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第3章 シュルトーリア
食事と上下関係
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ということで今日はもう休むと行きたいところだがまだやらないといけないことがある。ギルドを出た俺は商業地区にあるポーションを買った薬屋に向かった。道中もう閉まりそうな屋台を何軒か寄り、値切りながら売れ残りを根こそぎ買い漁って行く。
薬屋に着く頃にはだいぶ暗くなってきたが幸い窓から光が漏れていてまだ店はやっていそうだ。
「こんばんは。」
「おや、こんばんは。どうしたのかね?」
店に入るとカウンターの奥から店主のお爺さんが顔を出した。
「またマナポーションが欲しいんですけど、短期間に何度も飲んでると効果が落ちたりします?」
「そりゃ薬だからね。短期間で何本も飲んでたらポーション中毒になって回復量が落ちるよ。」
「そうですか。」
そうなるとポーションに頼らない回復手段を考えないといけないが、今日の所はしょうがない。
「とりあえずマナポーションを6本ください。」
「……まぁ、そのくらいなら大丈夫かね。何するのかしらないけどあまり無理するもんじゃないよ。」
お爺さんがカウンターから出したマナポーションを代金と引き換えに受け取る。道中買った料理と今回のマナポーションでグレイハウンドの報酬はほとんど使ってしまった。オークの集落討伐報酬がそのうち出るだろうがやっぱり早めに金作が必要だ。
店を出ると脇道をさらに奥へと進み、裏道のなるべく人目に付きにくそうな所を探す。
「門が閉まっちゃったし仕方ないよな。」
見つけたボロボロの小屋の物陰に入るとその小屋の壁際にディメンジョンルームを開いて中に入る。
「(あっ!ご主人様、おかえりなさい。用事はもう終わりですか?)」
入ってきた俺をロアが出迎える。その奥に目を向ければガルドとオーク達が格闘戦を繰り広げていた。ただし、集落の時の様な殺気立った感じもなく、ガルドもうまくあしらっていたので慌てることもなかった。
「ただいま。ガルドのあれは何をやってるんだ?」
「(戦闘訓練らしいですよ。武器を使うには手狭だから素手で、らしいですけど。)」
「そうか、どっちもケガしなければいいけど。」
「(それよりご主人様、お腹空いちゃいました。)」
「あぁ、悪いな。店で買ってきたから、すぐ用意するよ。」
収納から買ってきた料理を取り出しているとガルドもこちらに気が付いて訓練を中止した。
「(戻ったか。)」
「遅くなって悪いな。買ってきたものだけど直ぐにご飯の用意するから。」
「(構わぬ。それよりも済まぬ。我が配下を増やし過ぎたばかりに負担を掛けるな。)」
こちらに駆け寄ってきたガルドは俺が収納から取り出し続ける料理が入った木の葉の包みをちらりと見ると項垂れる。
「気にするなよ。しっかり狩りで稼いでもらうから。」
皿が足りないので包みを広げただけのまま木箱に並べ、みんなを呼び戻す。
「さっ、食事にするぞ。並べておくから皆適当な位置について食べてくれ。」
揃ったところで食事を始めようとするが声を掛けるがオーク達は少し離れた所で整列するだけで近づこうとしない。
「どうした?食事にするからこっちに来い。」
もう一度声を掛けるとオークランサーが一歩こちらに近づき膝をついた。何かあればこいつが出てくるからこのオークランサーが今の所まとめ役なのか。
「(奥方様。主君や奥方様と同じ席で食事を取るなど畏れ多い。我らは皆さまの後に余りを頂ければ十分。)」
「でもな……。」
「(妻よ、奴の言う通りだ。我らで先に食うぞ。)」
ガルドが先にいつも通りの席に着いたので仕方なしに俺も席に着いてガルド、ロアと食事を始める。
「(我らのように集落や群れを作る魔物は上下関係がしっかりしている。最初にトップが良い所を取り、次点が余ったところから良い所を取る。そうやって順番に下の者に回るのだ。)」
食事を取りながらガルドの説明を受けてチラリとオーク達の方を見る。オークランサーと目が合うとガルドの説明に同意するように大きく頷いた。
「そういうことなら。」
一応納得した俺はいつも通りガルドとロアと食事を続け、食べ終わってからオーク達にも場所を譲って料理を食べさせた。するとオーク達の中にもやはり序列があるのか、まず武持ちと素手のファイターのオークが、そのあとに残りのただのオーク食事を取り始めた。
その様子を横目に見ながら俺はもう一仕事こなすためにディメンジョンルームの壁際に向かう。
収納から先ほど買ってきたマナポーションを取り出して床に並べると壁に手をかざした。
今の空間の広さは25m×20mくらい。これから風呂も作るのにオークが20人も増えたおかげで狭い。いや、おとなしくしている分には問題ない広さのはずなのだが、ガルド達が戦闘訓練をすることを考えると狭い。元々ガルドが余裕を持って素振りをしていたがさすがに20人に増えればそうはいかない。
マナポーションは余計に買ってあるので今回は倒れないようにMPを1000込めて拡張するごとにマナポーションを飲む。
「うっぷ……。」
「(ご主人さま、大丈夫?)」
「あぁ、ちょっと飲みすぎただけだから大丈夫だ。」
