1番近くて、1番遠い……僕は義姉に恋をする

桜乃

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番外編2 君と僕の出会いの物語

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 あの日、あの場所から連れ出し、僕に居場所をくれたアルフォント家の僕の家族……

「僕はあの日から、義父さまと義母さまには感謝してます。ありがとうございました。だから、気に病まれると……僕が困ります」

 僕を早く引き取れば良かったと言ってくれた義母さまは優しく微笑み、僕の頭でポンポンと手を弾ませた。

 参ったな。いつまで経っても義母さまにとって僕は幼い子供のままで。でも、そんな義母さまの愛情が嬉しいと思ってしまう。

「私はそろそろ戻るわ。もうね、お父さまが号泣して、大変なのよ」
「……あ」

 クスクス笑いながら、義母さまは立ち上がった。僕は気まずくて目を泳がせる。

「クラリスは、これからもアルフォント家にいるのにね。あの人ったら、それとこれとは話は別だ! とかなんとか言っちゃうの」

 困った人だわぁと苦笑する義母さまから、顔を逸らしてしまった。

 う、うん。いや、まぁ、うん。男として義父さまの気持ちもわかるっていうか……義父さまは娘の事となると涙腺が大崩壊するし。以前なんかアルベルトを叩き潰すとか言って、王家反逆を口にしたくらいだから。でも……それだけ慈しんできた宝物を義父さまと義母さまは僕に託してくれるんだ。それは、とても嬉しい事で……

「あの! あの……必ず幸せにします」

 決意を新たに今の気持ちをしっかりと伝えると義母さまはクスリと笑う。

「ミカエル、貴方も幸せになるの。2人とも大切な私達の子供なのだから」

 義母さまの言葉に僕はじわりと視界がにじみ、深く深くお辞儀をした。

「ふふ、お父さまもね。自分が手塩に掛けて育て、可愛がってきたミカエルが相手だもの、安心してるのよ。あの人、間違いなく貴方の事、世界一のいい男だと思っているわよ。もちろん、私もそう思ってるわ」

 義母さまが僕にウィンクし、嬉しいやら恥ずかしいやら、僕の顔に熱が帯びてくる。

 本当に義父さまも義母さまも親バカ全開すぎて、この国トップの公爵の言動とは思えないんだけど……さ…………でも、泣きたくなるほど幸福感で胸がいっぱいだ。

 僕に家族というものを教えてくれ、本当の息子のようにたくさんの愛情を注いでくれたご恩は忘れない。

 アルフォント家は絶対に僕が守り抜く。

「ねぇ、そろそろクラリスの準備も終わったんじゃないかしら。様子、見に行ってくれば?」
「そうですね」

 義母さまの提案に僕は顔を上げて、ゆっくりと微笑んだ。
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