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大国プルタニア

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 リバウンドとは、魔術師の魔力量と実力に対して、それを上回った術を展開又は巻き込まれる際に、引き起こる魔法の暴走である。

 技術者の力量に対して、二割増しまでが命の限度とされ、安易に使い過ぎると、能力向上を見込む間もなく、その術者は他界してしまうとさえ言われている。

 プルタニア王国では法律上、定期的な魔力測定を義務化しており、各々が自分の限界を知る良い機会となっていた。

 魔力数値が高い者はそれなりの職種に就き、日々鍛錬に励む。魔力は無くとも体力や腕っ節に自慢の有るものは、自ずと騎士や憲兵に志願する者が多々。魔力を民を護る為に行使したい魔導士も騎士団に就職していた。

 そうやって培われた強力な体制が、この国を護り続けてきたが…此度多発する誘拐事件は、とても厄介な事案となっていた。

 何せ国土が広すぎて、増援で出陣するも、到着した頃には間に合わなかったと報告を受ける。

 この問題をどうしたものかと王宮魔導士等と話し合った結果、新たなる魔法を生み出す事となった。

 例の転移魔法とやらが完成すれば、国内のありとあらゆる土地に魔法陣を設置し、この王級から一瞬にして部隊が転送可能となる。

 それが叶えば、この問題も早急に解決するというものだ…。


「それでは三日後、我がやろうではないか。」

「かしこまりました。準備を急がせます。」

「ああ、過労し過ぎぬ程度に進めろ。」


 我が父が統治する国家で、私はこの国の防衛の任に就く存在だ。次期国王は、兄上に決まっており、それを補佐するのが私の役目である。

 アルフォンス・ノルン・プルタニア…この国の名を命名されたその時から、私はこの国の為に生きる事を選択させられた。

 仮に意に反したとしても、それが私の義務である。


 そして、このプルタニアの後世の発展の為にも、そろそろ妻を娶らねばならぬのだが…。


「アルフォンス様~。本日はご一緒にお茶などはいかがでしょうか?」

 宰相との話し合いが終わり執務室へと戻ってくれば、早々に姿を現す一人の令嬢。職務中であるにも関わらず、我が物顔で入室してきたこの娘は、先日執り行われた社交界のダンスパーティーで、適当に選んだパートナーである。

 身分はノルンの直系である伯爵家の娘だが、魔力を一切持たぬ女だ。

 我等王族と婚姻を結ぶ事が出来るのは、直系貴族の魔力の高い娘だけと決まっており、この娘…ライリー・ベルベットは、その対象から外れた令嬢である。
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