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誤解を……

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 寝不足のせいか頭が重い。

 そんな事をぼんやり思っていた昼下がり。明日の授業の予習の為、僕は部屋でテキストを開いていた。

「ミカエル!!」

 ノックも忘れ、部屋に飛び込んできた義姉さまの勢いに驚き、手に持っていたペンを落とす。

「えっ……なに?」
「マグワイア様が婚約したって!」

 義姉さまは今にも泣きそうな顔で叫んだ。

「うん。知ってるけど」

 落としたペンを拾いながら返事をすると、義姉さまは目を丸くする。

「え……だって……」

 チラチラと僕を見る義姉さまの意図がつかめない。

「オリアーナ嬢でしょう?」

 世間話くらいの感覚で答えた僕に、なぜか驚いた表情でオロオロし始めた義姉さま。

 あれ? 相手、間違ってたかな?

「え、ええ、そうだけど……え……? でも……」
「シェートが熱心に口説き落としたらしいよ。やるよね、シェートも」

 先日聞いた話を思い出し、クスクス笑う。
 
 そんな僕に戸惑いの色を見せた義姉さまは「えっ……だって……どうして……?」とボソボソと言っていたが、意を決した顔で僕を見た。

「ねぇ、ミカエル……えっとね……その……オリアーナ様と……恋仲だったんじゃ……」
「えええっっ!?」

 あまりに衝撃的な勘違いに、今拾ったペンを再び落としてしまう。

「だって……この間、こっそり会ってたし……」

 こっそり? 会ってた?
 そんな覚え…………

 僕は義姉さまから視線を外した。

 ……
 ……
 ……ある。

 いや、でも! あれはこっそり会ってたわけじゃなくて!!

「違う! 違うよ! 断じて違う!!」

 必死に否定をしたが、義姉さまはかぁぁと赤くなり、ぽつりぽつりと話し出す。

「でも……だって……見ちゃったもの」
「なにを!!」

 ドキッとし、焦った僕は声を荒らげてしまった。
 
 あの日「見ちゃった」なんて言われる行為は1つしかない……

 義姉さまはますます赤くなり、ボソッと小声でつぶやく。

「キス……してるとこ」
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