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第2章 成長

高ランクが混ざってた

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「解体をお願いしたいんですけど。」

街に戻ってきた俺達はまっすぐギルドの買い取りカウンターに向かった。

「おう、あんたか。モノはまた収納の中か?」

まだ、早い時間のためかカウンターではいつものおっちゃんが暇そうにしていた。

「えぇ。オークなんですけど今日はちょっと数が多くて。」
「そうか。とりあえずいつも通り裏で出してくれ。」

そう言われていつも通り裏の解体場に来ると空いてるスペースを確認して改修してきたオークを積み上げていく。

そうして取り出したオークが30を超えたところでストップがかかる。

「ちょっと待て!どんだけあるんだ!こんなに溜まる前に小まめに解体依頼に来い!」
「えっ?これは今日狩ってきた分だけですよ。この山と同じだけまだありますけど。」
「今日だけでこんなにか?どこにいたんだ?」
「森に入ってしばらく行ったところに集落があったので潰してきましたけど。」

俺が伝えるとおっちゃんは目を見開いて慌てた。

「オークの集落だと!見つけたらギルドに報告して人を集めてから対処する案件だぞ!」
「ですよね……。俺も最初は報告に戻ろうと思ったんですけどうちの従魔が張り切って突撃しちゃって。」
「おいおい。……とりあえず、今日引き受けられるのはここまでだ。夕方の鐘が鳴る頃にまた来い。また、肉だけ戻して残りは買取でいいんだよな?」
「はい、それでお願いします。」
「残りはまた明日の朝持ってこい。それと解体待ってる間に総合カウンターで集落を潰してきたことを報告して調査員を派遣してもらえ。認められれば集落討伐報酬が出る。」
「わかりました。ありがとうございます。」

俺は解体待ちの札を貰って、総合カウンターに向かうと解体場で話したことを同じように話した。

「オークの集落を潰してきた、ですか!?」
「そうです。それで、解体場のおっちゃんがここで話して調査員を派遣してもらえと教えてくれました。」
「……嘘ではないんですね?」
「そんな嘘つきませんよ。」

俺はその場で簡易地図を見せてもらい、おおよその位置と周辺の特徴を話すと調査員を派遣してもらえることになった。その後は街をぶらついたあと解体肉と買取報酬をもらって宿に戻った。

 翌日、朝からギルドに残りのオークの解体依頼に来ていた。

「おう、来たな。それじゃあ裏に残りを出していけ。」
「わかりました。」

俺はおっちゃんと解体場に向かうと昨日と同じ場所にオークを積み上げられていく。

「これで全部か?」
「えっと……あれ?」
「どうした?」

収納から落ちてくるオークが止まったので終わりかと思い、収納に意識を向けると最後に一匹大きなオークが開けた穴を抜けられずに引っ掛かっているのを感じた。

「いえ、なんか妙に大きなオークが入ってたみたいで。」
「なんだ確認しながらしまったんじゃないのか?」
「いえ、従魔に一ヵ所に積み上げさせてからまとめてしまったので確認してないですね。」

さらに意識を向けると並みのオークの2、3倍位あるのがわかる。

「個体差じゃ済まない位デカいんですけど直接作業台に出していいですか?」
「そんなにデカいのか?それならそうしてくれ。」
「それじゃあこっちに出します。」

俺が作業台の上に大きな穴をあけると鎧に兜を着けたオークが降ってきた。

「なっ!こ、こいつは、まさかオークキングか!こんなのどうやって倒した!」

 おっちゃんがあまりに騒ぐので死体を確認すると鎧が爪で大きく切り裂いたように壊れている。

オークキング
オークの上位種でありランクBモンスター
統率力と配下のオークの能力を引き上げるスキルを持つ。

「戦闘は従魔に任せていたのでわかりませんね。ただ、鎧が爪で引き裂かれているみたいなんでうちのダークハウンドがやったんじゃないかと。」
「そうか。そういえばダークハウンドがいたか。それならまぁ納得できるか?」

