11 / 22
第2章 魔法の獲得
2-2 二人目の魔法少女
しおりを挟む
魔法を手に入れた俊斗は高揚の中にいた。意識を集中するだけで魔法を使うことができる。この時は簡単に考えていた。
空には夕日を浴びて影を作るいくつかの雲がゆったりと流れていた。
「ねえ、ごはんってどうするのー?」
勉強をしているヒカリの隣で、リリはスマホをいじっている。
「あー、カップ麺が何個か残ってたから、それでいいなら――」
リュックから勉強道具を取り出していた俊斗はキッチンに向かおうとする。
「そんなのばっかり食べてるの? 身体に悪いっつーの」
リリはスマホの画面から目を離そうとはしない。
「悪かったな……」
「ヒカリ、一緒に買い物行かない?」
「いいよ!」
ヒカリの勉強道具はテーブルに無造作に置かれた。
「リリ、その格好で行くのか」
「んなわけないでしょ、着替えるわよ。あっち行って」
リリの人差し指は玄関の方に向けられた。
(俺の部屋なんだけどな……)
「はいはい」
玄関の前に来た俊斗はリリたちに背を向けた。
楽しそうに話す女子の声が玄関前の空間に響く。微かに衣服が擦れる音も混じっている。
後ろを振り返ろうとする欲も生まれなかったわけではないが、その場からは死角であろうという状況とその行為が今後の生活に与える影響を考慮すると、絶対に振り返ることはできなかった。
(魔法か……いつ使えるんだろう……)
そんなことを考えながら、自分の両手を見つめていた。
「戻ってきていいわよ」
振り返って歩き出す俊斗。
テーブルの前には制服に着替えたリリが腰に左手を当てて立っていた。
(制服なのか……)
「どう? 似合ってる?」
「うん、普通に似合ってると思うけど」
(高校生には見えないな……)
「普通って何よ普通って」
リリが俊斗に一歩近づいた。
「いや、その、似合ってます」
(近い近い!)
微笑んだ俊斗は一歩後ずさり。
「ならいいわ、それじゃあ私たちは近くのスーパーに行って来るわね、特別あんたの分も作ってあげるわ」
「ありがとうございます助かります。ていうか、俺も付いて行こうか、女子だけだと――」
「あんたは邪魔になりそうだからいいわよ」
鋭く光った赤い目が俊斗に向けられた。
「は、はい……」
制服姿の二人は玄関に向かって歩きだす。その間、俊斗は何も言葉が浮かばなかった。
「行ってきまーす!」
ヒカリの元気な声とともにドアが閉まった。
部屋には突然の静寂が訪れた。ふと、二人に出会う前のことが思い出された。
「二人がいないとこんなに静かなんだな……」
独り言を言いながら、テレビの電源を入れた。いつもと変わりない夕方のニュース番組が流れる。
椅子に座ろうと後ろを振り向くと、(玄関に向かう通路の反対側の)部屋の隅左に赤のキャリーバッグがヒカリのそれの隣に並べてあった。
(いつの間に)
椅子に座った俊斗は勉強道具を机に広げた。しかし、すぐに勉強を始めるのではなく、考え事をし始めた。
「魔法か……やってみるか」
俊斗の両手はテーブルの上に向けられた。しかし、突然魔法に対する恐怖が俊斗の中で込み上がった。このまま魔法を使って大変なことになったらと思うと、怖くて意識を集中させることができなかった。
両手をテーブルの上にゆっくりと置いた俊斗は、ため息をついた。
(今はやめておこう)
顔を上げ、勉強を始めた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
三十分ほどが経過した頃、二人が帰ってきた。
俊斗は未だ勉強を続けている。
(意外と早いな)
「ただいまー!」
「おかえりー」
二人とも両手に袋を持っている。
「そんなにたくさん買ってきたのか」
「毎日買い物に行くのは大変でしょ」
四つの買い物袋がテーブルに置かれた。
「お金、大丈夫だった?」
「もちろん、全額あんたの財布から払っておいたわよ」
リリは俊斗にウインクをしてみせた。
「え……はぁ⁉︎」
「何、文句あるの? あんたの面倒見てあげるんだから当たり前でしょ」
威圧的な笑顔のリリは袋から買ってきたものを出し始める。
「あ、ありがとうございます」
「仕方ないわね」
またウインクをしたリリは、冷蔵庫やキッチンの棚に買ってきたものを移動させ始めた。
そのあと、リリとヒカリはエプロンを着て料理を始めた。
「俺も手伝おうか」
俊斗はキッチンに向かった。
「大丈夫、私だって料理ぐらいできるわよ」
もちろん、リリのエプロンは赤い。
「そうだよ! リリは料理すごい上手なんだよ!」
「それじゃあ、お願いします」
そのままテーブルに向かった俊斗は、勉強を再開させた。
料理に自身のなかった俊斗は二人が夕飯を作ってくれている状況に正直ホッとしていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
七時を過ぎた頃、夕飯が完成した。
勉強していた――正確にはスマートフォンを見ながらのながら勉強――俊斗は勉強道具を急いで片付けた。
