上 下
36 / 108
第2章 成長

腐女神再び

しおりを挟む
「(そうだよ。みんなバラムだもん。)」
「(どういうことだ?)」
「(みんなバラムってことだよ?)」

色々と幼い感じがするバラムの説明ではいまいち理解できず首を傾げるしかなかった。

「(良くわからないな。一匹?一人?出してくれるか。)」
「(いいよ。)」

バラムが触手を1本俺の前に伸ばすので、手を差し出すと触手の先が切り離され、先ほどと同じ小さな白いスライムが掌に乗せられた。

俺はそのスライムに鑑定をかける。

名前 :無し
種族 :サキュバススライム(Lv1)
状態 :眷属
HP :1000
MP :300
STR :55
VIT :130
DEX :80
INT :50
MEN :45
AGL :30
スキル :
吸精(Lv1) 消化(Lv1) 媚薬生成(Lv1) 
眷属スキル :
酸弾(Lv2) 潜り込み(Lv1)  媚薬生成(Lv2)  形状変化(Lv1)  性感帯検知(Lv1)  硬化(Lv1)  物理攻撃耐性(Lv1)  吸引(Lv1)
備考 :バラムの眷属
産まれたばかりの為自我が存在しない。
また、眷属化の影響で意識及びあらゆる感覚をバラムと共有しているため自我が育たない。
その為バラムのからだの一部のように動く。
眷属化の影響でバラムが持つスキルの一部を劣化した状態で使用可能

「(なるほど。自我がなくて意識を含めてで色々と共有してるからみんなバラムってことか。それなら盗賊も倒したしバラムのステータスも変化があるはずだが……。)」

俺は掌のスライムをバラムに戻して鑑定を発動する。

名前 :バラム
種族 :サキュバススライム(Lv15)
状態 :合体(+30)
HP :2400(+1000)
MP :1100(+300)
STR :150(+80)
VIT:240(+100)
DEX :160(+100)
INT :110(+50)
MEN :80(+30)
AGL :70(+20)
スキル :
酸弾(Lv4)  吸精(Lv4)  産卵(Lv2)  消化(Lv4)  潜り込み(Lv3)  媚薬生成(Lv4)  形状変化(Lv4)  性感帯検知(Lv3)  硬化(Lv3)  物理攻撃耐性(Lv3)  吸引(Lv2) 眷属化(Lv1) 合体(Lv1) 分離(Lv1)
備考 :タカシの従魔 

眷属化
自身と関係深い者を眷属にして使役できる。
対象の耐性が高かったり、拒否されると失敗する。
眷属化した個体とは経験値と一部スキルが劣化した状態で共有される。

合体
互いに合意があった場合に同種のスライムを取り込むことができる。
取り込んだ個体のステータスにより自身のステータスに補正がかかる
補正率はスキルレベル依存

分離
合体により取り込んだ個体を切り離すことができる。

「ずいぶん上がったな。……いや、さすがにこの成長速度は異常じゃないか?スキルレベルも一部は最大になりそうだし。」

アロディーテに確認したいがどうしたもんか。流行りの転生ものなんかは教会で祈れば神様に会えたりするけど。

「……明日にでも試してみるか。」

明日は教会に行ってみる事に決めて、俺はそのまま毛布だけ被って眠りについた。




翌朝、俺は街の教会に来ていた。バラム達はディメンジョンルームで待機させてある。
入って直ぐにシスターが出てきたのでお布施を渡して、お祈りをするところに案内してもらった。

案内された所は円形のホールにで長椅子がいくつも設置され、壁一面に色々な神像が飾られていた。

こちらのお祈りの作法を知らなかったのでついでに教えてもらう。

「決まった作法はありません。大切なのは心から感謝の念を込めて祈ることです。」
「わかりました。ありがとうございます。」
「ごゆっくり。」

シスターはそう言うと元の道を戻って行った。

俺は近くの椅子に座って目を閉じると胸の前で手を組んで祈りを捧げた。

「(アロディーテ、覗いてるだろうから知ってると思うけどこちらは楽しくやっていけてるぞ。聞きたいことがあるんだが教えてくれるか?)」
「やっと来てくれたわね。」
「ん?」

