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はじまり
しおりを挟む私がまだ7歳の時、両親が亡くなった。
事故だった。
激しい雨が降り注いだ所為で、道はぬかるみ、足を取られた馬車は横転した。
倒れた馬車はそのまま道を外れて崖から落下。
疲れて眠ってしまっていたのか、両親は魔法を使った痕跡もなく無残な死体が発見されたのだと、幼い私は周囲の大人の小さく話す声で知った。
『エミリー・レイズだな』
両親が亡くなって泣いていた私に声をかけたのは一人の男性だった。
少しお腹が出ているふくよかな体形。
そして機嫌が悪い様子を隠そうともしない男性に、悲しみや喪失感でいっぱいだった私は感情もなく頷いて答えた。
チっと男が舌打ちが聞こえた。
『お前を引き取ることになった。ついてこい』
男が言った。
私の手首を乱暴に掴んで引きずるように歩き出す男に、私は足をもつらせながらついていった。
馬車に乗り込んだ男性は、戸惑う私を無理やり引き込んだ。
正直両親が死んだ原因になった馬車には乗りたくもなかったが、抵抗することも出来ずに、私は端で小さくなった。
『お前の父親は私の兄だ。どこから情報を仕入れていたのか…家出した兄が死んだこと。兄に子供がいること。
知った父からの指示で私がお前を引き取ることになった』
お父さんの弟と聞いて、私は俯いていた顔を少し上げて男性の顔を見た。
正直全く似ていなかった。
だらしのない体型もそうだし、豚のような上向いている鼻をつけた男性をみて、お父さんと本当に兄弟なのかも疑わしかった。
それでもこの男に引き取られる以外生きる術はなかった。
これが、私が七歳の時の出来事だった。
■
引き取られてもうすぐ三年を迎える。
この三年間はとても大変だった。
まず引き取られた先の叔父の家はかなり財政状況が悪いようだった。
見た目は貴族なんだと思えるような大きい屋敷。
だが、一歩足を踏み入れると、貴族とは到底思えないほど殺風景な空間が広がっていた。
きょろきょろと辺りを見渡して見てもメイドらしき人が見当たらない。
案内された部屋に辿り着いた私に、男は見下ろしながら「働け」と告げた。
勿論引き取られた私は働くつもりでいた。
七歳と子供ながら、掃除ぐらいは出来るから。
だから言われなくてもそうするつもりだったから、頷いて見せると舌打ちを私に浴びせて叔父は行ってしまった。
(…迷惑かけないようにしなくちゃ…)
そう胸に刻んで、案内された部屋を見るとベッドが一つだけある小さな部屋だった。
小さいと行っても普通の平民の家ならば通常サイズ。
貴族のお屋敷と思うから小さいなと感じてしまうだけであって、私にとっては十分な部屋だった。
だけどベッドに手を掛けるともわっと舞い上がる埃に私は眉をしかめた。
急いで窓を開けた私は、次に袖を捲り部屋の掃除を始める。
よく見ると天井の壁には蜘蛛の巣がはっていたが、子供の私は届かないのでそのまま放置した。
ベッドのシーツをはぎ取り、窓からバサバサと埃を落とす。
布団も同様に。
手すりや床の埃を拭く為に部屋から出ると、キラキラとしたドレスで着飾っている女性と鉢合わせした。
『……薄汚い』
扇で口元は覆われていたが顰める眉に細められた目からは、嫌悪がありありと浮かんでいた。
『あ、あの、今日からこの家に住まわせてもらうエミリーといいます。お願いします』
頭を下げる私を全身品定めするかのように女性の視線が這う。
嫌な気分だった。
『アナタ、ここでの役割をわかっていますの?』
役割、という意味がよくわからなかったが、叔父からは働くようにと言われていた私は「今から掃除をしようと思っていました」と答えた。
『…少しはわかっているようね』
何が気に入らないのか、更に眉間の皺を深くした女性は私にそう言った。
そして続けて『私の部屋と主人の部屋は最優先よ』と言われたので、『あの…今から自分の部屋を…』と言った瞬間バチンと大きな音が廊下に響き渡った。
『生意気ね!!!拾われた家畜の分際で、飼い主を優先しないだなんて!!!』