これはギルドマスターの所に連行されるパターンかな?
面倒なので解体をお願いしてさっさと出ていこう

「じゃあ解体をお願いします。このオークキングは魔石も戻してください。」
「待て待て!どこ行くつもりだ!」

おっちゃんは解体場を出ていこうとする俺の方をガッチリつかんで引き留めてきた。

「面倒なことになる前に解体の依頼だけしてギルドを出ようかと。」
「……受け取りに来た時に何倍も面倒になってもいいなら今すぐ出てってもいいぞ。それが嫌ならおとなしくついてこい。ギルマスの所に行くぞ。」
「はい……。ついていきます。」

解体場を出るとおっちゃんに連れられ、カウンター奥の階段を上がり2階へ向かう。
ドカドカと足音を立てて進むおっちゃんに続き、奥の扉まで来るとおっちゃんは豪快に扉を叩いて返事を待たずに中に入っていった。

「ギルマス、今ちょっといいか?」
「ハンクスか。返事をする前に開けるなといつも言っているだろ。」

俺は部屋には入らず、扉の外からおっちゃん越しに部屋の奥を見ると白髪の老人だが肩幅が広く、よく鍛えてるのであろう男性がテーブルに向かって書類と格闘していた。

「ちょっと問題がおきた。」
「なに?……おい、なんだそいつは。そいつが問題の元凶か?」

ギルマスが顔を上げてこちらに気が付くと眉をひそめてこちらを睨みつける。

「問題に関係してはいるがこいつは特に悪くないな。とりあえず入るぞ。ほら、お前も入れ。」
「えっと……ギルドマスター、入っても構いませんか?」
「はぁ、ハンクスが連れてきてしまったのなら仕方がない。いいぞ、入れ。」
「失礼します。」

部屋に入るとギルマスにすすめられてソファーにおっちゃん、ハンクスさんと並んで座る。

「Eランク冒険者のタカシです。よろしくお願いします。」
「ここのギルドマスターをしているゴードンだ。Eランクのタカシというとダークハウンドをテイムして、昨日はオークの集落を潰してきたタカシだな。」
「話があるのはそのオーク集落の件だ。」
「なに?まさか、報告がウソだったのか?」

ゴードンさんの鋭い目つきをこちらを睨みつける。

「逆だ。まだ、調査員が戻ってきてないが集落があってそれを潰してきたのがほぼ確定した。それも思った以上にヤバイ集落だった。」
「どういうことだ。」
「さっき昨日捌き切れなかったオークをこいつが持ち込んだんだがその中にオークキングがあった。」
「なんだと!オークキングが出たなんて報告は受けていないぞ!」
「俺も今朝聞いたんだよ。オークキングはどうやらこいつのダークハウンドが倒したみたいだ。これは俺も死体を確認したからほぼ間違いない。こいつは戦闘を従魔に任せて倒したところを確認していないらしい。殲滅後は死体を一か所に集めさせてまとめて異空間収納に詰めて持ってきたんだと。」

2人の雰囲気が剣呑になっていく。

「あの、俺、なんか不味いことしました?」
「……いや、オークキングの報告がなかったことは困るが討伐済みの報告だし問題はない。オーク集落討伐の報酬にオークキングの件を加算しておこう。」
「ありがとうございます。」
「それと君のランクBへの昇格の推薦状を書いておこう。ランクBの魔物を討伐できる実力があるならランクCまでというわけにはいかない。」

ギルドマスターの言葉におれはひとつ疑問を持つ。ランクBを討伐できる実力から推薦状がもらえるのならランクBのダークハウンドをテイムしてきた時点で同じランクBなら討伐可能だと判断で来たんじゃないか?そのことをギルドマスターに伝えた。

「それはランクBのダークハウンドをテイムしたと言っても個体の強さはピンキリだからな。とはいえ確かに近々推薦状を渡すつもりではいた。テイムできても活かせなければ意味がないからな。しばらく様子を見るつもりだった。」
「それでオークキングを含む集落を壊滅させてきたのが評価されたということですか。」
「そういうことだ。ランクBへの昇格は3つのギルド支部で推薦状をもらい、王都にあるギルド本部で昇格試験に合格する必要がある。推薦状の発行の評価基準は各支部に任されている。うちはランクBの魔物をテイムし、同じくランクBの魔物を討伐できる実力を評価するよ。」
「ありがとうございます。」

その後、今日の夕方には盗賊討伐の調査もオーク集落討伐の調査も戻ってくるので夕方また顔を出すということで俺とハンクスさんはそこで報告を終えて執務室を後にした。
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