突然掛けられた声に顔を上げると目の前にはアロディーテが立っていた。辺りを見渡すとそこは転生前にアロディーテと会った空間と同じような場所だった。

「まさか、本当に会えるとは。」

俺は立ち上がってアロディーテに一歩近付く。

「会えるかどうかは別にして、お祈りとか到着の報告とかもっと早く来てくれてもいいと思うのだけれど。」
「うっ!それはすまん。一応確認だけど俺は死んだとかじゃなくて意識だけここに来てるって感じでいいんだよな?」
「そうよ。ここにいる間は現実の時間は流れないからそっちも安心して。」
「わかった。ありがとう。」
「それじゃあお茶でも飲みながら話しましょうか。」

アロディーテはそう言うと以前と同じようにテーブルと椅子にティーセットを取り出して紅茶を淹れてくれた 。

俺は席に着くと紅茶に一口味わう。

「それにしても、タカシくん本当に良いわよ。期待通り。」
「やっぱり毎回覗いてるのか?」
「当たり前じゃない。そういう契約なんだから。録画もしてるわよ。これ見て、自信作。」

アロディーテがテーブルに手をかざすと市販のDVDのようにパッケージングされたケースが並べられた。中には従魔とのだけでなく、以前ゴブリンに輪姦された時のも混ざっている。

「どのシーンを切り取るか悩んだのよ。どう?いいできでしょ!昨日のスライム産卵も編集中よ。」
「録画はいいけど、なんでこんなパッケージングまでしてんだよ。」
「えっ?あっ……。」

アロディーテからサーっと血の気が引いて顔を青くさせる。

「まさかとは思うけど、これを売ったり配ったりしてないよな?」
「……………………。」

アロディーテはなにも言わず視線だけがあちこちさまよっている。

「おい。」
「あ、あはははぁ……。」
「……………。」
「……ごめんなさい。」

ジト目で見てやるとすぐに折れた。

「覗くだけじゃなかったのか?」
「それが、その~、ね。あなたを転生させてすぐ完了報告を地球側にしたあと地球側と打ち上げをしたんだけど。」
「俺の生活が安定してないのにすぐ打ち上げかよ。」
「酔って女神仲間にあなたとの契約の事をポロっと溢しちゃて。」

今の状況が相当まずいのがアロディーテはダラダラと滝のように汗を流しながら言葉を繋いでいく。

「そしたら『なにそれ、ズルい!』ってなって。」
「それで、そこまでなら覗くことしか契約にないからって言えばいいだろう。」
「同志は裏切れないというか、いい顔したかったというか。……『撮影してまわしてあげる』って言っちゃった。」
「契約に撮影とか公開のことなんか含まれてなかったと思うけど?」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生したので異世界でショタコンライフを堪能します

のりたまご飯
BL
30歳ショタコンだった俺は、駅のホームで気を失い、そのまま電車に撥ねられあっけなく死んだ。 けど、目が覚めるとそこは知らない天井...、どこかで見たことのある転生系アニメのようなシチュエーション。 どうやら俺は転生してしまったようだ。 元の世界で極度のショタコンだった俺は、ショタとして異世界で新たな人生を歩む!!! ショタ最高!ショタは世界を救う!!! ショタコンによるショタコンのためのBLコメディ小説であーる!!!

嫌われ者だった俺が転生したら愛されまくったんですが

夏向りん
BL
小さな頃から目つきも悪く無愛想だった篤樹(あつき)は事故に遭って転生した途端美形王子様のレンに溺愛される!

強制結婚させられた相手がすきすぎる

よる
BL
※妊娠表現、性行為の描写を含みます。

主人公の兄になったなんて知らない

さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を レインは知らない自分が神に愛されている事を 表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346

王道BL学園~モブに転生したボクは見ていたい!巻き込まれたくないのに!~

星崎 杏
BL
腐女子の私が死んで気がついたら、お気に入りのゲームのモブに転生した!? ボクは見ていたいだけなのに、巻き込まれるのはノーサンキューです! 念のため、R15にしています。過激なシーンは少なめにしたいです。

ヒロイン不在の異世界ハーレム

藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。 神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。 飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。 ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?

