったよ。お守り、持っているか?」
「うん!」
ティトーは嬉しそうに、首に下げている紐を引っ張ると、ついているリングを見せた。緑色の石が煌めいている。
二人はまた魔物を浄化、エーテル平定しながら噴水の町を目指したのだった。
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「とーちゃくっ!」
「到着だな」
一番乗りと言わんばかりに、夕方になってから噴水の町へ到着した二人は、すぐに宿屋を目指しながらグリットは町の説明を始めた。
「再会の町にもあったけど、ここの町の噴水はおっきいんだね」
「噴水だけじゃない。町でいえば、再会の町の3倍以上はあるぞ」
「そんなに!?」
ティトーの声が町にこだまし、周りの町民や冒険者が二人を見て笑っていたが、二人は特に気に留めていなかった。
「再会の町は廃墟が多かっただろう」
「うん。どうしたの? 変なごろつきが居たもんね」
腕を出していたそうな表情を浮かべつつ、ティトーは冗談交じりに話した。特にトラウマなどになってはいないようである。
「獣人たちがな、一斉にフェルド共和国に引き上げたんだ。それで荒れ放題なんだ。皆戻ってくるつもりだったんでな、そのままなんだ」
「そうだったんだ。復興支援の人しかいなかったね」
「ああ、そうなんだ。獣人たちは光の柱が降り注いだとはいえ、それ自体に毒が無いと分かると故郷を守ろうと移住したんだよ。復興させて戻るって算段の連中も多かったんだ」
「それは、戦争で?」
「いや」
グリットは声を細めると、道の端へティトーを促すと、小声で耳元で話した。
「どうしたの?」
「大きな声じゃ言えないが、ルゼリア人の獣人差別から逃れるために、祖国一揆をおこすんじゃないかと、ルゼリア人に噂をたてられたんだ」
「!」
ティトーは絶句して信じられないという表情を浮かべると、呟いた。
「そりゃ国境沿いだもんね。戻りたくもないよね」
「それでも支援で戻ってこれた奴もいる。だから戦争したい奴なんていないんだ。皆食べるために必死なんだよ」
寂しそうに二人は呟き、再び二人は宿屋へ向けて歩み出した。
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一番大きい宿屋の斜め手前にある、こじんまりとした宿屋へ二人はやってくると、グリットがチェックインを済ませた。
「同じ部屋でいいか? ベッドは別だが」
「うん。グリットは大きいから、大変だね」
「いや、そうじゃないんだが。とにかく今回は一部屋な」
「名前とか書かないんだね」
「今回はいいんだ」
「ふーん」
再会の町の宿屋兼食堂のように、こちらも宿屋兼食堂であった。階段を上がると部屋はこじんまりとしており、二部屋しかなかった。大旦那の宿屋は部屋が四部屋あったため、かなり小さく感じたティトーは可愛いを連呼した。
「荷物を置いたら、買い出しに行くが」
「だ、ダメだよ」
「どうした? 疲れたなら、留守番していてもいいんだぞ」
「違うよ」
ティトーはグリットの服の裾を掴むと、ベッドをぽんぽんぽん|
《・》した。
「ご飯もここで食べれるし、露店ももう閉まるでしょう。明日にしよ!」
「しょうがないな。夕飯を食べたら、寝ようか。今日はパンとスープだから、部屋で食べれるようにもらってくるよ。待っててくれ、頼んでくる」
「うん。お手伝い要らない?」
「そうだな。時間がかかるかもしれないから、待っててくれ」
「うん、わかった。お外、見てるね!」
「落ちないようにな。窓は開けるなよ」
「はーい」
ティトーはリュックを下ろすと、銀時計を胸ポケットに入れていた袋から取り出した。
「こんにちは、銀時計さん」
「こんにちは、ティトーくん」
ティトーは声色を変えると、お喋りし出した。
「ここはね、噴水の町っていうんですよ」
「そうなんだね! 初めて来たよ」
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