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番外編2 君と僕の出会いの物語
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しおりを挟む僕はシーメス男爵家の長男として生まれた。
貴族は生まれた時に魔力測定器で内包している魔力量を計るよう義務付けられている。生まれたばかりの僕は母に抱かれるより先に魔力を測定され、ゼロという数値に父は怒りをあらわにしたという。
王家の血筋に近い上流貴族でもない限り、魔力ゼロはさして珍しい事ではない。が、父は許せなかったのだろう。
「こんな子、いらん」
母と赤ん坊の僕を蔑んだ目で見下ろし、吐き捨てるように言ってたと使用人達が笑いながら話しているのを子供の頃、聞いてしまった。
一応、唯一のシーメス家の後継ぎだったから、最低限の衣食住は与えられてはいたが、父が僕の名を呼ぶ事は一切なかった。
4歳の時、母が病気でこの世を去り、僕は一人ぼっちになってしまう。
母の葬儀が終わると父はすぐに再婚し、異母弟が生まれた。魔力が確認された異母弟を抱きかかえ、狂喜乱舞している父の姿を目の当たりにし、自室にとぼとぼと帰ったのを覚えている。
僕は生まれてこのかた、父に触れられた事すらなかったから……
異母弟のファンレーが生まれてから、露骨に僕はいないものとして扱われ、使用人達も遠巻きに僕を見ているだけだった。
誰も話しかけてくれず、誰も笑いかけてくれず……
家族が揃う食事時も、僕だけ部屋で黙々一人食べるのみ。休日は、父、義母、ファンレーの3人が楽しそうに出かける姿を僕は部屋の窓からぼんやり眺めていた。
ある休日、屋敷内が慌ただしく感じ、不思議に思う。
今日は出かけないのかな……
いつものように窓から外を眺めていると、見慣れない立派な馬車が屋敷の前で止まった。明らかに身分の高い紳士が奥方らしき女性をエスコートし、馬車から降りる。その後にぴょんと元気よく、馬車から飛び出てきた僕と同じ歳くらいの女の子。我が家の使用人達が総出で出迎えをし、恭しく頭を下げていた。
……今日はこの人達が来るから屋敷内がソワソワしてたんだ。よほど身分の高い人なのかな……そんな高貴な人がなんでこの屋敷に?
違和感を覚えながらも、僕には関係ない事だと考えるのを止める。
紳士と手を繋ぎ、はしゃいでいる女の子。
頬杖をつき、現実から逃避するため僕は目をつむった。
幸せそうな家族……僕には全く縁のない世界。
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