1番近くて、1番遠い……僕は義姉に恋をする

桜乃

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誤解を……

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 僕は頭を抱えた。

 やっぱり……

「違うから! いや、キスは……したかも……だけど……頬だし!」
「でも、恋仲じゃないと頬でもキスしないよね?」

 ゔっ……その通りだけど……

 義姉さまの言葉にぐうの音も出ない。

 そして、もう一つ頭に浮かんだ考えがあった……というか、むしろこの考えで頭がいっぱいになり、黙ってしまう。

 もしかして……あの日、義姉さまが泣いていたのは、僕がオリアーナ嬢にキスしているところを見たから? だから泣いていたの?

 もし、そうなら……義姉さまは僕を……?
 バルコニーでの事も本当に義姉さまは僕と……僕とキスを?

 いいんだろうか。そんな都合よく考えても……

「やっぱり……恋仲だったんでしょ……?」

 僕が何も言わない事を肯定と捉えたのか、義姉さまが寂しげな表情でポツリとつぶやき、我に返った僕は慌てて説明をする。

「違う、恋仲なんかじゃないよ。えっと……初恋の思い出にキスして欲しいとお願いされて…………」
「え……でも、情緒たっぷり、愛おしそうに」
「してないから!」
「好きとかなんとか……」
「言ってないから!!」

 思わずデスクをバンッと叩く。それでも義姉さまは信じられないような目でチラッと僕を見た。

 もぉぉ、まだ疑ってる……

 ふぅぅと深く息を吐き、一呼吸置く。

「義姉さま……聞いて。その、たしかにキスは恋仲同士でするものだけどさ。今回は、その……本当に違うから。絶対に。テダ神に誓ってもいい」

 僕はキッパリ否定しながら、誕生日の祝福の時を思い出す。

 義姉さまがよろけた時、僕の頬に当たった唇。

 あれだって僕にキスした事になるよね……バルコニーでの事はどこぞの大魔道士の忘却魔法で記憶がないだろうけど……あれは覚えてるはずだし。
 
 思い出してくれないかな……気づいてくれないかな……少しは男として見てくれないかな……

 僕はコホンと咳払いをし、照れながらコソッと義姉さまを見る。

「ふらついた令嬢を支えたら、頬に唇が触れた……とか、それだってキスしたことになるかもよ?」

 ちょっと、苦しい言い回しだったかな。と思ったものの、義姉さまは僕の言葉にハッと思い出したようだった。
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