目をこれでもかと見開いた女性の顔が間近に迫る。
真っ赤な口を大きく開き、濃いオレンジ色を目の周りに塗った女性が、目を吊り上げた表情は七歳の私にはすごく怖く見えた。
そしてジンジンと痛みが走る頬に、初めて頬を打たれたのだとわかった。
何も言わない、言えないでいた私に振り上げられる手にギュッと目をつぶる。
『卑しいガキが!!口答えするなんて!!!』
そしてバチンバチンと何度も打たれた。
痛みに腕で顔を隠そうとしても、手首を掴まれ顔を晒すように腕を上に上げさせられる。
こんなにも音が響き、そして目の前の女性が騒いでいるのに、誰一人来なかった。
助けもなく続けられた暴力は女性の息が上がって、やっと終わった。
『ふん、これに懲りたら次からは優先順位を間違えないことね』
立ち去る女性に頷いて、崩れ落ちた私は声を上げないように泣いた。
それから暫くして初めてお屋敷の事情を知った。
情報源は、コックとして通いで務めているおじさんだ。
おじさんも私がいることを知らされていなかったのか、初めてあった時それはもう驚いていた。
『…材料がなくなっていることに気付いていたが、そうか…君が食べていたのか…』
その言葉に怒られると思った私は必死に謝った。
当たり前のように食事を用意されなかった私には食べるものがなく、キッチンを漁って食べていたことは仕方ないことだと思っている。
それでも必死で謝ったのは殴られたくなかったから。
初日だけではなく、少しでも埃を見つけられると殴る蹴るは当たり前になっていたから目の前のおじさんもそうだと思ってしまうのも無理はなかった。
すぐに暴力を振る人間だと、失礼ながらに思ってしまった。
『謝らなくていい。知らなかったとはいえ食事を用意していなくてすまなかったね。
…メイドも全ていなくなったのは、財政状況もあってだろうが…君が来たからなんだね。
今迄よく頑張ったね』
そうやって撫でてくれたおじさんは、このお屋敷の事を色々教えてくれた。
私の思った通りここは貴族のお屋敷で、爵位は男爵。
家の状況をみてわかる通り、財政状況はいいとは言えない為、通いでメイドやコックを雇っているということ。
ある日掃除を担当していたメイドを見かけなくなったこと。
メイドが解雇された理由ははっきりわからないけど、たぶんおじさんの言った通り、代わりの私が来たことで辞めさせられたんだと思った。
お屋敷のお掃除は今私が朝から晩までかけて一人でやっているから。
お屋敷の中に住んでいる人は、叔父、叔母、そしてその息子。
この三人には既にあっている。
いつも仕事にイラついて八つ当たりする叔父に、なにかとヒステリックに叫び手を上げる叔母。
そして、その二人の息子も同じく私に暴力をふるって楽しんでいる。
それでも息子のアーベルトはまだマシだった。
おじさんに聞いたらアーベルトは私より二歳年上。
だから大人ほどの力で殴れないから、マシだった。
でもそれは私が八歳になるまでだった。
世の中には魔法といわれる力があって、十歳になると体の中の魔力回路が開かれるという。
十歳になってすぐの人もいれば、中には十一歳目前に覚醒したという人もいるからタイミングは人それぞれだ。
そして覚醒した子供は、攻撃タイプか防御タイプかに分類される。
国を囲んでいる壁の外には魔物がうようよしていて、魔物を討伐できる攻撃タイプの属性に覚醒した人はかなり優遇されるのだ。
アーベルトも例外なく覚醒し、残念にも攻撃タイプだったのだ。
それから、小さいながらも火の球をぶつけられたり、覚醒した影響なのか子供だからと弱かった力も今では叔母と同じ位に痛みが走る。
暴力だけではなく、今では食事も取り上げられていた。
おじさんが私の分と作ってくれた料理を、成長期だからとアーベルトのお腹の中に納めてしまうのだ。
財政状況に厳しいこの家は、必要食料も最低限しかない。
だから、私の食事が取り上げられてしまえば、生ゴミとして捨てる野菜の皮や、切り落とした芯や種部分を食べるしかなかった。
そんな貧乏なお財布事情な筈なのに、どこからか調達しているのか叔父や叔母、そしてアーベルトの衣服だけは立派なものだった。
