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第3章 シュルトーリア

冒険者講習1日目 午後

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講義室の片隅でディメンジョンルームを開き、みんなに昼食を振舞う。内容は昨日に引き続き、ただのステーキだ。量も量なのでそろそろ煮込み料理とか一度に大量に作れるものを考えた方がいいかもしれない。

昼休憩も終わり、講義室に戻って講習を再開する

「午前中はギルドと冒険者について話したから午後は冒険者に必要な知識を話していく。まずは魔物についてだ。」

そう言ってダイクンさんが黒板にいくつか書き出していく。

「魔物には強さに応じてランクが付けられている。弱い方からE、D、C、B、Aと上がってAの次がS。Sの上がSSになる。スライムならE、オークならDって具合だな。それと全部のモンスターのランクを覚えるのは大変だからランクはベースのモンスターだけ覚えて、残りはランク設定情報に沿って名前から推察する。ランク設定情報についてはギルドマスターが説明したと聞いてるが覚えてるか?」
「確か特殊および属性、役職および格、サイズ、例外の4種類です。」
「そうだ。ランクと強さの関係はそうだな……。すべて一対一としてEランクなら一般人がギリギリ勝てるかどうかだな。DならランクD冒険者がギリギリ勝てるだろ。CならCがギリギリってところだな。B以上は同じランクの冒険者が一対一では勝てないな。同じランクの4~5人のパーティでなんとかってところか。S、SSは規格外過ぎてわからん。」

そうなると奇襲をかけたとはいえオーク3匹を一人で倒せる俺自身の実力はD以上ってことだな。

そのままいくつかの魔物の特性と素材となる部位、戦い方と説明を聞いていく。

「魔物についてはこんなところだな。次は装備、所持品について。冒険者は自分の戦闘スタイルに合わせた装備選びが重要だ。極端なことを行ってしまえば魔法使いに剣を持たせてフルプレートの鎧を着させてもしょうがない。そこで明日は模擬戦がてらタカシの戦闘スタイルと今の装備を確認して装備についてアドバイスしようと思う。今日の所は装備以外の所持品についてだ。」

装備についてはほとんどウェルズでそろえた初期装備のままだし、明日のアドバイスをもとに新調するのもいいかもしれない。持ち物はガッツさんに教えてもらいながら色々買ったから大丈夫だろう。

ダイクンさんの説明を受けながら状態異常の回復薬等の不足している物を書き出していく。

「だいたいこんなところだな。じゃあ少し早いが今日はここまでだ。」
「ありがとうございました。」

外を見るとまだ空が紅くなる前で、夕方6時の鐘まであと2~3時間はありそうだ。

「明日はさっきも言ったが模擬戦と野営訓練もするからな。装備一式とさっき説明した持ち物から野営に必要だと思う物を持ってこい。今ならまだ店も開いてるし、足りないものがあれば買い揃えておけ。」
「わかりました。」

ダイクンさん達と別れ、ギルドを出るとその足でまっすぐ商業地区の薬屋に向かった。




「状態異常回復のポーションね。うちで扱ってる物だとキュアポイズンポーション、キュアパラライズポーションの2種類だよ。それぞれロー、通常、ミドルがあるけどローキュアポーションが大銅貨1枚と銅貨20枚、キュアポーションが銀貨1枚と大銅貨1枚、ミドルキュアポーションが大銀貨1枚と銀貨2枚。」

薬屋のお爺さんが薬瓶をいくつかカウンターに並べていく。

「傷を治すポーションに比べて高いですね。キュアポーション系に使う薬草は高価な物が多いからね。たいていはローキュアポーションで問題ないよ。通常以上のものは余程たちの悪い魔物か、殺し屋が独自に調合した毒を受けた時なんか用だね。」

自分だけなら1本ずつあればいいだろうけどケガ用のポーションと同様に道中負傷者を保護したら必要になるかもしれない。異空間収納に入れておけばいいし多めに買っておいてもいいだろう。

「それじゃあ2種類のローキュアポーションを5本ずつと通常のキュアポーションを1本ずつください。」
「それだと金貨1枚になるけど大丈夫かい?」
「はい、これでお願いします。」

異空間収納から金貨が入った袋を取り出してそこから1枚カウンターに乗せる。

「……確かに。前もポーションを買ってくれたけど中々やり手の冒険者だね。」
「そんなことないですよ。それじゃあ他にもよる所があるので。」
「ポーションが必要になったらまた来ておくれ。」

受け取ったポーションを異空間収納にしまい、次の買い物に向かって店を出た。




必要なものを粗方買い終え、俺はツェマーマンの工房に入る。時刻はちょうど6時になったところで教会の鐘が聞こえる。ディメンジョンルームの入り口を開いて中に入るとすでに浴室の上げ床の高さまでの壁は完成していて、残り浴室の床と浴槽、天井までの壁だけになっていた。

「おう、もう時間か?」

ツェマーマンが上げ床の上からこちらに目を向け、体を起こすと上げ床から飛び降りた。

「はい、ちょうど6時の鐘が鳴ってるところです。もうほとんど形になってますね。もっと時間が掛かると思ってました。」
「ドワーフの技術者舐めんじゃねぇぞ。このぐらい4、5日で仕上げてやる。」

柱をバンバン叩きながらガハハと笑い声を上げると思い出したようにこちらに向き直った。

「……あぁそうだ、明日はここでの作業は無しだ。工房で床と浴槽に使う木材の加工をやってるから迎えに来なくていい。」
「分かりました。じゃあ今度は明後日の朝に迎えにきます。」

ツェマーマンに今日の作業のお礼を言って工房を出ると明日に備えてディメンジョンルームに戻ることにした。
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