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第四輪「孤独と孤立と、猜疑心」
④-6 暁のしらべ②
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「僕の友達の話。もちろん作り話だよ」
ティニアはゆっくりと昔話を話すかのように、ゆっくり語った。
「それでね、その人は辺境伯を名乗ったんだけど、正式には認められなかったの」
「そうなの? 王様や貴族って堅いのね。負けを認められないオジサンって感じ」
「ふふふ。でも、凄い人だったよ。戦場でもとても強くてね」
(物語じゃなかったんだ)
「その人はあまり背が高くなかったんだけど、それを貴族たちに揶揄される度に、息子さんを呼んでね。こういうの」
ティニアは声色を代え、エッヘンと言いながらすました顔をした。
「どうだい、息子がより大きく、賢く、勇ましく見えるだろう。息子が父を超えるなんて、素晴らしいことだ。私はそれが見たかったのだ。身長など、息子にくれてやるわ!ってね」
「ふふふ。その人も豪快ね。息子さんはイケメンだったの?」
「そうだねえ、みんな口をそろえてイケメンだって言ってたよ」
「素敵! 自慢の息子さんだったのね」
ティニアは笑いながらうなづくと、マリアの好みそうな話を思い出したようで、更に語ってくれた。
「その人はね、奥様との馴れ初めが凄いんだよ」
「え! 聞きたい!!」
「奥様はね、とある王子みたいなドエライ人と結婚を控えていらっしゃったの。でも、直前になって婚約者が言った旅先の主人の妹と恋に落ちて、婚約を破棄したんだよ」
「なにそれ! ひどすぎない? っていうか、そんな奴と結婚なんてごめんじゃない!」
ティニアは笑いながら更に頷いた。食事は終わったが、どちらも席を立つ気などない。
「そうなんだよ。そこで、友人は慌ててラブレターを奥方に送ってね。見事プロポーズを果たして、結婚しちゃったの! それが破棄からすぐだったんだって」
「なにそれー! 凄いカッコイイじゃない。それでそのイケメン長身な息子さんが生まれたのね、感動!」
ティニアは幸せそうに語り、そして言い終えると寂しそうに微笑んだ。その微笑みに、マリアはかつての義姉レイスを思い浮かべたが、すぐに忘れ去った。
お互いで作業しながら、語り合いながら夕食を作り、ともに食事する時間は、マリアにとって楽しい時を過ごし、ティニアの友人の物語を聴く。
夜は更けており、次第に周囲も暗く、夕暮れ時を迎える。
暗くなればなるほど、マリアは不安に駆られるように。
マリアは焦りを見せていた。
親しくなればなるほどに、巻き込めない処か彼女に対し。
全てを知りたくなり、そして――――。
――そう、彼女が自分にとって、敵ではない理由を模索して――――。
ティニアはゆっくりと昔話を話すかのように、ゆっくり語った。
「それでね、その人は辺境伯を名乗ったんだけど、正式には認められなかったの」
「そうなの? 王様や貴族って堅いのね。負けを認められないオジサンって感じ」
「ふふふ。でも、凄い人だったよ。戦場でもとても強くてね」
(物語じゃなかったんだ)
「その人はあまり背が高くなかったんだけど、それを貴族たちに揶揄される度に、息子さんを呼んでね。こういうの」
ティニアは声色を代え、エッヘンと言いながらすました顔をした。
「どうだい、息子がより大きく、賢く、勇ましく見えるだろう。息子が父を超えるなんて、素晴らしいことだ。私はそれが見たかったのだ。身長など、息子にくれてやるわ!ってね」
「ふふふ。その人も豪快ね。息子さんはイケメンだったの?」
「そうだねえ、みんな口をそろえてイケメンだって言ってたよ」
「素敵! 自慢の息子さんだったのね」
ティニアは笑いながらうなづくと、マリアの好みそうな話を思い出したようで、更に語ってくれた。
「その人はね、奥様との馴れ初めが凄いんだよ」
「え! 聞きたい!!」
「奥様はね、とある王子みたいなドエライ人と結婚を控えていらっしゃったの。でも、直前になって婚約者が言った旅先の主人の妹と恋に落ちて、婚約を破棄したんだよ」
「なにそれ! ひどすぎない? っていうか、そんな奴と結婚なんてごめんじゃない!」
ティニアは笑いながら更に頷いた。食事は終わったが、どちらも席を立つ気などない。
「そうなんだよ。そこで、友人は慌ててラブレターを奥方に送ってね。見事プロポーズを果たして、結婚しちゃったの! それが破棄からすぐだったんだって」
「なにそれー! 凄いカッコイイじゃない。それでそのイケメン長身な息子さんが生まれたのね、感動!」
ティニアは幸せそうに語り、そして言い終えると寂しそうに微笑んだ。その微笑みに、マリアはかつての義姉レイスを思い浮かべたが、すぐに忘れ去った。
お互いで作業しながら、語り合いながら夕食を作り、ともに食事する時間は、マリアにとって楽しい時を過ごし、ティニアの友人の物語を聴く。
夜は更けており、次第に周囲も暗く、夕暮れ時を迎える。
暗くなればなるほど、マリアは不安に駆られるように。
マリアは焦りを見せていた。
親しくなればなるほどに、巻き込めない処か彼女に対し。
全てを知りたくなり、そして――――。
――そう、彼女が自分にとって、敵ではない理由を模索して――――。
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