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第3章 シュルトーリア
薬屋
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俺はギルドを出ると商業地区に向かい、適当に食料やお昼に食べる出来合いの料理を買いながら魔力を回復させるマナポーションを扱う店を探す。さすがに人通りが多い場所でバラム達を連れて歩くことはできないので3人はディメンジョンルームで待機だ。それはギルドを出た所で話してある。
「さっきのオッサンに聞いた話だとこの辺りのはずだけど。」
野菜を買い込んだ店のオッサンに聞いたポーション類を扱ってる店がある辺りまでくると辺りを見渡しそれらしい店を探す。
「……あれか。」
俺は大通りから脇道に入ったところにフラスコが書かれた看板を掲げる小さい店を見つけ、そこに足を踏み入れる。
薄暗い店内にはいくつかの薬品が混ざったようなにおいが漂っている。
「おや、いらっしゃい。」
声がした方を振り向くと奥のカウンターで白髪を短く切りそろえたお爺さんがロッキングチェアに座り、ユラユラ揺れながらパイプをふかしていた。
俺はカウンターに近づき、お爺さんに要件を伝える。
「ここでポーション類が買えると聞いてきたんですけど。」
「珍しいね。わざわざこんな小さな店に買いに来てくれるなんて。」
「その辺の店でポーションが買える店を知らないかと聞いたらここを教えてくれました。」
「なるほど。ならその店の奴がうちに気を遣ってくれたのかもね。」
「どういうことですか?」
なにか苦労してる店を紹介されたんだろうか。確かにこの店は入り口が脇道にあって目立たないから客入りはあまり良くないのかもしれないが、薬屋がここしかないならみんなここに来るだろうし。
「そこの大通りをもう少し行くとオティリオ商会の店がある。あそこはいろんな所とつながりがあるから品ぞろえも豊富で値段も安いんだよ。その代わり効果はほどほどで一定だけどね。だから、ほとんどの人は安く買えるオティリオ商会に行くんだよ。」
なるほど、ほかに安く買えるところがあるなら確かにみんなそちらに行くだろう。
「それに比べてうちは私の手作りの個人商店だからね。効果はうちの方が上だと自負してるが一人じゃ量産できないから値段が高い。どうだい、オティリオ商会に行ってみるかい?」
「いえ、せっかくなのでこちらの効果が高いものを購入させていただきます。」
せっかくだ。少しいいものを買っておこう。
「そうかい、ありがとう。ポーションだったね。どんな種類のものをお探しかな?ケガを治すもの、魔力を回復するもの、疲れを取るもの、色々あるが。」
「ケガを治すものと魔力を回復するものをお願いします。」
俺には超回復、超再生があるからケガを治すものはいらないが道中負傷者を保護したら必要になるかもしれない。魔力を回復するマナポーションはファイアアントの取り出しと今後の予備に数本いるだろうか。
「それじゃあ、まずケガを治すものからだ。」
お爺さんはカウンター奥の戸棚から小瓶をいくつか取り出す。
「これがローポーション。ちょっとした切り傷、擦り傷に掛ければ治るけど深い傷には応急処置の血止め程度にしか効果がない。次に通常のポーション。ローポーションに比べれば多少深めの傷なら治るだろう。最後がミドルポーション。これは飲めば軽い骨折を治せるし欠損部分に掛ければ血止め位はできるけど繋ぎ治したり、欠損部分を生やしたりはできないよ。」
そういいながらカウンターに少し濁った水色、水色、半透明な水色の液体が入った小瓶を並べる。
「欠損を治すようなポーションもあるんですか?」
「あぁ、うちには無いがハイポーションなら繋ぎ治せるだろう。ただし、時間が経ってたり間の部分が無くなってたら無理だね。あと、大貴族以上じゃないと持っていないだろうがフルポーションなら時間が経っていない欠損部位を生やすこともできるだろうね。」
「なるほど。」
「料金はローポーションが大銅貨1枚、ポーションが銀貨1枚、ミドルポーションが大銀貨1枚だよ。」