「もうすぐ、私も十歳…」
服を買い与えられることのない私には、アーベルトが来ていた服も下げ渡されなかった。
貴族の服を平民が着る理由がわからないからだろう。
成長してきつくなった服に袖を通していた私を見かねたコックのおじさんが、子供が着ていた小さい服だと私にくれた。
おじさんの子供はアーベルトと同じく男の子なのだろう。
女の子が着るにはシンプルすぎる服でも、私にはすごく嬉しいプレゼントだった。
部屋に戻り育てていた豆苗に水を上げる。
豆苗はいい。すぐに育つから。
お腹にはたまらなくても、何か口に含んで噛んでいるだけで十分だった。
月が昇る空を部屋の窓から見上げて、私は眠りについた。
◇
暖かい光が私を照らす。
手を伸ばすと、それはやっぱり暖かくて
光は優しく私を包み込む。
暖かい光に包みこまれた私は、懐かしさを感じた。
ずっとこうしててほしい。
ずっとこのままがいい。
この安らぎを、手放したくない。
◇
「………夢……」
いつも通り夜明け前に目を覚ました私は凄く残念な気持ちになった。
両手で顔を覆う。
「…なんで起きちゃったんだろう…」
起きなきゃ殴られる。
サボるなと、仕事をしろと、殴られることはわかっている。
でも、気持ちのいい夢は現実逃避をしてしまいたいとも思ってしまうほど幸せなものだった。
顔を覆ったままごろりと寝返る。
「…あれ…?」
そこで私は初めて気づいた。
「痛くない…?」
暴力が日常茶飯事となり、積み重ねた怪我は寝返りを打つのも激痛が走るほどだった。
なるべく痛みを感じないように日頃の動作も少なくしていた。
だから夢から覚めたくないと心の底から思っていた私は、ついつい何も考えずに寝返りしてしまったのだ。
本来であれば激痛で涙が目に浮かぶのだが、今ではその痛みもない。
袖を捲ってみた私は驚いた。
あるはずの痣が全くなかったのだ。
白くまるで木の枝のような腕があるだけで、青く変色している痣も、ドス紫色の痣もなにもかもなくなっていた
痣がない腕を見たのは本当に久しぶりで、私は感動すらした。
だけど喜んだのは一瞬で、瞬間的に我に返る。
掃除をしないといけないと、体にしみこんでいるのだ。
髪を適当に結い上げて食堂に向かう。
三人の部屋の掃除は起きて、部屋にいない間にしないと怒られるのだ。
三人が起きる前に、使う部屋や歩く廊下を磨き上げるとあっという間に時間が過ぎる。
「エミリー、おはようさん」
「おじさん!おはようございます!」
通いで来ているおじさんは一日の食料を肩に担ぎながら訪れる。
運よく出会えれば挨拶するし、出会えなければ言葉を交わさない。
別に薄情とか、そういうんじゃなくて、ただ私が暴力を振るわせる原因にならないようにしてくれているのだ。
以前、まだ寝ているだろうと高をくくり、おじさんと話に華を咲かせていた時があった。
どこで見たのかわからないが、顔が腫れるほどに殴られ、それっきりおじさんと長い間話をすることがなくなった。
「今日も頑張れよ」
寂しいけれど、おじさんの優しい眼差しと私を想っての言葉はいつも励みをもらっている。
それに今日は今までの怪我もなくなって、とても快適だった。
「ああ!クソ!うまくいかない!!!」
そんな怒鳴り声が聞こえてきた。
こういう時は決まって八つ当たりする為にやってくる。
「ッチ、こんなところにいたのか」
ドタドタと重い体に耐えられないと悲鳴を上げる床の音に、私は身を潜めていたがあっさりと見つかってしまう。
貧乏なこの家は物もなく、隠れるところもない。
しかも掃除の順番は指定されているから、この時間は大体ここにいるだろうと目星をつけられてしまう。
ドッとお腹に強い衝撃が走った。
思わずむせてしまって、膝が床に着く。
ちらりと視線だけで見上げると声になっていない筈なのに、うるさいとでも言っているかのように叔父の眉間の皺が更に深まった。
叔父の握られた拳をみて、ギュウッと目を瞑ると頬が衝撃を受け止める。
(痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!)
