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3円のパンティ
⑵
しおりを挟む壮絶な一夜を終え、その翌日には奇想天外な異世界人の話を聞いたにも係わらず、私はキッチンに立って二人分の御飯を作っている。
「これはどんな仕組みなのだ?」
底浅のフライパンをガス台に置き、ごく普通に火を点けただけなのに、全裸の男は背後から覗き見てきた。
適当に座って待っていてくれと促すも、好奇心の方が勝る異世界人は、さんくちコンロの内の使用されていないスイッチへと指を掛ける。
チッチッチ…と音が鳴ると「旧式の引火装置の音に似ているな。」ふむふむと一人納得した様子で首を振っていた。
フライパンに油を敷き、冷蔵庫の野菜室からパック詰めされたカット野菜とスーパーの豚バラ肉をそのまま投入する。調味料の棚から塩コショウを取り、振りかけてアクセントにニンニクチューブを少々。
電子レンジで加熱済みの中華麺を取り出し包装を剥ぐと、その野菜炒めの上にドーンっ!!
「このひょろりとした黄色い糸は食べれるのか?」
「食べ物じゃなかったらここに入れてないわよ。それより、その恰好で立たれると気になって仕方がないんだけど。」
「だから隠しているだろう?それに、私が着れる服など無いと、申していたではないか。」
確かに…料理を始める前に、改めて着るものが無いかとアルに尋ねられたが、この家には女物の洋服しか置いていない。
もう少し早かったら、別れた元カレの服が残っていたけれど…あのクソ野郎の私物は既に焼却炉の中であろう。
流石にイケメンが全裸で、鍋蓋片手にア〇ラ100%みたいにしていたら気が散る。どうしたものか…。この際だから私の下着を…とも考えたが、サイズが絶対に合わない。
それに、いつまでも鍋蓋を取られた儘では、生活に支障が出る…。の前に、おチン様を擦り付けられた蓋を平気な顔して使えるのか?
使用する度に思い出しそうで、それはそれで嫌だな…。
何か良いものは無いだろうかと考えながら、完成させた透子特製焼きそば。それを皿に盛りつけて、ダイニングテーブルに並べた。
「アル、水とお茶どっちがいい?それともまだ昼だけどアルコールも有るから飲む?」
冷蔵庫を開けながら私は煮出しの麦茶を取り出すと、コップに注いで口をつけた。
「酒か…付き合いか催し以外は飲んでいなかったしな…。」
「あら、それならこの世界のビール…いや、異世界だとエールって言うのかしら。せっかくだし飲んでみる?」
「うむ…それなら頂こう。」
地エールに興味を惹かれたみたいだ。きんきんに冷えた銀のアレ。庶民が挙って美味いと絶賛する喉越し最高なビール。その缶を取ってアルへと差し出すが、片手が塞がっているアルは、どうしていいのか分からない様子だ。
「銀の爪みたいなのを起こすと封が開くのよ…って、開けられないのか。とりあえず椅子に座って?」
「わ…分かった。」
私に背を向け席に腰かけたアルは、缶ビールをテーブルに置きがてらに、おチンガードから手を離した。
絶妙なバランスで太もも上に添えられた鍋蓋。少し前のめりになるムキムキボディは、興味深そうに缶を握り締めている。
「今お手本見せるから。」
そう言いながら自分も一本手に取ると、彼の目の前に座った。
昼間から飲むビール。そして炭水化物との組み合わせ…なんと罪深い。
プシュッと音を立て弾けた泡。「おお!!」彼が驚くのを見るに、プルタニア王国には無い物で間違いみたいだ。
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