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3円のパンティ

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 壮絶な一夜を終え、その翌日には奇想天外な異世界人の話を聞いたにも係わらず、私はキッチンに立って二人分の御飯を作っている。

「これはどんな仕組みなのだ?」

 底浅のフライパンをガス台に置き、ごく普通に火を点けただけなのに、全裸の男は背後から覗き見てきた。
 
 適当に座って待っていてくれと促すも、好奇心の方が勝る異世界人は、さんくちコンロの内の使用されていないスイッチへと指を掛ける。

 チッチッチ…と音が鳴ると「旧式の引火装置の音に似ているな。」ふむふむと一人納得した様子で首を振っていた。

 フライパンに油を敷き、冷蔵庫の野菜室からパック詰めされたカット野菜とスーパーの豚バラ肉をそのまま投入する。調味料の棚から塩コショウを取り、振りかけてアクセントにニンニクチューブを少々。

 電子レンジで加熱済みの中華麺を取り出し包装を剥ぐと、その野菜炒めの上にドーンっ!!

「このひょろりとした黄色い糸は食べれるのか?」

「食べ物じゃなかったらここに入れてないわよ。それより、その恰好で立たれると気になって仕方がないんだけど。」

「だから隠しているだろう?それに、私が着れる服など無いと、申していたではないか。」

 確かに…料理を始める前に、改めて着るものが無いかとアルに尋ねられたが、この家には女物の洋服しか置いていない。

 もう少し早かったら、別れた元カレの服が残っていたけれど…あのクソ野郎の私物は既に焼却炉の中であろう。

 流石にイケメンが全裸で、鍋蓋片手にア〇ラ100%みたいにしていたら気が散る。どうしたものか…。この際だから私の下着を…とも考えたが、サイズが絶対に合わない。

 それに、いつまでも鍋蓋を取られた儘では、生活に支障が出る…。の前に、おチン様を擦り付けられた蓋を平気な顔して使えるのか?

 使用する度に思い出しそうで、それはそれで嫌だな…。

 何か良いものは無いだろうかと考えながら、完成させた透子特製焼きそば。それを皿に盛りつけて、ダイニングテーブルに並べた。

「アル、水とお茶どっちがいい?それともまだ昼だけどアルコールも有るから飲む?」
 
 冷蔵庫を開けながら私は煮出しの麦茶を取り出すと、コップに注いで口をつけた。

「酒か…付き合いか催し以外は飲んでいなかったしな…。」

「あら、それならこの世界のビール…いや、異世界だとエールって言うのかしら。せっかくだし飲んでみる?」

「うむ…それなら頂こう。」

 地エール・・・に興味を惹かれたみたいだ。きんきんに冷えた銀のアレ。庶民が挙って美味いと絶賛する喉越し最高なビール。その缶を取ってアルへと差し出すが、片手が塞がっているアルは、どうしていいのか分からない様子だ。

「銀の爪みたいなのを起こすと封が開くのよ…って、開けられないのか。とりあえず椅子に座って?」

「わ…分かった。」

 私に背を向け席に腰かけたアルは、缶ビールをテーブルに置きがてらに、おチンガードから手を離した。

 絶妙なバランスで太もも上に添えられた鍋蓋。少し前のめりになるムキムキボディは、興味深そうに缶を握り締めている。

「今お手本見せるから。」

 そう言いながら自分も一本手に取ると、彼の目の前に座った。 

 昼間から飲むビール。そして炭水化物との組み合わせ…なんと罪深い。

 プシュッと音を立て弾けた泡。「おお!!」彼が驚くのを見るに、プルタニア王国には無い物で間違いみたいだ。

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