二人が料理をテーブルに並べる。
「おまたせー!」
それらは、白米から味噌汁、豚の生姜焼きなど、一般の家庭で並ぶ夕飯のようだった。
「すごいな!」
「このぐらい当たり前よ」
エプロンをどこかに置いてきた二人は俊斗の前に並んで座った。
「それじゃあ食べよっか」
「うん!」
「「「いただきます」」」
空腹を堪えていた俊斗は豚の生姜焼きを一口食べた。
「おいしいよ!」
ちょうど、俊斗の好みの味だった。好みも何も教えていないのに、不思議な感覚がした。
「ヒカリと相談して料理したのよ」
珍しく、リリが恥ずかしそうにする。しかし、俊斗はその様子に気づいていない。
「そうだよー私たち頑張ったんだから!」
ヒカリは話しながら食べ物を口に運ぶ。
「俊斗にはその恩返しをしてもらわないといけないわね」
「恩返しって?」
「そうねー、私たちの言うことを何でも聞くとか?」
「いやいやいや、そもそもここ俺の部屋だからね」
「そうそう部屋と言えば、この部屋の合鍵、大家さんから二人分もらって置いたわ」
「……えっ!」
俊斗は口の中のものを飲み込んでから、声を発した。
「当たり前でしょ、私たちこの部屋に住むんだから」
「ジャジャーン!」
食器と箸を置いたヒカリは、その合鍵を一つ手に取り、腕を伸ばして俊斗に見せつけた。
「食べてる時に出さなくていいよ……もう好きにしてください」
夕飯の美味しさと相まって複雑な心境の俊斗はゆっくりと食事を進めた。二人のことは特に信頼していないわけではないのだが、自分以外がこの部屋を自由に出入りできることに不安を感じていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
夕飯を食べ終えると、片付けは狭いキッチンで三人で行われた。
俊斗は最後に一人で食器の片付けをしている。
ヒカリはこの日の朝に料理が上手いことは知っていたが、リリも料理が上手いことを知った俊斗は、二人の性格を改めて考え直していた。
「俊斗くん、そろそろお風呂入ってもいい?」
椅子に座りテレビを見ていたヒカリが立ち上がった。
「うん、いいよ」
「やったー! ねえリリ、一緒に入ろ!」
「え⁉︎ 私はいいわよ」
椅子に座ってスマートフォンを見ていたリリは驚いた様子でヒカリを見上げる。
「えーいいじゃんいいじゃん入ろうよー」
「しょうがないわね、今日だけよ」
「やったー!」
着替えを持ったリリはヒカリに手を引かれ、俊斗の後ろを抜けて風呂に向かった。
ヒカリのポニーテールが俊斗の背中を軽く撫でる。後ろを振り返ると、リリと目が合った。
「は、早くあっち行きなさいよ!」
風呂場前のドアが勢いよく閉められた。その向こうからは女子の楽しそうな声が聞こえてくる。その空間にいられなくなった俊斗は急いで椅子に座り、テレビを眺め始めた。
(今日もいろいろあり過ぎたな……)
頬杖をついて一日を振り返った。この部屋に引っ越してからの三日間、身の回りの環境が変わり続けた俊斗にとっては、明日のことを考えることすら億劫であった。
夜風が強く吹き始め、アパートを揺らす。
魔法少女の二人に与えられた任務によって、その二人と同じ部屋に住む俊斗にも何らかの影響が及ぶことは容易に推測できることであるが、この時の俊斗にはそれを知る術はなかった――。
空には夕日を浴びて影を作るいくつかの雲がゆったりと流れていた。
「ねえ、ごはんってどうするのー?」
勉強をしているヒカリの隣で、リリはスマホをいじっている。
「あー、カップ麺が何個か残ってたから、それでいいなら――」
リュックから勉強道具を取り出していた俊斗はキッチンに向かおうとする。
「そんなのばっかり食べてるの? 身体に悪いっつーの」
リリはスマホの画面から目を離そうとはしない。
「悪かったな……」
「ヒカリ、一緒に買い物行かない?」
「いいよ!」
ヒカリの勉強道具はテーブルに無造作に置かれた。
「リリ、その格好で行くのか」
「んなわけないでしょ、着替えるわよ。あっち行って」
リリの人差し指は玄関の方に向けられた。
(俺の部屋なんだけどな……)
「はいはい」
玄関の前に来た俊斗はリリたちに背を向けた。
楽しそうに話す女子の声が玄関前の空間に響く。微かに衣服が擦れる音も混じっている。
後ろを振り返ろうとする欲も生まれなかったわけではないが、その場からは死角であろうという状況とその行為が今後の生活に与える影響を考慮すると、絶対に振り返ることはできなかった。
(魔法か……いつ使えるんだろう……)
そんなことを考えながら、自分の両手を見つめていた。
「戻ってきていいわよ」
振り返って歩き出す俊斗。
テーブルの前には制服に着替えたリリが腰に左手を当てて立っていた。
(制服なのか……)
「どう? 似合ってる?」
「うん、普通に似合ってると思うけど」
(高校生には見えないな……)
「普通って何よ普通って」
リリが俊斗に一歩近づいた。
「いや、その、似合ってます」
(近い近い!)
