魔物好きゲイテイマーの異世界転生記

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第3章 シュルトーリア

魔物のランク

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今回は色々書いてたら少し長くなってしまいましたがステータスの修正が完了したので更新再開します。
1レベル上がる毎のステータス上昇値の設定を見直し、ロアのステータスはいじらずにバラム、ガルドのステータスを全体的に弱体化してます。

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「遅かったな。」
「(おかえりなさーい!)」

俺がディメンジョンルームの出口を開くとすぐに横から若干怒気を含んだ声と呑気な念話が飛んできた。
振り向くと出しておいた木箱に腰を掛けたベルグさんが組んだ足を揺すりながらこちらを見ている。
念話を飛ばしたロアはスッとこちらに寄って俺の前で伏せる。

「こっちはなんも出てこないから暇してたんだけどなぁ。」
「すみません。」
「……はぁ、まぁいい。それで従魔はどうなったんだ。」

俺はさっと頭を下げるとベルグさんはため息をついて続けた。

「それが、進化しまして……。」
「それで?」
「あ~……。見てもらった方が早いかと。2人とも出てきて。」

俺が声をかけるとディメンジョンルームからバラムとガルドがゆっくりと出てくる。

「なっ!?」
「ビッグサキュバススライムとオークジェネラルに進化しました。」
「上位種のビッグスライム……ジェネラル……。」

2人を見たベルグさんは目を見開いて絶句している。

「やっぱり問題になります?ちなみに2人の魔物としてのランクってどのへんですか?」
「ランク設定情報に沿えばビッグサキュバススライムもオークジェネラルはランクCだ。」

聞きなれないランク設定情報という言葉に俺は首を傾げる。

「ランク設定情報というのは?」
「お前、そんなことも知らずに冒険者をやってたのか……。」

ベルグさんは眉間を抑えながらため息をついてやれやれといった風に頭を左右に振る。

「正確には魔物ランク指定のためのネーム情報と言って名前に含まれている情報からランクを指定する方法だ。一部例外もあるが基本的に魔物にはランクの基準となる魔物とランクが指定されている。お前が連れている魔物の基準はランクEのスライム、ランクDのオーク、ランクCのグレイハウンドだ。魔物の種族名にこの情報が含まれていたら基準となる魔物のランクから指定の数だけランクが上下する。」
「ネーム情報ですか?」

合理的なような、名前がわからないと意味ないところがそうでもないような微妙なルールだ。
それでも俺なら初見でも鑑定で名前が分かるから相手のランクを確認するのに有効かもしれない。

「そうだ。種類は大まかに分けて特殊および属性、役職および格、サイズ、例外の4種類だ。」

ベルグさんが指を1本立てて順番に説明する。

「特殊というのは例えばスライムなら毒性を持つポイズンスライムのポイズン、金属の体を持つメタルスライムのメタルのメタルみたいなものだ。あと他の魔物や亜人種の種族名を含んでいるのも特殊に分類される。属性はそのまま地水火風光闇といった属性を持つ魔物だ。ダークハウンドはランク設定情報の闇属性の意味を持つダークを持ってるから基準のグレイハウンドのCから一つ上がってBランクだ。特殊と属性はそれぞれ一つにつきランクを一つ上げるように設定されている。たかが属性が追加されただけだと侮るなよ。属性を持てば属性に応じてステータスだけじゃなくステータス以外の能力も伸びやすくなるからな。わかりやすいのは火属性持ちはSTRが高いことが多いし、風属性持ちはAGIが高いことが多い。闇属性は風ほどではないがAGIが高くなりやすいことと隠密能力を持つことがある。」

2本目の指が立ち、次に移る。

「役職はそのままジェネラルとかキング、ロードってやつだな。これは役職によってランクを上げる数が変わる。」
「ガルドはオークナイトでしたけどナイトはランク設定情報はされてないんですか?。」
「あぁ、設定情報の役職は高位の役職だけでナイトは指定されてない。ほかに指定されてない役職だとメイジ、アーチャーだな。逆に指定された役職だとジェネラル、マジシャン、アサシン辺りは一つ。クイーン、キングが二つロードは三つって具合だな。格も似たようなもんだが唯一ランクを下げて評価するレッサーがある。レッサーが一つ下げ。ホブ、ハイは一つ上げ、グレーターが二つ上げ、アークが三つ上げだ。」

「最後にサイズはビッグが一つ上げ、ヒュージが二つ上げだ。色々あるから全部は上げられないがだいたいこんな感じだ。このランク設定情報は複数付けばすべてカウントすることになる。お前のスライムが特殊のサキュバス、サイズのビッグで2つ上がったようにな。」
「あれ?例外が抜けていますけど。」
「あぁ、例外はエルダーとエンシェントだ。これが付いた場合は決まった数だけランクを上げるんじゃなくて基準がなんだろうとエルダーはランクS、エンシェントはSSになる。」
「SS?Sが最高じゃないんですか?ギルドで登録した時にSが最高って聞きましたけど。」
「それは冒険者としてのランクだろ。魔物のランクは別にある。そんで魔物のランクの最高はSSだ。まぁ、SSなんてのは伝説上の存在で例えランクS冒険者が束になっても勝てないと言われるような存在だ。実質Sが最高と言っていい。あぁ、それとSSはエンシェントだけでそれ以外のランク設定情報が複数付いていても最高はSだ。」
「そうだったんですか。」