いつもより酷い暴力に私は震えた。
カタカタと体を震せると、叔父の目が見開いた。
まるでなにかに驚いているようだった。
「ここにいろ!」
そう言った叔父はドスドスと走って部屋を出る。
私は言いつけ通りその部屋に留まる。
すると叔父がすぐに戻ってきた。
右手に握られている刃物に私は恐怖に染まる。
「お、叔父さま…、そ、それをどうするつもりなんですか?」
ガタガタと震えながら問うと、返事はなかった。
ただ無言で腕を掴まれ、袖を捲り、ナイフの見た目をした刃物を大きく振り上げる。
「いやあああああああああああ!!!!!」
ブスッと腕に刃物が突き刺さり、そしてためらいなく抜かれる。
「あああああああああああ!!!!!」
痛い!!痛い痛い痛い痛い痛い!!!!!
どうして!なんでこんなことをするの!!!
私が何をしたの!!
「あなた!ペーパーナイフを持ち出してどこに……、あら?」
「おお、お前も来たか。……これを見てみろ」
二人は暢気なやりとりをしているが、痛みで悶絶していた私はそれどころじゃなかった。
痛くて、今すぐ叔父の腕を振り払いたかった。
ドグドグとまるで心臓のように脈打つ傷口を抑えたかった。
「どいて!!!!どいてよおおおおおおお!!!!!」
「黙れ!!大人しくしていろ!!!」
再び頬を殴られる。
涙が止まらなかった。
そして今迄振るわれてきた暴力がとてもかわいいものだと感じられた。
「まぁ!これは!!」
「これを利用できれば…!」
「ええ!成功間違いなしだわ!」
痛みで意識が薄れてきた私は、喜ぶ二人の声を最後に気を失った。
■side叔父
最初から気にくわなかった。
既に家を出たはずの兄をいまだに未練がましく想う父のことも。
大っ嫌いな兄の子供を引き取らなければいけないことも。
兄にどこか似ている顔立ちの子供も。
全てが気にくわなかった。
父に与えられた事業の一つを台無しにしてしまった。
そんな俺に「役に立て」と父が兄の子供を引き取るように命ずる。
俺はイラついていた。
俺が失敗するたびに妻もどこか不機嫌になる。
それが毎日だった。
だけどこの日は妻の顔が少しスッキリしていた。
『あら。アレは貴方がサンドバックに拾ってきたのでしょう?
とてもいい具合だったわ』
そんな妻の一言に、俺は早速子供の元に向かった。
今迄気にくわなかった兄の子供だが、殴ると非常にすっきりした。
それから気にくわない事があれば手を上げるようになった。
そんな俺の行動は体に染みつき、子供を見れば殴るようになった。
子供を拾って三年が経った。
また事業がうまくいかずに、父に金を貸してくれとお願いしなければいけなくなった。
むしゃくしゃしたまま子供の元に向かった俺は、いつも通り手を上げた。
いつも通りやったはずが、赤く染まった子供の頬はすぐに落ち着いた。
そういえば服の裾から見える腹も思いっきり蹴り飛ばしたのに、跡形もない。
子供にそこにいるように命令し、俺はすぐに書斎にあるペーパーナイフを手に取った。
紙を切る為の道具は普通の使用方法であれば皮膚は切れないようになっている。
が、思いっきり突き立てれば傷を負わせることもできる。
子供の白い腕に思いっきり突き立てた。
ペーパーナイフの一部が子供の腕に突き刺さる。
煩い叫び声が耳に響いたが無視し、勢いよく抜くと真っ赤な血が飛び散った。
丁度良く妻が来たから、作ったばかりの傷跡を見せる。
ニヤつく妻をみて、妻もこの子供が気に入らないのだろうと思わず口元が緩んだ。
叫び暴れる子供を黙らせて、しばらくするとすうーと血が止まり、傷口が消える。
「まぁ!これは!!」
と妻が驚く。
「これを利用できれば、億万長者だ!」
「ええ!成功間違いなしだわ!」
寝ている子供をその場に残し、早速血が付いたペーパーナイフを片手に妻と共に部屋を出た。
◇
安直な考えだが、ペーパーナイフについた血を水に混ぜてみる。
真っ赤な液体が透明な水に溶けるように馴染んでいく。
くるくるとかき混ぜれば、それはもうただの水だ。
誰がこれに血を入れたかと疑うのか。
血を溶かした水を別の容器に移し、今度はそれを持って屋敷を出た。
馬に乗り、妻のアドバイス通り貧民街へと馬を走らせる。
自分で飲みたくないからこそ、金もかからないスラムの人間は適任だった。
辿り着いたスラム街。
ツーンとした臭いに眉を顰める。
俺を遠くから覗く一人の男性がいた。
スラムの人間は自分に難が降りかからないよう、基本外の人間を受け付けない。
それなのにああやって様子を疑う理由は、助けを求めようとしているからだ。
「く、薬を…」
ほら。思った通り。
近づいた俺に手を差し伸ばして、物乞いする男に俺は口元を緩ませる。
「これは俺が作った薬だ。
効果は不明だが、これでもいいならくれてやろう」
タダの血を混ぜた水なだけだが、それすら知らない男は何度も頷いた。
「連れてこい」
「…え?」
「お前が飲むんじゃないのだろう?さっさと連れてこい!」
「は、はい!」
わたわたと骨だらけの体で走る男の姿を見送り、暫く待つと、同じように骨だらけの女性を引きずってきた。
洗っていないから肌が汚いのか、それとも血色が悪いのか。
荒い息の女を男は地面の上に横たえる。
「飲ませろ」
そういって男に薬を投げた。
一度は落ちた薬だが容器は割れることなく、男は拾い上げて女の口元に流し込んでいく。
青紫色だった唇は薄いピンクに変わり、男が引きづった時にできた足の怪我は綺麗に治った。
(やった)
成功だ。
必死に感謝を告げる男に返事をすることもなく俺はその場を立ち去った。
口元が緩むのが抑えられなかった。
屋敷に帰り妻に結果を報告した俺は、それから大忙しだった。
父にこれで最後だからと頭を下げ金を借り、町に大きな店を構えた。
新築にしたがったが、今までの事もあり多くの金は借りることが出来なかったから、なるべく綺麗に見えてそして大きな店を選んだ。
店の内装を決めて、薬として売る為、容器を大量に注文。
薬の中身の方は妻に任せた。
掛かる費用は容器代だが、そこは返却すれば次回購入時は割り引くと大きく宣伝しながら開店特別サービスで薬を配った。
これで容器代もコストカット出来る。
なんて天才的なんだと心が躍った。
連日のように行列が出来る自分の店に、遂に父から褒めの言葉を貰った。
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