ヒーローは爆発だ2020

人生やり直し5

職業作家になるためには発想の転換が必要だった。そもそも大学時代の僕の作家になりたいという夢の始まりは祖母の孫の気持ちを考えない押しつけの暴言とそれに連動する中学時代の部活でのイジメによって徹底的に夢をつぶされ、それに復讐することで始まった。中学以前のキラキラした夢によるものではなかった。大学時代、その失われた時間がとりもどせたことによって過去の怨念はある程度消化された。だがこれでは次の時代へとつながらない。消化されたということは全てを失ったということだ。だが現実の猛威は襲いかかってくる。金を得る方法を探さなければならない。しかし消化してしまった以上、それまでのドラゴンボールの悟空のようになりたい、などという少年時代限定の夢では対抗できない。しかし僕はその悟空への夢的なものにずっとこだわってしまった。外に出せず自分の心の中に封じこめた夢はそれだけすばらしかった。だが今の現実と太刀打ちできる夢ではなかった。もし書店や図書館がある環境なら日々、自然に新たなるヒーローを見つける活動ができただろう。だがそれもなかった。長い停滞の末に、オタク系では本田透、大槻ケンヂ、歴史系では一坂太郎、早乙女貢という興味を持てる作家を知り、小説形式ではなく随筆形式も自分に合った文章の表現方法かなとも思う。だが彼らにはヒーロー性が足りなかった。本気で僕が憧れたのは藤子・F・不二雄だった。だが藤子Fのような空想的創作者になる道は中学時代に完全に断たれていた。２０００年にテレビで岡本敏子が岡本太郎を語ってるのを観て太郎に興味を持ち同年９月には太郎のアトリエをたずねた。だが日常を過ごさないといけないのは太郎の本を読む機会がない高野山だったので、結局太郎をの本を知り、太郎のようなヒーローを目指そうと思ったのは１５年半後の２０１６年２月だった。残念だった。