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㉔旦那様始動!
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「旦那様」
「なんだ?」
旦那様に声を掛けると先ほどのブツブツと呟いていた様子は嘘のように、キリッとした男前な表情に切り替わる旦那様に俺は心の中で手を合わせた。
「俺たちには無理でしたが、旦那様なら諸悪の根源を追い出せるかと」
「確かに!奥様に酷いことしたあいつらを私達許せません!
ということで、公爵夫人を追い出してください!あとミレーナとかいう女性も追い出しちゃってください!あとあと夫人付きのメイドも追い出してください!!」
「無論だ。だが、追い出すだけではなくしかるべき処罰を受けてもらいたいのだが……」
旦那様はそういって眉を顰めた。
元々公爵家で少しの期間だが働いていたことがあるおかげで、デルオ公爵家の大奥様に対する認識はそれはそれは厳しいものということは知っている。
というのも日頃の行いがよくなかった為、それは当たり前の事なのだが。
「理由ならあるじゃないですか!奥様を虐げたっていう理由が!」
「メイドの仕事を強制させられたという件に関してをいっているのならば、メアリーが受け入れた時点で罪にはできない」
「そんなっ!だって倒れる程奥様は体を酷使したんですよ!?
従業員に対する監督責任ってものはないんですか!?」
「残念ながら俺と君たちの間には雇用関係というものが契約上存在しているが、メアリーと義母にはないんだ。
従って監督責任もなければ、メアリーが自主的に行った事と主張されてしまえばどうにもならない」
「そ、そんな…」
旦那様はそう言ったが、そもそも雇用関係上の監督責任は意味をなさない。
何故なら貴族社会というのはそういうものだからだ。
従者として働く側の権力が相当高くなければもみ消されて終わりだろう。
だが旦那様は物事に対して客観的にみる思考能力が備わっている為、正しい判断が行われるものだと信じている節がある。
もしくは騎士団長としてそのように行動してきたのだろう。
平民からしたら素晴らしい人物だが、貴族からした面倒な男だと、一部の貴族から思われているに違いない。
サーシャがショックを受けた様子で後ずさったその時、トントントンと控えめに扉をノックする音が部屋の中に響く。
旦那様は鋭い目を扉に向けた。
「入れ」
旦那様が入室の許可を出すと、開かれる扉から現れたのは、奥様の検査を続けると部屋に留まったイルガー先生だった。
◆(視点変更→アルベルト)
「どうした?メアリーになにかあったのか?」
使用人から状況を伺っている中やってきたデルオ公爵家の主治医であるイルガー先生の手には、持ち込んできただろう鞄を持っていた。
「このまま休んでいれば回復しますが、…少し気になる点があり一度公爵邸に戻り、検査薬を持ってきたいのです」
「気になる点?」
「ええ。とはいえ、確定していないまだ不確かなことでありますので、発言は差し控えさせていただきます。
それで、許可は?」
「勿論構わない。メアリーに大事があってはならないからな」
「では、一度戻らせていただきます」
そうして一度頭を下げてから、先生は部屋を出ていった。
俺は先生の背中を見送った後、メイドに視線を向ける。
「ひとまず、義母付きのメイドの元へ案内してくれ」
「わかりました!」
義母を追い詰めるのは難しい。
そもそも義母の肩書は公爵夫人だ。
いくら父上の希望ではないにしても、王命で結ばれた再婚相手である。
その為、今回のメアリーの件に関しても追い詰めることはなかなかに難しかった。
ならばどこから攻めるか。
それは義母の近くにいる者からに決まっている。
「こちらです!」と案内するメイドの後を続き、俺は義母側についていると言われる使用人の元へと向かう。
ちなみにシェフの男にはメアリーが休んでいる部屋の前で待機してもらった。
騎士としての訓練は受けたことはないといっていたが、明らかに筋肉が付いている男の体格をみて、例えメアリーの元に義母が訪れても対処してくれるだろうと考えたからだ。
今迄は好きにやってきただろう義母も、屋敷の主である俺がいれば好きには出来ないだろう。
母親だから?