微笑んだ俊斗は一歩後ずさり。
「ならいいわ、それじゃあ私たちは近くのスーパーに行って来るわね、特別あんたの分も作ってあげるわ」
「ありがとうございます助かります。ていうか、俺も付いて行こうか、女子だけだと――」
「あんたは邪魔になりそうだからいいわよ」
鋭く光った赤い目が俊斗に向けられた。
「は、はい……」
制服姿の二人は玄関に向かって歩きだす。その間、俊斗は何も言葉が浮かばなかった。
「行ってきまーす!」
ヒカリの元気な声とともにドアが閉まった。
部屋には突然の静寂が訪れた。ふと、二人に出会う前のことが思い出された。
「二人がいないとこんなに静かなんだな……」
独り言を言いながら、テレビの電源を入れた。いつもと変わりない夕方のニュース番組が流れる。
椅子に座ろうと後ろを振り向くと、(玄関に向かう通路の反対側の)部屋の隅左に赤のキャリーバッグがヒカリのそれの隣に並べてあった。
(いつの間に)
椅子に座った俊斗は勉強道具を机に広げた。しかし、すぐに勉強を始めるのではなく、考え事をし始めた。
「魔法か……やってみるか」
俊斗の両手はテーブルの上に向けられた。しかし、突然魔法に対する恐怖が俊斗の中で込み上がった。このまま魔法を使って大変なことになったらと思うと、怖くて意識を集中させることができなかった。
両手をテーブルの上にゆっくりと置いた俊斗は、ため息をついた。
(今はやめておこう)
顔を上げ、勉強を始めた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
三十分ほどが経過した頃、二人が帰ってきた。
俊斗は未だ勉強を続けている。
(意外と早いな)
「ただいまー!」
「おかえりー」
二人とも両手に袋を持っている。
「そんなにたくさん買ってきたのか」
「毎日買い物に行くのは大変でしょ」
四つの買い物袋がテーブルに置かれた。
「お金、大丈夫だった?」
「もちろん、全額あんたの財布から払っておいたわよ」
リリは俊斗にウインクをしてみせた。
「え……はぁ⁉︎」
「何、文句あるの? あんたの面倒見てあげるんだから当たり前でしょ」
威圧的な笑顔のリリは袋から買ってきたものを出し始める。
「あ、ありがとうございます」
「仕方ないわね」
またウインクをしたリリは、冷蔵庫やキッチンの棚に買ってきたものを移動させ始めた。
そのあと、リリとヒカリはエプロンを着て料理を始めた。
「俺も手伝おうか」
俊斗はキッチンに向かった。
「大丈夫、私だって料理ぐらいできるわよ」
もちろん、リリのエプロンは赤い。
「そうだよ! リリは料理すごい上手なんだよ!」
「それじゃあ、お願いします」
そのままテーブルに向かった俊斗は、勉強を再開させた。
料理に自身のなかった俊斗は二人が夕飯を作ってくれている状況に正直ホッとしていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
七時を過ぎた頃、夕飯が完成した。
勉強していた――正確にはスマートフォンを見ながらのながら勉強――俊斗は勉強道具を急いで片付けた。
二人が料理をテーブルに並べる。
「おまたせー!」
それらは、白米から味噌汁、豚の生姜焼きなど、一般の家庭で並ぶ夕飯のようだった。
「すごいな!」
「このぐらい当たり前よ」
エプロンをどこかに置いてきた二人は俊斗の前に並んで座った。
「それじゃあ食べよっか」
「うん!」
「「「いただきます」」」
空腹を堪えていた俊斗は豚の生姜焼きを一口食べた。
「おいしいよ!」
ちょうど、俊斗の好みの味だった。好みも何も教えていないのに、不思議な感覚がした。
「ヒカリと相談して料理したのよ」
珍しく、リリが恥ずかしそうにする。しかし、俊斗はその様子に気づいていない。
「そうだよー私たち頑張ったんだから!」
ヒカリは話しながら食べ物を口に運ぶ。
「俊斗にはその恩返しをしてもらわないといけないわね」
「恩返しって?」
「そうねー、私たちの言うことを何でも聞くとか?」
「いやいやいや、そもそもここ俺の部屋だからね」
「そうそう部屋と言えば、この部屋の合鍵、大家さんから二人分もらって置いたわ」
「……えっ!」
俊斗は口の中のものを飲み込んでから、声を発した。
「当たり前でしょ、私たちこの部屋に住むんだから」
「ジャジャーン!」
食器と箸を置いたヒカリは、その合鍵を一つ手に取り、腕を伸ばして俊斗に見せつけた。
「食べてる時に出さなくていいよ……もう好きにしてください」
夕飯の美味しさと相まって複雑な心境の俊斗はゆっくりと食事を進めた。二人のことは特に信頼していないわけではないのだが、自分以外がこの部屋を自由に出入りできることに不安を感じていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
夕飯を食べ終えると、片付けは狭いキッチンで三人で行われた。
俊斗は最後に一人で食器の片付けをしている。
ヒカリはこの日の朝に料理が上手いことは知っていたが、リリも料理が上手いことを知った俊斗は、二人の性格を改めて考え直していた。
「俊斗くん、そろそろお風呂入ってもいい?」
椅子に座りテレビを見ていたヒカリが立ち上がった。
「うん、いいよ」
「やったー! ねえリリ、一緒に入ろ!」
「え⁉︎ 私はいいわよ」
椅子に座ってスマートフォンを見ていたリリは驚いた様子でヒカリを見上げる。
「えーいいじゃんいいじゃん入ろうよー」
「しょうがないわね、今日だけよ」
「やったー!」
着替えを持ったリリはヒカリに手を引かれ、俊斗の後ろを抜けて風呂に向かった。
ヒカリのポニーテールが俊斗の背中を軽く撫でる。後ろを振り返ると、リリと目が合った。
「は、早くあっち行きなさいよ!」
風呂場前のドアが勢いよく閉められた。その向こうからは女子の楽しそうな声が聞こえてくる。その空間にいられなくなった俊斗は急いで椅子に座り、テレビを眺め始めた。
(今日もいろいろあり過ぎたな……)
頬杖をついて一日を振り返った。この部屋に引っ越してからの三日間、身の回りの環境が変わり続けた俊斗にとっては、明日のことを考えることすら億劫であった。
夜風が強く吹き始め、アパートを揺らす。
魔法少女の二人に与えられた任務によって、その二人と同じ部屋に住む俊斗にも何らかの影響が及ぶことは容易に推測できることであるが、この時の俊斗にはそれを知る術はなかった――。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説

収納大魔導士と呼ばれたい少年
カタナヅキ
ファンタジー
収納魔術師は異空間に繋がる出入口を作り出し、あらゆる物体を取り込むことができる。但し、他の魔術師と違って彼等が扱える魔法は一つに限られ、戦闘面での活躍は期待できない――それが一般常識だった。だが、一人の少年が収納魔法を極めた事で常識は覆される。
「収納魔術師だって戦えるんだよ」
戦闘には不向きと思われていた収納魔法を利用し、少年は世間の収納魔術師の常識を一変させる伝説を次々と作り出す――
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

いちGo! らぶイーたん
光海ひろあき。
ファンタジー
栃ノ木苺愛は生まれも育ちもトチギの小学生。
ある日苺愛は、亡くなった大好きなおばあちゃんのタンスから偶然、
苺レリーフの鍵をみつけ、お庭にある開かずの蔵に入りました。
蔵をあけるとそこは、
甘くて可愛いがたくさん詰まった不思議な魔法の世界、「いちごのくに」でした。
足を踏み入れたいちごのくにの住人たちはとても優しく、
お城に招かれた苺愛は、
たくさんのいちごスウィーツをご馳走になりました。
そしていちごのくにの王子、「いちごショート王子」から次のことを伝えられました。
・実は苺愛は、いちごのくにの伝説のプリンセス、「いちごのくにのイーたん」のひとりだということ。
・伝説では、いちごのくにのプリンセスは、
異世界であるトチギ生まれのトチギを愛する女の子がなれること。
・そして、実はいま、「いちごのくに」は謎の暗雲に包まれ、
国中の草花や川、大切ないちごが枯れかけて困っていること。
・「いちごのくに」を救うには、トチギの人々から生まれる希望のエネルギー「ストロベリスタル」が必要なこと。
つまりトチギに住む人々が元気になれば、「いちごのくに」も元気になること。
おもてなしをしてくれた、優しくて素敵ないちごの国のために、
伝説の「いちごのくにのイーたん」のひとり…
「らぶイーたん」になることを決意する苺愛。
大好きなトチギのみんなと、いちごのくにを元気にするために、
らぶイーたんの活躍が始まります!
「今日もベリーがんばりまぁす!」
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる