魔物好きゲイテイマーの異世界転生記

第2章 成長

倉庫

その後の討伐は気絶している奴の止めも含めてあっという間に終わった。
討伐が終わり、部屋の中央に集まって話を聞くとガルドが盗賊の頭らしき男を討伐していた。

「(あやつら頭と幹部の癖に部下を置いて逃げ出そうとしておった。強者として群れのトップに立つ者の風上にも置けん。)」
「(まあまあ、所詮盗賊なんだ。)」

俺達は部屋の奥に向かうとガルドが倒した頭と思われる者を確認する。

「(確かに、いい装備出しこいつが頭で間違いないだろ。こいつだけもらって行くか。)」

頭が使っていたと言う両手斧を手に取って収納にしまった。

他の武器や防具は雑魚盗賊の物も含めて溶けたり潰れたりで使い物になるものは残っていなかった。

「(あとはこの奥か。おそらく脱出通路のほかに倉庫にもなってるはずだ。)」

俺は今いる部屋を見渡し、盗賊が奪った物が置かれていないことを確認するとロアをディメンジョンルームに戻して通路を奥に進んだ。

少し進むとロランドさん達がいた部屋と同じくらいの広さの部屋に出た。

正面の奥にはさらに奥へ続く道が、両脇には木箱が積まれている。

「(ここが倉庫か。奥の道がそのまま出口に続いてるのか？)」

ガルドが奥の通路に近づき臭いを嗅ぐと直ぐに戻ってきた。

「新鮮な空気が流れてきている。あの先が出口で間違いないだろう。それとあの先には2人程人間がいるな。)」
「(じゃあこの先の出口を見てきてくれるか？多分出口にも見張りを立ててるんだと思う。盗賊だったら倒してきてくるれ。もし盗賊じゃなかったらそのまま戻ってきてくれ。俺はこの戦利品を収納にしまっておくから。)」
「(任せよ。)」

ガルドは一度頷くと奥の通路に入っていった。
俺はそれを見届けて倉庫に置かれたもの確認を始めた。

箱の中には酒や麦等の食料、剣や盾等の装備品、何かしらの鉱石と色々な物が入っていた。俺は木箱の中身を確認しては収納に落とすを繰り返す。

「ふぅ、次で最後だ。」
「(戻ったぞ 。 )」
「(おう、おかえり。どうだった？)」
「(盗賊の見張りだったから始末してきた。)」
「(そうか、ありがとう。こっちはこの箱で最後だ。)」

俺は木箱の上蓋をずらす。すると、蓋の隙間から青白い光が漏れ出した。

「(なんだ？)」

俺はそのまま上蓋を完全に外して中身を確認した 。中には青白い光をうっすらと放つ、半透明の鉱石が詰まっていた。

「これは……。鑑定。」

ミスリル
魔力伝導効率、魔力増幅効果に優れ、非常に硬いため武器、魔法発動補助媒体どちらとしてもとして優れた適正がある。

「やっぱりミスリルか！」

ミスリルと言えばファンタジー金属の定番だ。先ほどの盗賊の話からミスリルがあるだろとは思っていた。

木箱は縦50、横80、高さは50cm程だ。この一箱からどのくらいのミスリルが取れるかわからないがミスリルの剣位できるだろうか。

「(貴重な鉱石だったのか？)」
「(あぁ！武器と魔法を一度に強化できるぞ！)」

俺はミスリルで作る剣に想いを馳せながらミスリルが詰まった箱に蓋を被せると収納に落とした。

「(よし。それじゃあ、さっきの部屋に戻って死体を処理したらロランドさんを迎えに言って帰るぞ。)」




俺達は盗賊を倒した部屋に戻ると部屋の中央に死体をまとめるとロランドさんを迎えに向かった。

「ロランドさん、お待たせしました。盗賊の討伐は終わりましたよ。」
「それはよかった。ようやく安心できます。」
「それでは洞窟を出ましょう。皆さんが洞窟から出たら盗賊の死体に火をつけて処理しますので。」
「わかりました。行きましょう。」

ロランドさんがそう言うと壁にもたれていた奥さんと子供も立ち上がった。俺達は揃って洞窟を出ると周囲の安全を確認して、俺だけ洞窟に戻って盗賊の死体に日をつけた。

火はあっという間に盗賊の服に燃え広がり、死体を飲み込んでいった。

俺はそれを確認して洞窟を出た。

「お待たせしました。ではウェルズに向かいましょう。」
「よろしくお願いします。」

ロランドさん一家が揃って頭を下げてくれる。

「では、私は従魔に乗って移動するので皆さんはディメンジョンルームに入ってください。」
「わかりました。ありがとうございます。」
「それじゃちょっと大型の魔物を出しますけど騒がないでくださいね。」

俺はロランドさん達が頷くのを確認してディメンジョンを開いた。

中では入り口を開けたのに気が付いたロアが尻尾を振っている。


「(ご主人様、もう終わったんですか？)」
「(あぁ。町に帰るんだがこれから走れるか？)」
「(任せてください！お昼寝もしましたから、夜通し走っても大丈夫ですよ。)」
「(そうか。じゃあ悪いが頼むな。他に人がいるからゆっくり出てきてくれ。)」
「(はい！)」

ロアは立ち上がり、ゆっくりとした足取りでディメンジョンルームから出てきた。

「あ、あの、すみません。この魔物はいったい……。」
「ダークハウンドという魔物です。皆さんを襲うことはありませんから安全してください。」
「ダ、ダークハウンド！ランクBの！」
「えぇ。それよりこちらのディメンジョンルームにどうぞ。」

俺はロアがディメンジョンルームから出て少し離れた事を確認してロランドさんたちを中に通した。

「ありがとうございます。」

ロランドさんたちはチラチラとロアの方を気にしながらディメンジョンルームに入っていく。

俺は後に続いて入ると異空間収納から寝袋と毛布を取り出した。

「こんなものしかないですけど横になって休んでてください。ウェルズに着いたら起こしますから。」
「なにからなにまですみません。」
「いえいえ。それでは閉めますね。」

俺はディメンジョンルームを出ると入り口を閉じた。

「(ロア、頼むぞ。)」
「(はい！)」

俺は来たときと同じように 俺が前、ガルドが後ろでロアに跨がった。

「(それじゃあ、行きますよ。しっかり掴まっててくださいね。)」

ロアは少しずつスピードを上げて森を駆け抜けていった。