軽い傷を治したり、応急処置するだけのローポーションで大銅貨1枚。安宿1泊分と考えると中々高い、しかしかければすぐに傷が塞がり戦闘に支障が無くなるならばその恩恵は大きいだろう。
幸い金にはそれほど困ってないしな。
俺からの依頼分を引いても巣の殲滅報酬で金貨3枚と大銀貨1枚。200匹以上いるファイアアントの討伐報酬で金貨20枚分、それにファイアアントの素材でもう少し増える。
「それじゃあ、ポーションを3つとミドルポーションを2つお願いします。」
「まさか、ミドルポーションを2つも買うなんて。新人のような雰囲気なのに、なかなか腕の立つ冒険者みたいだね。」
「俺自身は大したことありませんよ。仲間が強いだけです。」
「そうだったかい。まぁどちらにせよ、買ってくれるならこちらは助かるからね。」
そういってお爺さんはポーション3つとミドルポーションを2つカウンターに残して他の小瓶をしまい、また別の小瓶を取り出す。
「あとは魔力回復のポーションだったね。まずはローマナポーション。回復量は400位だから見習い魔術師ならこれで十分だね。次がマナポーション。1000位回復するからある程度魔法が使えるようになったらこれだね。最後がミドルマナポーション。3000位回復するから基本的には純粋な魔法使い専用だね。」
そう説明しながら今度は少し濁った緑色、緑色、半透明な緑色の液体が入った小瓶を並べる。
「それと自分の魔力の上限以上の量を飲むと魔力酔いになるから気を付けな。料金はそれぞれ銅貨30枚、大銅貨1枚と銅貨25枚、銀貨2枚」
「それじゃあマナポーションを3本ください。」
「マナポーション3本ね。ほかに必要なものはあるかい?」
「とりあえずこれで大丈夫です。何かあればまた来ます。」
「それじゃあポーション3本で銀貨3枚、ミドルポーション2本で金貨1枚、マナポーション3本で銀貨2枚と銅貨25枚。合わせて金貨1枚と大銀貨1枚、銅貨25枚だよ。」
俺は異空間収納から硬貨を入れた麻袋を取り出し、ピッタリで払って各ポーションを受け取った。
「まいどありがとう。効果に満足したらまた来ておくれ。」
お爺さんのニコニコした柔和な笑顔に見送られて俺は薬屋を出て宿屋に戻った。
「さっきのオッサンに聞いた話だとこの辺りのはずだけど。」
野菜を買い込んだ店のオッサンに聞いたポーション類を扱ってる店がある辺りまでくると辺りを見渡しそれらしい店を探す。
「……あれか。」
俺は大通りから脇道に入ったところにフラスコが書かれた看板を掲げる小さい店を見つけ、そこに足を踏み入れる。
薄暗い店内にはいくつかの薬品が混ざったようなにおいが漂っている。
「おや、いらっしゃい。」
声がした方を振り向くと奥のカウンターで白髪を短く切りそろえたお爺さんがロッキングチェアに座り、ユラユラ揺れながらパイプをふかしていた。
俺はカウンターに近づき、お爺さんに要件を伝える。
「ここでポーション類が買えると聞いてきたんですけど。」
「珍しいね。わざわざこんな小さな店に買いに来てくれるなんて。」
「その辺の店でポーションが買える店を知らないかと聞いたらここを教えてくれました。」
「なるほど。ならその店の奴がうちに気を遣ってくれたのかもね。」
「どういうことですか?」
なにか苦労してる店を紹介されたんだろうか。確かにこの店は入り口が脇道にあって目立たないから客入りはあまり良くないのかもしれないが、薬屋がここしかないならみんなここに来るだろうし。
「そこの大通りをもう少し行くとオティリオ商会の店がある。あそこはいろんな所とつながりがあるから品ぞろえも豊富で値段も安いんだよ。その代わり効果はほどほどで一定だけどね。だから、ほとんどの人は安く買えるオティリオ商会に行くんだよ。」
なるほど、ほかに安く買えるところがあるなら確かにみんなそちらに行くだろう。
「それに比べてうちは私の手作りの個人商店だからね。効果はうちの方が上だと自負してるが一人じゃ量産できないから値段が高い。どうだい、オティリオ商会に行ってみるかい?」
