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朝
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「だぁぁいぃぃきぃ。みんな待っとるぜぇぇ」
いつもの朝だ。
不登校の上丸大輝は世士打傑の大声で起こされる。
『みんなが僕を待ってるわけがないだろう。誰も普通に話してくれないし、むしろ避けてるって方が合っているのに。』
上丸大輝はこの家に来る世士打という担任の事を嫌っていた。
恐らく奴は僕を更生させる事で学校に認められたいのだ。
『そんな奴の思い通りになってたまるか』
部屋で寝ている大輝の隣で仁王立ちする世士打の声は止まる事を知らない。
彼は学校のみならず大輝の両親にまで認められたいかのように思えた。
「だぁぁいぃきぃ。先生はお前の事を思って言ってるんやぞぉ。今日、行ってみらんやぁ?」
彼の擬音を響かせる異質な喋り方が大輝は苦手だった。
なのでいつもの様に返答する。
「先生はいつも部屋に来ますが迷惑なんです。僕を思うのなら帰ってもらえませんか。」
世士打は一瞬強い怒りの表情を浮かべて、すぐに笑顔になった。
悪意を見せてすぐに引っ込める事が出来る彼を見て、大輝は自分も同じように多彩な表情を作る事が出来れば学校に馴染めるのかなと思いを巡らせる。
大輝はとっさに怒りの表情を作ってみた。
世士打はまったく動じずに声を紡いでいく。
「だぁぁいぃ。お前の言い分を聞いてやるから言ってみるぜぇ。なんで行きたくないぜぇ?」
『言い分を聞くのなら帰ってくれよ』
そう言いたいのをぐっと飲み込んで、学校に行きたくない理由を述べた。
「みんなとは話が合わないし、興味が無いんです。
家にいると家族がいるので寂しくないし、ずっとここにいたいんです。」
それは本心だったが学校に行きたくない理由はまだまだ山ほどにある。
真水君から恨まれている事、小山君が不良で怖い事、プールの授業で体を晒す事、給食で机を合わせる事、そして何より・・あいつが・・。
確信部分以外は自分のコミュニケーション能力に問題がある事は本人がよくわかっていた。
「お前の言いたい事もわかるぜぇ。けどなぁ。1人だけ絶対に大輝の事を好きでいてくれる人がいる事を俺は知っとるんやぞぉ。」
大輝はとっさに吐き気を催してトイレへと走る。
自室がある2階から1階に降りなければ吐ける場所は無いので、朝から走る事になってしまった。
「ヴォェェェェェ」
これほど最悪な朝があるだろうか。
この話題になると調子が悪くなる事を知っている世士打には殺意を覚える。
喉に液体が詰まっている自分をまったく配慮しない声が後方の扉から聞こえた。
「だぁぁいぃきぃぃ。俺はお前の味方やけんなぁぁ。」
大輝はさらに吐瀉物を撒き散らした。
いつもの朝だ。
不登校の上丸大輝は世士打傑の大声で起こされる。
『みんなが僕を待ってるわけがないだろう。誰も普通に話してくれないし、むしろ避けてるって方が合っているのに。』
上丸大輝はこの家に来る世士打という担任の事を嫌っていた。
恐らく奴は僕を更生させる事で学校に認められたいのだ。
『そんな奴の思い通りになってたまるか』
部屋で寝ている大輝の隣で仁王立ちする世士打の声は止まる事を知らない。
彼は学校のみならず大輝の両親にまで認められたいかのように思えた。
「だぁぁいぃきぃ。先生はお前の事を思って言ってるんやぞぉ。今日、行ってみらんやぁ?」
彼の擬音を響かせる異質な喋り方が大輝は苦手だった。
なのでいつもの様に返答する。
「先生はいつも部屋に来ますが迷惑なんです。僕を思うのなら帰ってもらえませんか。」
世士打は一瞬強い怒りの表情を浮かべて、すぐに笑顔になった。
悪意を見せてすぐに引っ込める事が出来る彼を見て、大輝は自分も同じように多彩な表情を作る事が出来れば学校に馴染めるのかなと思いを巡らせる。
大輝はとっさに怒りの表情を作ってみた。
世士打はまったく動じずに声を紡いでいく。
「だぁぁいぃ。お前の言い分を聞いてやるから言ってみるぜぇ。なんで行きたくないぜぇ?」
『言い分を聞くのなら帰ってくれよ』
そう言いたいのをぐっと飲み込んで、学校に行きたくない理由を述べた。
「みんなとは話が合わないし、興味が無いんです。
家にいると家族がいるので寂しくないし、ずっとここにいたいんです。」
それは本心だったが学校に行きたくない理由はまだまだ山ほどにある。
真水君から恨まれている事、小山君が不良で怖い事、プールの授業で体を晒す事、給食で机を合わせる事、そして何より・・あいつが・・。
確信部分以外は自分のコミュニケーション能力に問題がある事は本人がよくわかっていた。
「お前の言いたい事もわかるぜぇ。けどなぁ。1人だけ絶対に大輝の事を好きでいてくれる人がいる事を俺は知っとるんやぞぉ。」
大輝はとっさに吐き気を催してトイレへと走る。
自室がある2階から1階に降りなければ吐ける場所は無いので、朝から走る事になってしまった。
「ヴォェェェェェ」
これほど最悪な朝があるだろうか。
この話題になると調子が悪くなる事を知っている世士打には殺意を覚える。
喉に液体が詰まっている自分をまったく配慮しない声が後方の扉から聞こえた。
「だぁぁいぃきぃぃ。俺はお前の味方やけんなぁぁ。」
大輝はさらに吐瀉物を撒き散らした。
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