校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話

赤髪命

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CASE6 市川 はるかの場合

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(梨沙ちゃん、大丈夫かな……? って、私も結構おしっこしたくなってきちゃったんだけど……)

 おしっこの我慢が辛そうな梨沙ちゃんを見ながら、私も尿意が高まっていることに気付いた。

 初めて梨沙ちゃんと会ったのは、中学校の入学式の日。たまたま同じクラスで席も近かった私と梨沙ちゃんは、はじめは梨沙ちゃんの性格もあって、そんなに仲良くなくて、いつもトイレで会うくらいの感じでしかなかった。

 けれど、入学式から1か月くらい経ったある日、私たちはひょんなことで仲良くなった。

 あの日、自然教室の直前の学年集会の後、おしっこを我慢していた私は体育館の近くのトイレに駆け込んだ。おしっこを済ませてトイレを出ようとしたとき、隣の個室から、

「どうしよう……どうしよう……」

と泣きそうな声が聞こえた。閉まっている扉をノックして、

「大丈夫? どうしたの?」

と聞くと、ゆっくりと扉が開いて、中から顔を真っ赤にして泣いている梨沙ちゃんが出てきた。梨沙ちゃんのスカートと靴下は濡れて色が変わってしまっていて、足元には大きな水たまりが広がっていた。

「その……、おしっこ、我慢できなくて……、トイレ、間に合わなくて……」

 恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながら泣く梨沙ちゃんを見て、私は考えるよりも先に体が動いていた。

 保健室で落ち着いた梨沙ちゃんに、普段はあまり見れないような満面の笑顔で「ありがとう」と言われたのは、今でもはっきりと覚えている。

 それ以来、私と梨沙ちゃんは一緒にいることが多くなって、梨沙ちゃんがトイレに行くときは自然と私も一緒に行くようになった。

 なんて昔のことを思い出していたら、いつの間にかバスは止まっていて、私は梨沙ちゃんに続いてバスを降りた。

 トイレに並んでいる間も、梨沙ちゃんは我慢が辛そうで、あの時の梨沙ちゃんの泣きそうな顔によく似ていた。

「大丈夫? トイレの順番譲ってもらう?」

 私が聞くと、梨沙ちゃんは弱々しくうなずいた。私は前に並んでいた子たちに声をかけて、梨沙ちゃんのトイレの順番を譲ってもらった。

 やがて梨沙ちゃんがトイレに入って、トイレの中から梨沙ちゃんのおしっこの音が聞こえた。それと同時に、私の膀胱も限界寸前まで来ているようで、きゅうぅぅっとお腹が締め付けられるように痛くなった。

 梨沙ちゃんと美優ちゃんがトイレから出てきた後、私もトイレに入った。パンツを脱いでしゃがむと、我慢していたおしっこがものすごい勢いで出始めた。

 おしっこを全部出し終わって、トイレの扉を開けると、梨沙ちゃんが美優ちゃんと一緒に私のことを待ってくれていた。私は2人と一緒にバスに戻って、美優ちゃんとも仲良くなった。
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