いや、母親として接してもらった事等皆無だ。
公爵家の金を湯水のように使い続けてきた浪費家。
ただそれだけの認識の女だ。
そして義母側についたと思われる使用人も恐らくは…。
「なんだ?」
旦那様に声を掛けると先ほどのブツブツと呟いていた様子は嘘のように、キリッとした男前な表情に切り替わる旦那様に俺は心の中で手を合わせた。
「俺たちには無理でしたが、旦那様なら諸悪の根源を追い出せるかと」
「確かに!奥様に酷いことしたあいつらを私達許せません!
ということで、公爵夫人を追い出してください!あとミレーナとかいう女性も追い出しちゃってください!あとあと夫人付きのメイドも追い出してください!!」
「無論だ。だが、追い出すだけではなくしかるべき処罰を受けてもらいたいのだが……」
旦那様はそういって眉を顰めた。
元々公爵家で少しの期間だが働いていたことがあるおかげで、デルオ公爵家の大奥様に対する認識はそれはそれは厳しいものということは知っている。
というのも日頃の行いがよくなかった為、それは当たり前の事なのだが。
「理由ならあるじゃないですか!奥様を虐げたっていう理由が!」
「メイドの仕事を強制させられたという件に関してをいっているのならば、メアリーが受け入れた時点で罪にはできない」
「そんなっ!だって倒れる程奥様は体を酷使したんですよ!?
従業員に対する監督責任ってものはないんですか!?」
「残念ながら俺と君たちの間には雇用関係というものが契約上存在しているが、メアリーと義母にはないんだ。
従って監督責任もなければ、メアリーが自主的に行った事と主張されてしまえばどうにもならない」
「そ、そんな…」
旦那様はそう言ったが、そもそも雇用関係上の監督責任は意味をなさない。
何故なら貴族社会というのはそういうものだからだ。
従者として働く側の権力が相当高くなければもみ消されて終わりだろう。
だが旦那様は物事に対して客観的にみる思考能力が備わっている為、正しい判断が行われるものだと信じている節がある。
もしくは騎士団長としてそのように行動してきたのだろう。
平民からしたら素晴らしい人物だが、貴族からした面倒な男だと、一部の貴族から思われているに違いない。
サーシャがショックを受けた様子で後ずさったその時、トントントンと控えめに扉をノックする音が部屋の中に響く。
旦那様は鋭い目を扉に向けた。
「入れ」
旦那様が入室の許可を出すと、開かれる扉から現れたのは、奥様の検査を続けると部屋に留まったイルガー先生だった。
◆(視点変更→アルベルト)
「どうした?メアリーになにかあったのか?」
使用人から状況を伺っている中やってきたデルオ公爵家の主治医であるイルガー先生の手には、持ち込んできただろう鞄を持っていた。
「このまま休んでいれば回復しますが、…少し気になる点があり一度公爵邸に戻り、検査薬を持ってきたいのです」
「気になる点?」
「ええ。とはいえ、確定していないまだ不確かなことでありますので、発言は差し控えさせていただきます。
それで、許可は?」
「勿論構わない。メアリーに大事があってはならないからな」
「では、一度戻らせていただきます」
そうして一度頭を下げてから、先生は部屋を出ていった。
俺は先生の背中を見送った後、メイドに視線を向ける。
「ひとまず、義母付きのメイドの元へ案内してくれ」
「わかりました!」
義母を追い詰めるのは難しい。
そもそも義母の肩書は公爵夫人だ。
いくら父上の希望ではないにしても、王命で結ばれた再婚相手である。
その為、今回のメアリーの件に関しても追い詰めることはなかなかに難しかった。
ならばどこから攻めるか。
それは義母の近くにいる者からに決まっている。
「こちらです!」と案内するメイドの後を続き、俺は義母側についていると言われる使用人の元へと向かう。
ちなみにシェフの男にはメアリーが休んでいる部屋の前で待機してもらった。
騎士としての訓練は受けたことはないといっていたが、明らかに筋肉が付いている男の体格をみて、例えメアリーの元に義母が訪れても対処してくれるだろうと考えたからだ。
今迄は好きにやってきただろう義母も、屋敷の主である俺がいれば好きには出来ないだろう。
母親だから?
いや、母親として接してもらった事等皆無だ。
公爵家の金を湯水のように使い続けてきた浪費家。
ただそれだけの認識の女だ。
そして義母側についたと思われる使用人も恐らくは…。
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