「いえ、せっかくなのでこちらの効果が高いものを購入させていただきます。」
せっかくだ。少しいいものを買っておこう。
「そうかい、ありがとう。ポーションだったね。どんな種類のものをお探しかな?ケガを治すもの、魔力を回復するもの、疲れを取るもの、色々あるが。」
「ケガを治すものと魔力を回復するものをお願いします。」
俺には超回復、超再生があるからケガを治すものはいらないが道中負傷者を保護したら必要になるかもしれない。魔力を回復するマナポーションはファイアアントの取り出しと今後の予備に数本いるだろうか。
「それじゃあ、まずケガを治すものからだ。」
お爺さんはカウンター奥の戸棚から小瓶をいくつか取り出す。
「これがローポーション。ちょっとした切り傷、擦り傷に掛ければ治るけど深い傷には応急処置の血止め程度にしか効果がない。次に通常のポーション。ローポーションに比べれば多少深めの傷なら治るだろう。最後がミドルポーション。これは飲めば軽い骨折を治せるし欠損部分に掛ければ血止め位はできるけど繋ぎ治したり、欠損部分を生やしたりはできないよ。」
そういいながらカウンターに少し濁った水色、水色、半透明な水色の液体が入った小瓶を並べる。
「欠損を治すようなポーションもあるんですか?」
「あぁ、うちには無いがハイポーションなら繋ぎ治せるだろう。ただし、時間が経ってたり間の部分が無くなってたら無理だね。あと、大貴族以上じゃないと持っていないだろうがフルポーションなら時間が経っていない欠損部位を生やすこともできるだろうね。」
「なるほど。」
「料金はローポーションが大銅貨1枚、ポーションが銀貨1枚、ミドルポーションが大銀貨1枚だよ。」
軽い傷を治したり、応急処置するだけのローポーションで大銅貨1枚。安宿1泊分と考えると中々高い、しかしかければすぐに傷が塞がり戦闘に支障が無くなるならばその恩恵は大きいだろう。
幸い金にはそれほど困ってないしな。
俺からの依頼分を引いても巣の殲滅報酬で金貨3枚と大銀貨1枚。200匹以上いるファイアアントの討伐報酬で金貨20枚分、それにファイアアントの素材でもう少し増える。
「それじゃあ、ポーションを3つとミドルポーションを2つお願いします。」
「まさか、ミドルポーションを2つも買うなんて。新人のような雰囲気なのに、なかなか腕の立つ冒険者みたいだね。」
「俺自身は大したことありませんよ。仲間が強いだけです。」
「そうだったかい。まぁどちらにせよ、買ってくれるならこちらは助かるからね。」
そういってお爺さんはポーション3つとミドルポーションを2つカウンターに残して他の小瓶をしまい、また別の小瓶を取り出す。
「あとは魔力回復のポーションだったね。まずはローマナポーション。回復量は400位だから見習い魔術師ならこれで十分だね。次がマナポーション。1000位回復するからある程度魔法が使えるようになったらこれだね。最後がミドルマナポーション。3000位回復するから基本的には純粋な魔法使い専用だね。」
そう説明しながら今度は少し濁った緑色、緑色、半透明な緑色の液体が入った小瓶を並べる。
「それと自分の魔力の上限以上の量を飲むと魔力酔いになるから気を付けな。料金はそれぞれ銅貨30枚、大銅貨1枚と銅貨25枚、銀貨2枚」
「それじゃあマナポーションを3本ください。」
「マナポーション3本ね。ほかに必要なものはあるかい?」
「とりあえずこれで大丈夫です。何かあればまた来ます。」
「それじゃあポーション3本で銀貨3枚、ミドルポーション2本で金貨1枚、マナポーション3本で銀貨2枚と銅貨25枚。合わせて金貨1枚と大銀貨1枚、銅貨25枚だよ。」
俺は異空間収納から硬貨を入れた麻袋を取り出し、ピッタリで払って各ポーションを受け取った。
「まいどありがとう。効果に満足したらまた来ておくれ。」
お爺さんのニコニコした柔和な笑顔に見送られて俺は薬屋を出て宿屋に戻った。
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