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誤解を……
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しおりを挟む「私、結婚しようと思うの」
義姉さまがにっこり笑って、僕に報告する。
僕の手の震えが止まらない。
「あ……でも……婚約は解消……された、よね?」
口の中が緊張で乾いているのか、声がかすれてしまう。義姉さまは僕の様子などお構いなしに幸せそうに笑った。
「ええ! アルベルト様とは婚約解消したから」
「だったら……」
「ジェスター様と」
いつの間にか義姉さまと腕を組んでいるジェスターが、僕に勝ち誇ったように微笑む。
「もちろん祝福してくれるだろう?」
「なっ……そんなの……」
頬を染めた義姉さまは、ジェスターと見つめ合っていた。
「クラリス……」
「ジェスター様……」
2人は甘い雰囲気に包まれ、僕の存在を忘れたかのように目の前でキスを……
「やめてっ!!!」
自分の発した悲痛の叫び声に驚き、目を開けると見慣れた天井があった。
はぁぁぁ……
荒い息を整える為、僕は大きく息を吐く。
寝ていたにもかかわらず、疲労で身体が重い。
夢……か。
上半身を起こし、周りを見た。
いつもの僕の寝室。誰もいない。
義姉さまもいないし、ジェスターもいない。
大丈夫……今日も、夢、だから。
昨夜の義姉さまの相手はアルベルトだった。
あの夜会から僕は嫌な夢ばかりを見ている。
エドワードに抱きしめられていた事、アルベルトやジェスターと踊っていた事は自分が思っていた以上にダメージを受けているようだった。
でも、本当はそれだけじゃない。
最近、義姉さまに避けられている……ような気がする。
あくまで気がする……だけで、傍目には普段通りだと思う。どこがどう……とは説明ができないけど……けど、なにか違う。
その憂いとアルベルトやジェスターと踊っていた事が心の奥底で結びついて、悪夢を毎夜見てしまう。
吐息を漏らし、頭を軽く掻いた。汗で体が冷えてきたのか、ぶるっと震える。
寒いな……眠れないからか……なんだかだるい。
明日もあるから……少しでも睡眠をとらなくちゃ。
僕は沈んだ気分のまま、もう一度モゾモゾとベッドに潜った。
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