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第二輪「例え鳴り響いた鐘があったとしても」
②-2 白銀の太陽を求めて②
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「でも、不審者もいるんだから、もう早朝だからってあまり一人で出歩かないでね」
マリアは、不審な男がティニアに一度は接触して声をかけていた話を訪ねたのだが、ティニアには思い当たることがないようだった。
「うーん。それはちょっと難しいけれど」
「男について、本当に思い当たらないの? 声を掛けた様な事を言っていたけれど」
「さぁ……」
彼女の身を案じたマリアは、聞いていた男の風貌を伝えたのだ。一瞬だけの瞳孔の変化は、思い当たるような素振りとも受け取れた。しかし彼女を慕う神父のアドニスが、男の存在を黙っていたと聞くや否や、珍しく毒を吐いたのだ。
「あのニセ神父、わざと黙ってたんだろうなあ。ろくでもないよなあ」
「あれ、ティニアでもそういう事いうんだ。凄くいいと思うわ。で、どう? 覚えのある男?」
ティニアは首を振りながら腕を組むと、ため息をついた。
「いやあ、全然」
「あ、待って。町で会って声をかけたという発言があったのが、先週の発言なだけで、声をかけたのはもっと前かもしれないわ。私も聞いただけだから……」
「ええ~、何それ怖い。アドニスが違う情報言ってる可能性もあるんじゃないの?」
ティニアは金髪を揺らしながら、青く美しい瞳をも揺らした。怯えているというより、感極まって涙を浮かべているようにも見受けられる。
「確かにそれはありそう。直接聞いてみたら? もし喋らなかったら、私が神父を懺悔部屋に連れていくわ」
「それはそれでどうなの」
「ふふふ……。じゃあ、また迎えに来るから」
「うん。今日の孤児院での夕食作りはお休みの当番だから、夕方には終わってるよ」
「わかったわ、また夕方にね」
ティニアは笑みを受けべながら手をひらひらとさせると、孤児院へ入っていった。
マリアも、今日は花の配達に行く時間が迫っている。彼女との楽しいおしゃべりはここまでだ。
あの後強引に肉料理を食べに連れ出した翌日から、マリアはティニアを送迎するようになっていた。そして、それが新たな日課になったのだ。
女二人で食事に出向いてから、距離感が縮まったと感じているのはマリアだけではないだろう。
「帰ったら、またゆっくり話せばいいんだわ。だって、一緒に住んでいるんだもの」
無意識に呟くと、マリアは孤児院の脇に停めていたカートを押しながら見慣れた町の通りを抜けていった。観光地である旧市街を抜け、花屋ペラルゴを目指した。
マリアは、不審な男がティニアに一度は接触して声をかけていた話を訪ねたのだが、ティニアには思い当たることがないようだった。
「うーん。それはちょっと難しいけれど」
「男について、本当に思い当たらないの? 声を掛けた様な事を言っていたけれど」
「さぁ……」
彼女の身を案じたマリアは、聞いていた男の風貌を伝えたのだ。一瞬だけの瞳孔の変化は、思い当たるような素振りとも受け取れた。しかし彼女を慕う神父のアドニスが、男の存在を黙っていたと聞くや否や、珍しく毒を吐いたのだ。
「あのニセ神父、わざと黙ってたんだろうなあ。ろくでもないよなあ」
「あれ、ティニアでもそういう事いうんだ。凄くいいと思うわ。で、どう? 覚えのある男?」
ティニアは首を振りながら腕を組むと、ため息をついた。
「いやあ、全然」
「あ、待って。町で会って声をかけたという発言があったのが、先週の発言なだけで、声をかけたのはもっと前かもしれないわ。私も聞いただけだから……」
「ええ~、何それ怖い。アドニスが違う情報言ってる可能性もあるんじゃないの?」
ティニアは金髪を揺らしながら、青く美しい瞳をも揺らした。怯えているというより、感極まって涙を浮かべているようにも見受けられる。
「確かにそれはありそう。直接聞いてみたら? もし喋らなかったら、私が神父を懺悔部屋に連れていくわ」
「それはそれでどうなの」
「ふふふ……。じゃあ、また迎えに来るから」
「うん。今日の孤児院での夕食作りはお休みの当番だから、夕方には終わってるよ」
「わかったわ、また夕方にね」
ティニアは笑みを受けべながら手をひらひらとさせると、孤児院へ入っていった。
マリアも、今日は花の配達に行く時間が迫っている。彼女との楽しいおしゃべりはここまでだ。
あの後強引に肉料理を食べに連れ出した翌日から、マリアはティニアを送迎するようになっていた。そして、それが新たな日課になったのだ。
女二人で食事に出向いてから、距離感が縮まったと感じているのはマリアだけではないだろう。
「帰ったら、またゆっくり話せばいいんだわ。だって、一緒に住んでいるんだもの」
無意識に呟くと、マリアは孤児院の脇に停めていたカートを押しながら見慣れた町の通りを抜けていった。観光地である旧市街を抜け、花屋ペラルゴを目指した。
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