6本のマナポーションを飲んてタポタポ鳴るお腹をさすりながクッション替わりのなってもらったバラムに寄りかかって休む。
ディメンジョンルームは30m×30mくらいに広がったがポーション飲んでこれだけかと思ってしまう。
こうなると早急にポーション以外のMP回復手段を考えなくては。
薬屋に着く頃にはだいぶ暗くなってきたが幸い窓から光が漏れていてまだ店はやっていそうだ。
「こんばんは。」
「おや、こんばんは。どうしたのかね?」
店に入るとカウンターの奥から店主のお爺さんが顔を出した。
「またマナポーションが欲しいんですけど、短期間に何度も飲んでると効果が落ちたりします?」
「そりゃ薬だからね。短期間で何本も飲んでたらポーション中毒になって回復量が落ちるよ。」
「そうですか。」
そうなるとポーションに頼らない回復手段を考えないといけないが、今日の所はしょうがない。
「とりあえずマナポーションを6本ください。」
「……まぁ、そのくらいなら大丈夫かね。何するのかしらないけどあまり無理するもんじゃないよ。」
お爺さんがカウンターから出したマナポーションを代金と引き換えに受け取る。道中買った料理と今回のマナポーションでグレイハウンドの報酬はほとんど使ってしまった。オークの集落討伐報酬がそのうち出るだろうがやっぱり早めに金作が必要だ。
店を出ると脇道をさらに奥へと進み、裏道のなるべく人目に付きにくそうな所を探す。
「門が閉まっちゃったし仕方ないよな。」
見つけたボロボロの小屋の物陰に入るとその小屋の壁際にディメンジョンルームを開いて中に入る。
「(あっ!ご主人様、おかえりなさい。用事はもう終わりですか?)」
入ってきた俺をロアが出迎える。その奥に目を向ければガルドとオーク達が格闘戦を繰り広げていた。ただし、集落の時の様な殺気立った感じもなく、ガルドもうまくあしらっていたので慌てることもなかった。
「ただいま。ガルドのあれは何をやってるんだ?」
「(戦闘訓練らしいですよ。武器を使うには手狭だから素手で、らしいですけど。)」
「そうか、どっちもケガしなければいいけど。」
「(それよりご主人様、お腹空いちゃいました。)」
「あぁ、悪いな。店で買ってきたから、すぐ用意するよ。」
収納から買ってきた料理を取り出しているとガルドもこちらに気が付いて訓練を中止した。
「(戻ったか。)」
「遅くなって悪いな。買ってきたものだけど直ぐにご飯の用意するから。」
「(構わぬ。それよりも済まぬ。我が配下を増やし過ぎたばかりに負担を掛けるな。)」
こちらに駆け寄ってきたガルドは俺が収納から取り出し続ける料理が入った木の葉の包みをちらりと見ると項垂れる。
「気にするなよ。しっかり狩りで稼いでもらうから。」
皿が足りないので包みを広げただけのまま木箱に並べ、みんなを呼び戻す。
「さっ、食事にするぞ。並べておくから皆適当な位置について食べてくれ。」
揃ったところで食事を始めようとするが声を掛けるがオーク達は少し離れた所で整列するだけで近づこうとしない。
「どうした?食事にするからこっちに来い。」
もう一度声を掛けるとオークランサーが一歩こちらに近づき膝をついた。何かあればこいつが出てくるからこのオークランサーが今の所まとめ役なのか。
「(奥方様。主君や奥方様と同じ席で食事を取るなど畏れ多い。我らは皆さまの後に余りを頂ければ十分。)」
「でもな……。」
「(妻よ、奴の言う通りだ。我らで先に食うぞ。)」
ガルドが先にいつも通りの席に着いたので仕方なしに俺も席に着いてガルド、ロアと食事を始める。
「(我らのように集落や群れを作る魔物は上下関係がしっかりしている。最初にトップが良い所を取り、次点が余ったところから良い所を取る。そうやって順番に下の者に回るのだ。)」
食事を取りながらガルドの説明を受けてチラリとオーク達の方を見る。オークランサーと目が合うとガルドの説明に同意するように大きく頷いた。
「そういうことなら。」
一応納得した俺はいつも通りガルドとロアと食事を続け、食べ終わってからオーク達にも場所を譲って料理を食べさせた。するとオーク達の中にもやはり序列があるのか、まず武持ちと素手のファイターのオークが、そのあとに残りのただのオーク食事を取り始めた。
その様子を横目に見ながら俺はもう一仕事こなすためにディメンジョンルームの壁際に向かう。
収納から先ほど買ってきたマナポーションを取り出して床に並べると壁に手をかざした。
今の空間の広さは25m×20mくらい。これから風呂も作るのにオークが20人も増えたおかげで狭い。いや、おとなしくしている分には問題ない広さのはずなのだが、ガルド達が戦闘訓練をすることを考えると狭い。元々ガルドが余裕を持って素振りをしていたがさすがに20人に増えればそうはいかない。
マナポーションは余計に買ってあるので今回は倒れないようにMPを1000込めて拡張するごとにマナポーションを飲む。
「うっぷ……。」
「(ご主人さま、大丈夫?)」
「あぁ、ちょっと飲みすぎただけだから大丈夫だ。」
6本のマナポーションを飲んてタポタポ鳴るお腹をさすりながクッション替わりのなってもらったバラムに寄りかかって休む。
ディメンジョンルームは30m×30mくらいに広がったがポーション飲んでこれだけかと思ってしまう。
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