2 / 7
幼なじみを探して
1話
しおりを挟む
その言葉を聞いた瞬間、時間が止まったように感じた。目を見開き、固まる私に、おばさんが震えた声で続きを話す。
「__4日前から、姿が見えないの。部屋にもいなかったし、お友達にも電話したんだけど…もちろん、警察にも相談した。けど…」
その続きは、容易に想像出来た。
おばさんが涙を零しながら嗚咽を漏らす。私はお裾分けに持ってきた器をおいて、おばさんにハンカチを渡した。
「__ありがとう、シズクちゃん。最近はレイからシズクちゃんの話を聞いてなかったから、何だか嬉しい」
おばさんのその言葉に、チクリと胸が痛んだ。
「そんな、大袈裟ですよ。私も最近、レイとはあんまり会えてなかったので」
そう言って微笑むと、おばさんにお母さんから頼まれていたお裾分けを渡した。
「これは…?」
「母がお裾分けだそうです!私の方でもレイを探してみます」
私がそう言うと、おばさんは微笑んだ。
「ありがとう。なにか分かったら、連絡するわね」
「はい。よろしくお願いします」
私はおばさんにぺこりとお辞儀して、その場を去った。
***
_____動揺している心を落ち着けるために家の扉の前で深く深呼吸をし、レイが行きそうなところを瞼の裏に思い浮かべる。
「___…っ、ダメだ。いくら考えても思いつかない」
レイが子供の頃に行きそうなところは思い浮かんだけど、最近はどうか分からない。………いつから、レイと疎遠になってしまったのだろう。せめて、もう少し早くレイと話しておけば……そうすれば、こんなことにはならなかったかもしれないのに。
__大切な幼なじみである、レイ。
保育園の頃からずっと一緒で、休日はお兄ちゃんとレイと私の3人で遊ぶことが当たり前だった。喧嘩したことももちろんあるけど、お互い楽しくなくて、すぐに謝っていたのに。
「…ほんと、なんでだろうなぁ」
今まで何故、レイと話さなかったのかな。話していれば___。そんな思いが胸の中を占める。
罪悪感と、後悔。
幼い頃は、お兄ちゃんと同じくらいに大好きだった幼なじみ。それは今でも変わらない。……でも、お互いに何故か気まずくて言葉を交わすことが少なくなってしまっていた。高校に入ってからはその距離感にも慣れてしまい、高校の廊下ですれ違っても素知らぬふりをしていた。
___…私のせいなのかな。
ぐるぐると悪いことばかりを考え始め、ついにはそんな思考にまで至った。そう考えれば考えるほどに、胸の中の罪悪感と後悔が大きく膨れ上がっていく。
___私のせいで。
___私が話しかけなかったせいで。
酷い罪悪感と後悔に襲われ、いつの間にか涙が頬をつたっていた。
「レイ………必ず見つけだしてみせるからね__…!」
私はそう決心すると、頬をつたっていた涙を急いで拭い、玄関に続いている扉に手をかけた。
___とりあえず、ゲームのことでレイと繋がりがあったお兄ちゃんに相談してみた方がいいかもしれない。
「__4日前から、姿が見えないの。部屋にもいなかったし、お友達にも電話したんだけど…もちろん、警察にも相談した。けど…」
その続きは、容易に想像出来た。
おばさんが涙を零しながら嗚咽を漏らす。私はお裾分けに持ってきた器をおいて、おばさんにハンカチを渡した。
「__ありがとう、シズクちゃん。最近はレイからシズクちゃんの話を聞いてなかったから、何だか嬉しい」
おばさんのその言葉に、チクリと胸が痛んだ。
「そんな、大袈裟ですよ。私も最近、レイとはあんまり会えてなかったので」
そう言って微笑むと、おばさんにお母さんから頼まれていたお裾分けを渡した。
「これは…?」
「母がお裾分けだそうです!私の方でもレイを探してみます」
私がそう言うと、おばさんは微笑んだ。
「ありがとう。なにか分かったら、連絡するわね」
「はい。よろしくお願いします」
私はおばさんにぺこりとお辞儀して、その場を去った。
***
_____動揺している心を落ち着けるために家の扉の前で深く深呼吸をし、レイが行きそうなところを瞼の裏に思い浮かべる。
「___…っ、ダメだ。いくら考えても思いつかない」
レイが子供の頃に行きそうなところは思い浮かんだけど、最近はどうか分からない。………いつから、レイと疎遠になってしまったのだろう。せめて、もう少し早くレイと話しておけば……そうすれば、こんなことにはならなかったかもしれないのに。
