28 / 257
第一輪「朱の福音はどんな音?」
①-15 君ありて日常が欠ける③
しおりを挟む
「神父の話では、前から参拝に来てるだけの人らしいの。でも、どこかでティニアを見かけたみたいで、2週間前くらいから、名前を訪ねてきたり、どんな人なのか聞きだそうとしていてね」
「完全な不審者じゃない」
不満をあらわにしたところで、マリアの不満はアドニス神父へ注がれる。
「神父は何をしていたのよ」
「アドニス神父も、ずっと適当に交わされていたのだけど。……一昨日の話よ、以前ティニアに町で出会って、声をかけたっていうじゃない」
「は?」
「最近のティニアさん、すごく疲れている感じがしてね……。実はさっきも、教会にそいつがいたのよ」
「は?」
マリアの声はかなり大きくなり、こちらを見る子供たちまで現れた。
「ちょっとマリア、抑えて」
「どうやっても抑えられないんだけど、なるべく努力するわ。……それで?」
マリアは身を乗り出すと、そのまま食いつくように前屈みのまま話を聞き続けた。
「えっと、別の人が話しかけて足止めしてくれてたから、私が孤児院に行って声をかけようと思ったの。そしたら、ティニアさんはすぐ外にいるじゃない。だから慌てちゃって。そしたら、ティニアさんが動かないから……」
心配そうに腕を組むと、シャトー婦人はそのまま回想するかのように上を見上げた。
「変に思って、アドニスさんが出てきてくれて、ベールで隠してあげたってことなのね」
「そうだと思う……」
「そいつ誰なの? 男なんでしょ? はぁ、許せない」
「だからマリア、抑えて、ね?」
「抑えられるものかい。ミュラーさん、私もマリアさんと同じ気分よ……」
「二人の気持ちは、私にもわかります。周りに頼れそうな男がいないんだもの!」
3人のご婦人は、大層ご立腹であり、うんうんと頷いた時だった。調理場に頼りなさそうな男、アドニスが現れたのだ。
「ティニアはこちらにいませんか!?」
「「「は?」」」
二者の婦人は呆れたようにアドニスを睨み、マリアは怒りを抑え込まずに睨みつけた。
「私の部屋まで連れていって、お茶を入れてくると目を離したら、いないんですよ!」
「ちょっと神父、なにしてるんですか?」
「どさくさに紛れて、部屋に連れてった?」
「あなたそれでも聖職者なの?」
「なんでそうなるのですか!!」
「なに、どうしたの?」
「「「「え!?」」」」
4人の大人の後ろには、子供たちに囲まれたティニアが立っており、きょとんとしている。
「完全な不審者じゃない」
不満をあらわにしたところで、マリアの不満はアドニス神父へ注がれる。
「神父は何をしていたのよ」
「アドニス神父も、ずっと適当に交わされていたのだけど。……一昨日の話よ、以前ティニアに町で出会って、声をかけたっていうじゃない」
「は?」
「最近のティニアさん、すごく疲れている感じがしてね……。実はさっきも、教会にそいつがいたのよ」
「は?」
マリアの声はかなり大きくなり、こちらを見る子供たちまで現れた。
「ちょっとマリア、抑えて」
「どうやっても抑えられないんだけど、なるべく努力するわ。……それで?」
マリアは身を乗り出すと、そのまま食いつくように前屈みのまま話を聞き続けた。
「えっと、別の人が話しかけて足止めしてくれてたから、私が孤児院に行って声をかけようと思ったの。そしたら、ティニアさんはすぐ外にいるじゃない。だから慌てちゃって。そしたら、ティニアさんが動かないから……」
心配そうに腕を組むと、シャトー婦人はそのまま回想するかのように上を見上げた。
「変に思って、アドニスさんが出てきてくれて、ベールで隠してあげたってことなのね」
「そうだと思う……」
「そいつ誰なの? 男なんでしょ? はぁ、許せない」
「だからマリア、抑えて、ね?」
「抑えられるものかい。ミュラーさん、私もマリアさんと同じ気分よ……」
「二人の気持ちは、私にもわかります。周りに頼れそうな男がいないんだもの!」
3人のご婦人は、大層ご立腹であり、うんうんと頷いた時だった。調理場に頼りなさそうな男、アドニスが現れたのだ。
「ティニアはこちらにいませんか!?」
「「「は?」」」
二者の婦人は呆れたようにアドニスを睨み、マリアは怒りを抑え込まずに睨みつけた。
「私の部屋まで連れていって、お茶を入れてくると目を離したら、いないんですよ!」
「ちょっと神父、なにしてるんですか?」
「どさくさに紛れて、部屋に連れてった?」
「あなたそれでも聖職者なの?」
「なんでそうなるのですか!!」
「なに、どうしたの?」
「「「「え!?」」」」
4人の大人の後ろには、子供たちに囲まれたティニアが立っており、きょとんとしている。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説

【完結】暁の草原
Lesewolf
ファンタジー
かつて守護竜の愛した大陸、ルゼリアがある。
その北西に広がるセシュール国が南、大国ルゼリアとの国境の町で、とある男は昼を過ぎてから目を覚ました。
大戦後の復興に尽力する労働者と、懐かしい日々を語る。
彼らが仕事に戻った後で、宿の大旦那から奇妙な話を聞く。
面識もなく、名もわからない兄を探しているという、少年が店に現れたというのだ。
男は警戒しながらも、少年を探しに町へと向かった。
=====
別で投稿している「暁の荒野」と連動しています。「暁の荒野」の続編が「暁の草原」になります。
どちらから読んでいただいても、どちらかだけ読んでいただいても、問題ないように書く予定でおります。読むかどうかはお任せですので、おいて行かれているキャラクターの気持ちを知りたい方はどちらかだけ読んでもらえたらいいかなと思います。
面倒な方は「暁の荒野」からどうぞ!
※「暁の草原」、「暁の荒野」共に残酷描写がございます。ご注意ください。
=====
この物語はフィクションであり、実在の人物、国、団体等とは関係ありません。
=====
他、Nolaノベル様、アルファポリス様にて投稿しておりますが、執筆はNola(エディタツール)で行っております。
Nolaノベル様、カクヨム様、アルファポリス様の順番で投稿しております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる