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大国プルタニア

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 我が名は、『アルフォンス・ノルン・プルタニア』ここプルタニア王国の現国王の息子であり…王位継承第二位の地位である。

 プルタニア王国は、カスターノ大陸最南端に位置し、最も国土が広く、農産業並びに魔術師を多く保有する非常に恵まれた国である。

 この国では至る所で魔法が使われている。それらは様々な産業を支え、国の運営に大きく関わっていた。

 貧困が進んだ他国とは違い、財政が潤った我が国に、他国からの亡命者は後を絶たない。


「ノルン様…昨夜の辺境地での暴動でございますが…。」

「ああ、分かっておる。直ちに部隊を派遣の上、鎮圧せよ。」

「かしこまりました。それでは飛竜部隊を手配いたします故、こちらの書類に承認のサインをお願いします。」

 我が名に刻まれた『ノルン』とは家名を現す言葉だ。この国の貴族ならば誰もが家名を名乗る事を許されており、王族となれば…その語尾に国名が付いてくる。

 我が家は建国当時から続く王族の血筋であり、最も血が濃く、強大な魔力を保有する一族でもある。

 ノルン家の血筋が国民に行き渡る頃には、国の至るところで魔力を持つ民が誕生した。

 それは喜ばしい反面で、他国からの反感を買う機会となる。

 この世界で希少価値が高い魔術師が、プルタニアに多勢居ると分かれば、近隣諸国が黙ってるはずがない。

 時に、国境の町を襲う盗賊の中には、隣国の御尋ね者が紛れていたりする。だが奴等は、金になる魔術師を攫い奴隷として売買を始めてしまった。

 表面上我が国は、亡命を受け入れる態勢を取っているが、隣国にもプライドとやらがあるのだろう。近年、数十人という規模で、国境付近の町から魔術師が姿を消した。

 そして何か所もの村を焼き払われ、多大なる損失を出していた。

 国土が広い分、中央都市に在るこの王宮から部隊を派遣するものの、時既に遅しというのが度々である。自国の民を易々と攫われて気分を害すのは当たり前だ。


「そう言えば、前に考案されていた転移魔法の試作は進んでいるのか?」

「はい…只今、最終調整中であります。早ければ三日程で完成するかと…。」

「そうか、それならば…魔力が最も高い我等王族が試さねばならぬな。」

「それは頼もしい限りですが…」

 近親間での繁栄を続けたノルン家は、最も魔力を多く保有し、強大な魔法による反動リバウンドを受けにくい。この国で最も強力な魔法を繰り出す事の出来る絶対的な存在なのである。






 
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