__大切な幼なじみである、レイ。
保育園の頃からずっと一緒で、休日はお兄ちゃんとレイと私の3人で遊ぶことが当たり前だった。喧嘩したことももちろんあるけど、お互い楽しくなくて、すぐに謝っていたのに。
「…ほんと、なんでだろうなぁ」
今まで何故、レイと話さなかったのかな。話していれば___。そんな思いが胸の中を占める。
罪悪感と、後悔。
幼い頃は、お兄ちゃんと同じくらいに大好きだった幼なじみ。それは今でも変わらない。……でも、お互いに何故か気まずくて言葉を交わすことが少なくなってしまっていた。高校に入ってからはその距離感にも慣れてしまい、高校の廊下ですれ違っても素知らぬふりをしていた。
___…私のせいなのかな。
ぐるぐると悪いことばかりを考え始め、ついにはそんな思考にまで至った。そう考えれば考えるほどに、胸の中の罪悪感と後悔が大きく膨れ上がっていく。
___私のせいで。
___私が話しかけなかったせいで。
酷い罪悪感と後悔に襲われ、いつの間にか涙が頬をつたっていた。
「レイ………必ず見つけだしてみせるからね__…!」
私はそう決心すると、頬をつたっていた涙を急いで拭い、玄関に続いている扉に手をかけた。
___とりあえず、ゲームのことでレイと繋がりがあったお兄ちゃんに相談してみた方がいいかもしれない。
0
お気に入りに追加
43
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら
夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。
それは極度の面食いということ。
そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。
「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ!
だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」
朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい?
「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」
あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?
それをわたしにつける??
じょ、冗談ですよね──!?!?
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】ペンギンの着ぐるみ姿で召喚されたら、可愛いもの好きな氷の王子様に溺愛されてます。
櫻野くるみ
恋愛
笠原由美は、総務部で働くごく普通の会社員だった。
ある日、会社のゆるキャラ、ペンギンのペンタンの着ぐるみが納品され、たまたま小柄な由美が試着したタイミングで棚が倒れ、下敷きになってしまう。
気付けば豪華な広間。
着飾る人々の中、ペンタンの着ぐるみ姿の由美。
どうやら、ペンギンの着ぐるみを着たまま、異世界に召喚されてしまったらしい。
え?この状況って、シュール過ぎない?
戸惑う由美だが、更に自分が王子の結婚相手として召喚されたことを知る。
現れた王子はイケメンだったが、冷たい雰囲気で、氷の王子様と呼ばれているらしい。
そんな怖そうな人の相手なんて無理!と思う由美だったが、王子はペンタンを着ている由美を見るなりメロメロになり!?
実は可愛いものに目がない王子様に溺愛されてしまうお話です。
完結しました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
女性が全く生まれない世界とか嘘ですよね?
青海 兎稀
恋愛
ただの一般人である主人公・ユヅキは、知らぬうちに全く知らない街の中にいた。ここがどこだかも分からず、ただ当てもなく歩いていた時、誰かにぶつかってしまい、そのまま意識を失う。
そして、意識を取り戻し、助けてくれたイケメンにこの世界には全く女性がいないことを知らされる。
そんなユヅキの逆ハーレムのお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる