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第七輪「嫉妬の狼煙」
⑦-13 火のない所に狼煙は立たぬ②
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「あら。マリア、一緒に住む友達って……」
「うん。ティナさんなの。退院先もあやふやで退院できないって聞いて。そんなのって、あんまりじゃない?」
「確かにそうだね。元気ならもっと日常生活に溶け込んだほうが、良いリハビリになる」
メアリーはそう頷きながら、白いフリージアやチューリップを花束へどんどん足していった。メアリーお手製のレースの包装紙が脇役になるほど、可愛い花束が完成した。
「色どりはマリアので完璧なんだけど、余ったフリージアが可哀想だから、持っていってあげてよ。私からってことでさ。花束の形、崩しちゃって申し訳ないね」
「そんな事ないわ。なにか足りないなって思っていたの。きっと喜んでくれる。ふふ、どっちも賑やかな花束になったわね」
マリアは花束を眺めながら、香りを感じてウットリとした。チューリップの柔らかな香りに、滑らかな白いフリージアの香りが混ざり合う。
「レオン先生はこのまま孤児院へ?」
「いえ、教会です。誕生会の会場が変更になったんだそうですよ」
「え、そうなんだ。じゃあ教会に行かなきゃなのね」
「まあ楽しんでおいで。マリアも、診療所で花束を届けるんだったら、もう出ていいわよ。今日もありがとう、お疲れ様です」
「そうさせてもらうわ。ミュラーさん、メアリーさん、お疲れ様です!」
「あいよ、お疲れさんだよ!」
花束を抱えた二人が花屋ペラルゴを後にすると人々が注目してきた。というより、イケメンの医師が白衣で花束を抱えているのだ。目立たない訳が無い。
「何だか恥ずかしいわね」
「はは。そうですね。僕も一人でしたら、恥ずかしくてダメでしたでしょうね」
「ティニアの誕生会に合わせて、彼女を退院させてくれてありがとう」
マリアは医師に微笑みかけると、医師は照れた表情で顔を赤らめた。
「ほ、本人は元気になりましたし、放っておけばお絵描きしてましたからね。ティニアさんには今日を休みにしてもらいましたし。私は花束を渡してすぐに診療所へ戻らなくてはいけませんが、まあ丁度良かったのですよ」
レオンはそう言いながら丸眼鏡が下がってしまった為に焦り出した。
「おっと、眼鏡が」
「あら、花束持ちます。直して下さいよ」
「そうですね。では失礼して」
レオンはマリアへ花束を預けると、眼鏡を一度外した。
「うーん。ネジが緩んでいる。ぶつけすぎたかな。うーん、これはすぐにはちょっと」
「…………先生」
マリアは花束ごと顔を近づけると、医師に迫った。
「どど、どうしました、マリアさん」
「眼鏡ないほうが、カッコイイって、言われない?」
「え」
レオンは慌てて眼鏡をかけなおしたものの、すぐに斜めにズレてしまった。俗にいう、男性が可愛いというのはこれであろうと、マリアは感じた。
「うーん。確かに、女性からはよくそう言われますね。眼鏡を外してほしいと」
「やっぱり。診療所の前、今でも時々女性たちが出待ちしているものね」
「顔なんて、どうでもいいものです。出待ちについては困っているんですよ。あ、花束有難うございます」
レオンは立ち止まると、周囲を確認した。焦っている様子で、そのままマリアへポツリと吐露した。
「実は、女性が苦手でして、少々……あの…………それ以上近づかれるのは、あの、すみません!」
「うん。ティナさんなの。退院先もあやふやで退院できないって聞いて。そんなのって、あんまりじゃない?」
「確かにそうだね。元気ならもっと日常生活に溶け込んだほうが、良いリハビリになる」
メアリーはそう頷きながら、白いフリージアやチューリップを花束へどんどん足していった。メアリーお手製のレースの包装紙が脇役になるほど、可愛い花束が完成した。
「色どりはマリアので完璧なんだけど、余ったフリージアが可哀想だから、持っていってあげてよ。私からってことでさ。花束の形、崩しちゃって申し訳ないね」
「そんな事ないわ。なにか足りないなって思っていたの。きっと喜んでくれる。ふふ、どっちも賑やかな花束になったわね」
マリアは花束を眺めながら、香りを感じてウットリとした。チューリップの柔らかな香りに、滑らかな白いフリージアの香りが混ざり合う。
「レオン先生はこのまま孤児院へ?」
「いえ、教会です。誕生会の会場が変更になったんだそうですよ」
「え、そうなんだ。じゃあ教会に行かなきゃなのね」
「まあ楽しんでおいで。マリアも、診療所で花束を届けるんだったら、もう出ていいわよ。今日もありがとう、お疲れ様です」
「そうさせてもらうわ。ミュラーさん、メアリーさん、お疲れ様です!」
「あいよ、お疲れさんだよ!」
花束を抱えた二人が花屋ペラルゴを後にすると人々が注目してきた。というより、イケメンの医師が白衣で花束を抱えているのだ。目立たない訳が無い。
「何だか恥ずかしいわね」
「はは。そうですね。僕も一人でしたら、恥ずかしくてダメでしたでしょうね」
「ティニアの誕生会に合わせて、彼女を退院させてくれてありがとう」
マリアは医師に微笑みかけると、医師は照れた表情で顔を赤らめた。
「ほ、本人は元気になりましたし、放っておけばお絵描きしてましたからね。ティニアさんには今日を休みにしてもらいましたし。私は花束を渡してすぐに診療所へ戻らなくてはいけませんが、まあ丁度良かったのですよ」
レオンはそう言いながら丸眼鏡が下がってしまった為に焦り出した。
「おっと、眼鏡が」
「あら、花束持ちます。直して下さいよ」
「そうですね。では失礼して」
レオンはマリアへ花束を預けると、眼鏡を一度外した。
「うーん。ネジが緩んでいる。ぶつけすぎたかな。うーん、これはすぐにはちょっと」
「…………先生」
マリアは花束ごと顔を近づけると、医師に迫った。
「どど、どうしました、マリアさん」
「眼鏡ないほうが、カッコイイって、言われない?」
「え」
レオンは慌てて眼鏡をかけなおしたものの、すぐに斜めにズレてしまった。俗にいう、男性が可愛いというのはこれであろうと、マリアは感じた。
「うーん。確かに、女性からはよくそう言われますね。眼鏡を外してほしいと」
「やっぱり。診療所の前、今でも時々女性たちが出待ちしているものね」
「顔なんて、どうでもいいものです。出待ちについては困っているんですよ。あ、花束有難うございます」
レオンは立ち止まると、周囲を確認した。焦っている様子で、そのままマリアへポツリと吐露した。
「実は、女性が苦手でして、少々……あの…………それ以上近づかれるのは、あの、すみません!」
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