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求婚を…… ~クラリス視点~

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 反省しつつ、改めてあの日の求婚を思い出した私は、全身がかぁぁと火照ほてってきた。

「すみません。えっと……申し訳ございません」

 謝罪の言葉を述べながら、深々と頭を下げる。もうテーブルスレスレ、土下座する勢いで。

「その謝罪は求婚を断る謝罪か? それとも忘れていたことへの謝罪か?」

 何度も謝る私に、アルベルト様はいつになく真面目に問い、私は罪悪感で縮こまってしまう。

「えっと……忘れていた……ことです」
「なら、いい」

 ニカッと笑う姿に張り詰めた空気が、少し和やかになった。

「王子、クラリスへ求婚したという話は承知しました。4月の王子の誕生日に婚約解消の予定でしたが、どうなさるのです?」

 私達のやり取りを苦笑しながら見ていたお父さまが口を挟み、アルベルト様はスッと姿勢を正す。

「クラリスが求婚を受けてくれたら、もちろん解消はしない。今も婚約中なわけだし、何も問題はないだろう?」
「まぁ、そうですね。ただし、アルフォント家は娘にも息子にも政略婚はさせません。婚約解消も決まっているわけですし、王家だからとほいほい娘を差し出しませんよ」

 にこやかな笑顔のわりには強い口調のお父さまに、アルベルト様も外交用の王子様スマイルで対抗している。

「わかっている。政略婚は俺も望んでない。ただ純粋に俺はクラリスと共にいたいだけだ」
「まぁ……気持ちはわかりますよ。うちの娘は天使ですからね」
「うん……まぁ……天使だな」

 2人で顔を見合わせ、うんうん頷いていた……けど!

 ちょっと待って、お父さま! 親バカ炸裂しすぎ!! アルベルト様まで面白がって話に乗らないでぇぇ。もぉ恥ずかしくて泣きそう……これは求婚を忘れていた私への罰ゲーム? 罰ゲームなんですかぁ!

 恥ずかしさのあまり、いたたまれなくなった私を見てアルベルト様はクスリと笑う。

「それに、1回ならまだしも2回も父上の親友である公爵に無理強いをすれば、俺がどやされるしな」
「では、クラリスの気持ちを尊重してくださると?」
「無論」

 真剣な顔つきのアルベルト様に私の胸はギュッと痛んだ。

 アルベルト様は本気なんだ。
 本気で私と結婚したいと言ってくれているんだ……
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