その男、有能につき……

大和撫子
BL
 俺はその日最高に落ち込んでいた。このまま死んで異世界に転生。チート能力を手に入れて最高にリア充な人生を……なんてことが現実に起こる筈もなく。奇しくもその日は俺の二十歳の誕生日だった。初めて飲む酒はヤケ酒で。簡単に酒に呑まれちまった俺はフラフラと渋谷の繁華街を彷徨い歩いた。ふと気づいたら、全く知らない路地(?)に立っていたんだ。そうだな、辺りの建物や雰囲気でいったら……ビクトリア調時代風? て、まさかなぁ。俺、さっきいつもの道を歩いていた筈だよな? どこだよ、ここ。酔いつぶれて寝ちまったのか? 「君、どうかしたのかい?」  その時、背後にフルートみたいに澄んだ柔らかい声が響いた。突然、そう話しかけてくる声に振り向いた。そこにいたのは……。  黄金の髪、真珠の肌、ピンクサファイアの唇、そして光の加減によって深紅からロイヤルブルーに変化する瞳を持った、まるで全身が宝石で出来ているような超絶美形男子だった。えーと、確か電気の光と太陽光で色が変わって見える宝石、あったような……。後で聞いたら、そんな風に光によって赤から青に変化する宝石は『ベキリーブルーガーネット』と言うらしい。何でも、翠から赤に変化するアレキサンドライトよりも非常に希少な代物だそうだ。  彼は|Radius《ラディウス》~ラテン語で「光源」の意味を持つ、|Eternal《エターナル》王家の次男らしい。何だか分からない内に彼に気に入られた俺は、エターナル王家第二王子の専属侍従として仕える事になっちまったんだ! しかもゆくゆくは執事になって欲しいんだとか。  だけど彼は第二王子。専属についている秘書を始め護衛役や美容師、マッサージ師などなど。数多く王子と密に接する男たちは沢山いる。そんな訳で、まずは見習いから、と彼らの指導のもと、仕事を覚えていく訳だけど……。皆、王子の寵愛を独占しようと日々蹴落としあって熾烈な争いは日常茶飯事だった。そんな中、得体の知れない俺が王子直々で専属侍従にする、なんていうもんだから、そいつらから様々な嫌がらせを受けたりするようになっちまって。それは日増しにエスカレートしていく。  大丈夫か? こんな「ムササビの五能」な俺……果たしてこのまま皇子の寵愛を受け続ける事が出来るんだろうか?  更には、第一王子も登場。まるで第二王子に対抗するかのように俺を引き抜こうとしてみたり、波乱の予感しかしない。どうなる? 俺?!

異世界転生で僕に生きる意味をくれたのは殺し屋でした

荷居人(にいと)
BL
病気で何もできずに死んでしまった僕。最後まで家族に迷惑をかけ、疎まれ、ただ寝てぼーっとする日々に、何のために生きてきたのかわからない。 生まれ変わるなら健康な体で色んなことをしたい、こんな自分を愛してくれる人と出会いたいと願いながら僕は、15歳という若さで他界した。 そんな僕が次に目を覚ませば何故か赤ちゃんに。死んだはずじゃ?ここはどこ?僕、生まれ変わってる? そう気づいた頃には、何やら水晶が手に当てられて、転生先の新たな親と思われた人たちに自分の子ではないとされ、捨てられていた。生まれ変わっても僕は家族に恵まれないようだ。 このまま、餓死して、いや、寒いから凍えて赤ん坊のまま死ぬのかなと思った矢先に、一人のこの世のものとは思えない長髪で青く輝く髪と金色に光る冷たい瞳を持つ美青年が僕の前に現れる。 「赤子で捨てられるとは、お前も職業に恵まれなかったものか」 そう言って美青年は、赤ん坊で動けぬ僕にナイフを振り下ろした。 人に疎まれ同士、次第に依存し合う二人。歪んだ愛の先あるものとは。 亀更新です。

処理中です...