俺が納得してるとベルグさんがスッと箱から腰をあげた。

「さて、今度はこっちの質問に答えてもらうか?お前、いったい何をした?」

今後について悩んでいるとベルグさんがこちらを睨みつけて聞いてきた。

「はい?」
「お前の魔物は強力すぎだ。進化させたとはいえ個人でランクCとBの魔物を3体もテイムしてるなんて聞いたことがない。それに進化して能力が上がってテイマーの能力で抑えられなくなれば魔物側からテイムを破れるようになる。それなのにお前の従魔はそれをする様子もない。」
「そう言われても……。特に何もしてませんよ。」
「そんなわけないだろ。」

こちらを睨むベルグさんはさすがに何も明かさずに納得はしてくれそうにない。それでもすべてを明かすわけにもいかない俺は少しだけ事実を話してごまかす。

「ここだけの話にしてもらえますか?」
「内容によるな。違法な薬物や魔道具の類を使用しているなら見過ごすわけにはいかない。」

話す意思を見せると少しだけ雰囲気がマシになる。

「……俺は特に何もしてないですよ。ただ少し魔物から好かれやす体質なだけです。」
「魔物から好かれやすい?」
「普通、テイマーが魔物をテイムするときは魔物を倒して上下関係を示してからテイムするか。抵抗を捻じ伏せる強さでテイムを発動するかですよね。」
「そうだ。だからこそテイマーは自身より強い魔物を従えることはできないし不人気職なんだ。テイムできる魔物は自分より弱い魔物で戦闘を魔物に任せれば強くはなるが自分が成長せず、いずれ従魔に実力を抜かれてテイムを破られる。自分で魔物を倒して自分が強くなればテイムしてる魔物が成長しなくてお荷物になる。バランス良く強化すれば時間が掛かって他の冒険者の実力についていけない。それなら同じ位の強さの冒険者でパーティーを組んだ方がいい。だが、お前の従魔は明らかにお前より強いだろ。」
「そうですね。勝てそうなのは出会った当初のバラム位ですよ。」
「ならどうやって……。」
「言ったでしょう。魔物から好かれやす体質なだけですって。俺がこいつらに実力で上下関係を示したわけでも、抵抗を捻じ伏せてテイムしたわけでもなく、こいつらが俺に懐いてるからテイムを抵抗しないで受け入れてくれたんですよ。」
「魔物が無条件に人に懐くなんて、そんな馬鹿な。」

無条件ではないんですけど。と思うがわざわざそんなこと口にしない。

「(先ほどから何を話している?)」
「(ガルドもバラムも強くなったからな。ロアもいるし、なんでそんなに強力な魔物をテイムできるんだ?って)」
「(ふむ、我らが一緒にいるのがそんなに不思議か?)」
「(まぁ、普通は魔物に実力を示して従わせてテイムするものだからな。たいした実力もないのに皆みたいに強力な魔物を連れてたら変だろうな。違法な薬とか道具で実力を異常に底上げしてテイムしてるとか勘繰るのかもな。)」
「(確かに、力の無い者に従う魔物はいないだろうな。だがお主は我らの妻だ。一緒にいるのはおかしなことではなかろう?)」
「……黙り込んでどうした?」

ガルドと念話で話してたの不審に思われたみたいだ。

「ガルドが自分達がテイムされてるのがそんなにおかしいか?と聞いて来てたので。」
「そうか。」

ベルグさんに答えているとガルドがスッと俺の横に並び立った。ベルグさんがサッと斧の柄に手を伸ばす

「プギッブヒィ。プギィィブヒィ。(妻の力など関係ない。我らは妻を愛しているから一緒にいるのだ。)」

ガルドは俺の肩にてを回して引き寄せると強く肩を抱いて続けた。

「プッブギッブヒィ。プギブヒィ。フゴッ!(妻とは守るべき者だ。我らは妻を守るために力を得たのだ。どこに問題がある!)」
「……なんだ?」

言い終えたガルドは胸を張り、キリッと決め顔でフンッと鼻を鳴らすが、ベルグさんには伝わらない。

「(むっ、そうか伝わらんか。妻よ、訳してくれ。)」
「こんなこと言わせる気か!」
「そいつは何を言ったんだ?」
「うぅ~あぁ~その~。」
「なんだ?」
「……ち、力など関係ない。我らはこいつを気に入ったから一緒にいるし、守りたいから守るために力を得たのだ。どこに問題がある。って言ってます。」
「は?」
「(妻よ、要約しすぎではないか?)」

言葉にしても念話に出さないという器用なことができないのでそのままガルドに伝わる。

さすがに妻とか愛してるとか言えるか。こっぱずかしい。

「……くっ、くく……くふっ。だぁはっはっはっはっ!ひぃ~~。なに、こいつそんなこっぱずかしこと言ってたの。いや、今お前のこと凝視してたからかなり要約したんだろ。それでもそんだけこっぱずかしいとか。」
「(むぅ、何を言っているかはわからんがそれだけ笑っていれば馬鹿にされてるのはわかるぞ。)」
「おい、やめろ!」

ガルドが不穏な空気を出し、帯がちぎれて手に持っていた鞘から大剣を引き抜こうとするのを必死でとめる。

「あぁ~、悪い悪い。こいつ等がお前を気に入って従ってるのは良くわかった。違法なことをしてるわけじゃないなら別にいい。」
「ふぅ、わかってもらえたならいいです。」

ガルドもベルグさんが笑うのを止めたからか腕から力が抜ける。

「ただし、そいつらが暴れたりしたら抑えられなかったお前の責任になるからな。そこんところは忘れるなよ。」

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