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第3章 シュルトーリア

ファイアアント殲滅①

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ベルグさんに後ろから抱きしめられるようにしながらロアに乗って移動すること5分ほどでトリアス平原に着いた。

ロアを降りてディメンジョンルームからガルドを出すとロアとガルドの鼻で辺りを警戒しながらファナさんに確認した巣があるという場所を歩いて目指す。一応俺達が受けた依頼なのでベルグさんには戦闘には参加せずに後ろからついて来てもらうことにした。

15分ほど歩いたところでロアが近づいてくる魔物の臭いを嗅ぎ取った。

「(ご主人様、同じような臭いがこっちに集まってきますよ。)」
「(わかった。そろそろファイアアントの巣が近いはずだから警戒したファイアアントが寄ってきてるんだろ。とりあえず目視できる所まできたらガルドとバラムが攻撃だ。2人は一緒に巣の中に入ってもらうから今のうちに攻撃が通用するか確認しておいてくれ。3匹以上出てきたらロアも加わって素早く殲滅だ。)」
「(はーい!)」
「(わかった。)」
「(わかりました。)」

3人の返事を聞きながら俺は振り返ってベルグさんに状況を説明する。

「ベルグさん、魔物が近づいて来てるみたいです。ファイアアントの巣が近いのでファイアアントの斥候だと思います。従魔には目視できてから攻撃するように指示してあるので手を出さないようにお願いします。巣に入る前に攻撃が通用するか確認する目的もあるので。」
「わかった。従魔がどんな戦い方をするかじっくり見させてもらうぞ。」

俺達は警戒を強めて進むとすぐに大型犬ほどの大きさの真っ赤な蟻が5匹表れた。

「カカカカカカッ。」

ファイアアントが顎を鳴らしてこちらを威嚇している。

「(出たな。行くぞ!)」

ガルドの掛け声とともにガルドとロアは駆け出し、バラムからは小バラムが放出された。

ガルドとロアは持ち前の筋力と武器の重さ、体重を使ってアッサリとファイアアントの殻を砕いてそれぞれ2匹の頭を潰した。
バラムは殻を貫けないのか苦戦している。

「(うぅー。硬くて刺さらないよー。)」
「(バラム、頭と体は固いから首とか節になってる所を狙うんだ。狙いづらかったら足から攻撃して動けないようにするのもいいぞ。あとは酸弾も使ってみろ。)」
「(わかった。)」

俺がアドバイスすると小バラムの動きがぐっと良くなる。
小バラムが片側の足の節を針で集中攻撃をして少しずつ削っていきファイアントは体勢を崩した。
小バラム達は素早くファイアアントに登ると首と纏わりついて繋がり、首輪のようになった。

「キィーキィィーー。」

するとファイアアントは甲高い鳴き声を上げ、首からはジュワジュワと煙が上がっていく。

「キィィーー。」

ファイアアントは前足を使い、小バラムを剥がそうとするが体の構造のためか首に届いていない。そのまま頭を激しく振るが小バラムが離れる様子はなかった。
そのままファイアアントがもがき続け、少しして突然そのの首が落ちた。よく見ると首に纏わりついていた小バラムの内側から針が飛び出している。
どうやら殻を焼き切ってから内側に針を伸ばしたようだ。
殻をなくし、針で首をズタズタにされたせいで頭の重みで勝手に首が落ちのだろう。

「(3人ともよくやった。この調子なら巣に入っても大丈夫そうだな。)」
「(うむ、この程度の殻なら問題なかろう。)」
「(バラムも大丈夫!)」

3人に感触を確認して振り向くとベルグが口を半開きにしてあ然としていた。

「ベルグさん、どうしたんですか?」
「どうしたんですか、じゃない。その魔物はなんなんだ。」
「なんだっていわれても俺の従魔ですけど。」
「いやいや、そのオークとスライムの強さはおかしいだろ。なんだよ、そのオークの大剣術とそのスライムから出た小さいスライムは。」

俺の影響を受けて成長加速状態のバラムとガルドははたから見るとオークとスライムの枠に収まる状態ではないようだ。

とはいえ本当のことを言うわけにもいかないしな。

「とりあえずうちの従魔を改めて紹介しておきましょうか。」

俺はベルグさんに従魔を一人ずつ紹介していく。同時に念話で3人にも話していることを伝えておく。

「まず、俺の腕に取り付いてるのがサキュバススライムのバラムです。硬化スキルなんかを持ってるのでこうして手甲役をしてもらってます。さっきの小さいスライムは意識とか自我が目覚める前このバラムが眷属化して意識を共有というか支配してるので実質この子の体の延長として動かせてるんですよ。あと酸弾という酸を吐くスキルもあります。」

適当な木にバラムを向けて指示するとバラムは散弾で木の幹に風穴を開けた。ベルグさんはぽかんとした顔で
その穴を見ている。

「こっちのオークはオークナイトのガルドです。剣術スキルを持ってるんですけどテイムした時は冒険者から奪ったのか体格に合わないショートソードを使ってたので街でガルド自身に剣を選ばせて使わせてます。鍛錬とか戦うことが趣味みたいな感じで自由にさせるとよく素振りをしてるのでスキルレベルは中々のもんですよ。」

ガルドは俺が何も言わなくても力を見せつけるように大剣を振るい、木をなぎ倒していく。

「ダークハウンドのロアは素早さが持ち味で一瞬で間合いを詰めての巨体で相手を潰したり、爪で薙ぎ払ったりといった感じの戦い方ですね。あとは咆哮で衝撃はを出したり怯ませることもできますよ。」
「ただのオークとスライムじゃなかったのか?」
「オークナイトとサキュバススライムですよ?」
「ギルドカードの記載はオークとスライムだったろ。」
「そうですね。でも登録の時にちゃんと言いまし……あれ?言ってなかったかな?」
「おいおい……。」

思い返してみれば登録の時にスライム、オークと言っていたかもしれない。

「あ~……まぁ。スライム種、オーク種ですし……。」
「……それで済むと思ってるのか?」
「済まないですよね。すみません。」
「ったく。戻ったら登録情報の修正とペナルティだからな。」
「はい。」

Bランクの推薦状が欲しかったんだが印象が悪くなってしまったかもしれない。幸先悪いスタートに思わずため息がこぼれた。
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